第82話 【ヤツ】
3階層のボスラッシュで次のモンスターとしてハイゴブリンが現れた。政宗先生でもゴブリンやハイゴブリンをボスとして感じる程弱かった時があったんだなぁと思っていると、ハイゴブリンが棍棒を振りかざしてきた。
ただ、単純な軌道すぎて流石に避けれる。ボスラッシュのモンスターはレベルは強制的に上げられているが、経験や熟練度はそのままなんだな。
「蒼真、こいつ何レベルだ?」
「うーんと、165!」
一撃でも食らったら致命傷は免れないな。
「よし、颯真!さっきと同じ作戦でいくぞ!」
「おっけい」
颯真は一瞬の隙をついてハイゴブリンの背後へワープ、魔法を放ちハイゴブリンの意識が完全に颯真の方へ向いた先に俺の理解度上昇により強さのレベルが上がったファイアビームを叩き込む。
しかも今回は念には念を入れて、超極細にしさらに熱が集中するようにした。
これでどうだ!?
ハイゴブリンは見事に体の胸部分をファイアビームが貫通し、雄叫びを上げながら暴れまわった後に死んだ。
俺達はハイゴブリンを倒したことで全員レベル120に到達した。
『セカンドステージ!コンプリート!』
そして、次のモンスターが現れる
「おいおい、これいつまでやるんだよ」
現れたモンスターは赤い筋骨隆々とした人型の存在であった
「政宗先生は…どんなやつと戦ってたんだよ!?」
そして、ボスラッシュをやる中で初めての喋るモンスターであった
「あ!?俺はあのカス野郎に殺されたはずだぞ!?どこだここ?」
カス野郎って政宗先生のことか?というか、奴から今までのモンスターとは違う雰囲気を感じる。
「クソッ!さっさとあいつに復讐したい!おい、そこのお前らここはどこだ?」
そう言い俺達を指さした瞬間にコイツは頭を抱えて膝から崩れ落ちた
「グッガッガッ!"アイツラを殺せ"だと…俺に指図しよって…!俺は次世代の四天王だぞ?」
なんだ?ダンジョンから奴に干渉しているのか?
「ヴ………ヴワァァァァ」
そう言うと同時に奴の目は紫色に染まった。
「蒼真!奴のレベルはなんだ?」
「レベルは…170ですけど、数多くの身体能力強化系スキルを保有しているので実際の戦闘力的にレベルは更に上になりそうです!」
身体能力強化系スキルか…どれほどの力かな。
そう思った矢先、奴の足がピクッとしたかと思うと颯真の目の前にまで移動し、颯真を殴った。
颯真は闘技場の壁に深いクレーターを残すほどの攻撃を受けた
俺が颯真の方を振り向くと、そこには奴はいなく奴は蒼真の目の前にいた。
「あっ…あっ」
蒼真は衝撃の出来事でパニック状態になっていた。
俺はすかさず蒼真を守ろうとファイアビームを奴の背中に向けて打ったが、それは跳ね返された。
「くっ」
奴は蒼真を殴り後方の闘技場の壁にめり込ませた後に俺の所へ来た。少しは奴の速度に目が慣れたが、それでも瞬きでもすれば見失う速度だ。
俺は目の前にいる奴と距離を取るためにファイアビームではなく、ファイアボムのような火を爆発させるのを意識しそれを発動。
熱かったが多少なりとも距離を取ることに成功した。
そして、奴に向かって全身全霊の接着法により固められた魔力泡を全て消費し、超ファイアビームを打った。
温度は太陽の表面温度と同じぐらいで、その火の光線が奴の肉体に直撃した。
だが、奴は傷つきはしたものの皮膚のやけど程度で済んでおり、奴は魔力泡がまだ装填できていない俺を待っていたと言わんばかりに腕を剣に変形した。
それを構え、俺の元へ更にスピードを上げ不可視性を持って近くに来た。
剣筋は完璧に俺の首元まで到着していた。
その時、奴は横方向へ大きく吹き飛んだ。
「ヘヘッ」
さっき吹き飛ばされた颯真が復活していた。
「すまねぇ…いまので俺の全魔力を使い切った。もう戦闘に参加できるほどの魔力は残ってない。俺ができるのはこれだけさ」
そして、魔力が完全に尽きた颯真はその場で倒れた。
なんとかして、こいつを倒さないと…!
あ!ワンちゃん倒せるいいこと思いついたぞ
「晴人!お前の幸運神って任意発動か?」
「いや、わからない!」
常時発動なら…幸運神の効果が付与されるのは完全に運か。現実改変の効果がランダムに適応される…これにかけるしかないな
そして、奴は起き上がりやはり剣を構えた。
俺の運×幸運神…当たってくれよ。
俺は手を前に上げて目を瞑り、適当なタイミングで魔法を発動した。
ボンッ!
「がッ」
奴の肉体には大きな風穴が空いた。
「やったな…俺の運が勝ったぞ…まさか、再生スキルなんかは無いよな?」
倒れた奴はそのまま動かずに死体だけ消えていった。
「おい、智也…お前何したんだよ?」
晴人が聞いてきた為、答えた
「いまのは完全に運だよ。自身の魔力を一点に集めファイアビームのようなものではなく、全魔力が相手に当たる威力として変換される…その名もファイアダイナマイト。
エネルギーを圧縮しているがゆえに相手の肉体に触れている状態で発動しないと、威力が10分の1以下になるとんでもない技だ。
そして、これをお前の幸運神と俺の幸運をかけ合わせて発動させた。
俺が手を前に出して適当にファイアダイナマイトを打つと、たまたま俺の首元を狙いに来た奴の胴体にたまたま魔法発動しようとしていた俺の手に接触し、たまたまそれが発動のタイミングと被った。みたいなもんだ
完全に運任せだよ」
「ふぅ〜!狂ってるねぇ!」
そして全員のレベルが10上がり、闘技場全体が自動的に修復されると同時に負傷した颯真、蒼真の肉体が完璧に復活した。
「お!智也倒せたのか!相変わらずすげぇな」
「あれ?何が…」
蒼真は状況をわかっていなさそうだが、後で説明してやるか。
そして、闘技場内に『ボスラッシュ!コンプリート!』というアナウンスがされた。
「これで四階層に行くのか?」
俺がそう言った途端に俺の視界は闘技場ではなく、広大な世界に切り替わっていた。
「な!?」
それは塔には収まるはずもないほどに広大な世界。地、天、海、山、森、火山、滝、森羅万象全てが揃っていた。
「蒼真!ここは何なんだ!?」
「えーと、神眼を発動した感じ4階層であたってるけど…説明としては亜世界って書いてあります。詳細としては膨大なエネルギーにより別次元に生成されたありとあらゆるエネルギーに干渉されない世界…一応僕達のスキルは世界エネルギーから作成され、システムに紐付けられているから無効化はされないみたいらしいけど…魔法は基本時に使えません」
「は!?おいおい、何だよそれ!」
「圧倒的魔力を持つもの以外の魔力は遮断されています」
ヤバい…状況になったぞ…!?ただ、ここに政宗先生がいるはず。