第97話 【魔術】
俺達は政宗先生について行ってどんどん魔界の中心へと近づいていく。
俺も新しいタイプの魔力袋を作っての最大魔力量の強化はできないのか?と模索中だ。
正直言ってドラゴラスを竜牙単体で倒せるというのには驚いた。俺も何とか頑張って追いつかなければ…
すると、俺達は一つの村にたどり着いた。総人口は500人程度の小さな村だ
「一旦ここで泊まって休憩するか?自分の固有スキルと見つめ合う静かな時間も大切だろうし」
「いや、泊めてもらえるですかね?」
俺がそう質問した。政宗先生は少し悩んだが「大丈夫っしょ」とお気楽に返答した。
村は遠目から見ると男の魔族が畑を耕すのを頑張っており、とても平和だから人間を迎え入れてくれそうだが…どうなのだろうか?
俺達は村にどんどん近づき、近くの川で水を汲んでいた目が一つしかないサイクロプスの女性に話しかけた。
「すみません」
そう政宗先生が言うと、サイクロプスの女性は目を丸くし尻餅をついた
「いえいえ、何もしませんよ」
そう政宗先生が言うと少し安心したような顔を浮かべて話し始めた
「何の用ですかね…人間がわざわざこんな深いところに来て」
「少し…25人程泊められる場所はあるだろうか?ご飯などはコチラで準備出来るので必要はありませんが。一晩だけでいいので」
「25人ねぇ…一軒誰も使っていない廃墟があるのと、少し空いている場所があるぐらいかね。廃墟には寝るだけだったら15人はいけると思うよ」
「わかりました。ありがとうございます」
「ちなみに村の人達驚いちゃうと思うから声掛けられた時は『エホバさんから案内されました』って伝えといて」
「わかりました」
お!意外とあっさりいけるもんなんだな。魔族は人間に対して拒絶反応でもあると思ってた
俺達は堂々と村の中へ入っていく。近くにいた子供の獣人が「人間なのに何でこんな所にいるんだよ!」と小石を投げていたが「エホバさんから案内されました」と一言一句同じことを答えていると、子供は静かになった。
さっきのサイクロプスの女性何者なんだ!?
そうして、村の南側にある廃墟にたどり着いた。
「よし、廃墟で眠りたい奴はいるか?ほかの奴は空いている場所でテントで寝ることになるが」
廃墟かぁ〜なんか幽霊とか虫とか出てきそうで嫌だなぁ。テントの方に行くか
俺はテント側に付き、10人を収容できるテントを雪乃が作りそれを組み立てる作業に移った。
テントの組み立てに関しては俺達がテキパキやったおかげで30分で完成した。その後政宗先生は「自分と見つめ合え」と言い残し、どこかに行ってしまった。
さて、ところで俺は何をしたらこれから強くなるのだろうか?俺一人であのドラゴラスやハイデーモンを倒せるかどうかも分からない。ま、とりあえずこの村を散策しとくか。
俺は村の中心部の小さな鐘が設置されている場所へ向かった。道中子供、女性、男性が殺気のようなものを放った目で見てくるのは気の所為…ではないな。
「自分を強化するには…どうすればいいか」
恐らく今の速度では敵側のレベルの増加の速度に俺が耐えられない。レベルを超越する何かが必要だ。
そんな時、一人の子供が俺の元へ走ってきた。
「人間さん!急いで!こっち来て!」
俺はその子供に腕を引っ張られ、俺はついついて行った
少年が向かった先に行くと村から少し離れた一つのボロ家に辿り着いた。
「入って!入って!」
少年は笑みを浮かべながら、そのボロ家のドアを開ける。ドアはギィィという不快な音を立てながら動いた。
中には机と椅子が一つ、そしてベッドが一つある程度であった。
そして、そのベッドには一人の老人が寝込んでいる
「ところで、何をしたらいいんだ?」
俺は少年に聞くと、少年は老人を揺さぶり老人を起こした。
老人は眠そうな目をこすりながら俺の方を見た後に少年の方を見た
「連れてきたのか?」
「うん!」
老人は俺を手招きし始めた為、俺は老人のそばへ寄った
「な、なんの用ですかね?」
「お前には頼み事がある」
「頼み事…?」
「俺はもう寿命がない、俺が独自に開発したオリジナルの魔術であるα属性魔術理論を受け継いでほしいのだ」
「α属性?」
「あぁこの世界とは対となる反物質世界における改変された法則の降臨術だ」
え、なんか凄そう
「そこのガキンチョにも教えようと思ったが、術式が使えなさそうでな。諦めたんだ」
「ガキンチョ言うな!」
少年は頬を膨らませながら言い換えした
「とりあえずだ…このα属性というのは単刀直入に言うと危ない。その為継承させるのは本当に死に際の一人にだけと決めているのだ」
「だから、お前に継承したい」
俺は胸を躍らせながら頷いた
「ところで、継承って具体的には?」
「なぁに簡単さ…俺がα属性魔術理論の術式を全て書き込んだオーブをお前が食べればいい。術式や理論は身体に吸収されて早速身につくだろうよ」
「あ、そんな簡単なんすね」
すると老人は空中に術式を描くと、そこが魔法陣となりその中から光る玉がボトッと落ちてきた。
玉の大きさはテニスボールと同じぐらいだ
「よし、食べろ。俺が死んだらその術式が死んじまう。」
「わかりました」
俺はそのオーブを口の中に入れ噛み砕き飲み込んだ。体の中に何かが染み込んでいったことが分かる。
「よし、これで安心して逝ける。俺の研究成果が無駄にならなくてよかった。」
すると、老人の顔には急速にシミが出始め、全体的にしおれていった
「ど、どうしたんですか!?」
「おじいちゃん!?」
少年はどうしよう?と慌て始める
「α属性魔術理論によって一次的に老いを弱めてたんだ、そしてその術式や力をそこの少年に託した今。今まで抑えてた分の老化が進む。直に死ぬだろうよ」
「自分が何とかできることはありますか!?」
俺は必死に自分の新しく貰ったα属性魔術理論で何か出来ないか聞く
「いいや、何も出来ない。α属性魔術理論で発見したのは生物は必ず死を遂げるという事実だ。死んだら、この世界で定義される仮の魂の殻を破り真の魂がこの世界の器から出ていく。そしたら、数多の独自領域で構成された真なる世界の中心…The・Coreへ真の魂は変換される。」
何を言ってるんだ!?科学技術が俺達の元いた世界より発達していないのに世界の真相を語れたということか?
「無数の巨大基数すらも超え哲学的、概念的なΩの領域群のフラクタル構造を超越した中心部分にあるThe・Coreで俺達は新しい器を与えられ、また新しい人生を歩む…この絶対的な法則には誰も抗えない」
「つまり…?」
「そう、死というのは偶然ではなく必然ということだ。α属性魔術理論を使えば死を無くす事ができる。」
「じゃあ、それやりましょうよ!」
「ただな…死を無くすということは魂はずっとこの世界に囚われる。そしてこの世界の老朽化が進み消滅した時に俺も共に消滅するのだ。ほかの身内が居なくなって、生物が死に絶え世界が廃れた…そんな所で一人で死にたくないんだよ。とりあえず君には感謝しているよ…俺の人生であるα属性魔術理論で生きたまえ」
「え、僕にはなんかある?」
少年がベッドに手を付けて跳びはねながら聞く
「孫にも感謝しているよ。俺の意味の分からない研究に手伝ってくれたからな。ほれ」
すると老人はどこからか袋を取り出し孫に渡した
「中を空けてみ」
「わかった!」
袋のひもをほどき中を見るとギシギシに詰まった発光する石?が入っていた
「なんなのこれ」
「オグニタイル、この世界で最も希少な鉱石じゃよ。打ったら10世代遊び回っても尽きない莫大的な資金が手に入る。これでよかったか?」
「うん!おじいちゃん!ありがとう!」
「よし、そろそろ俺は死ぬ。死に様は人に見られたくないもんでな。もう出てってくれ」
「分かりました」
俺達は小さなボロ家から出ていった。少年はウキウキで村の中心部へ戻っていく
α属性魔術理論かぁ…どんな力を持っているのかな




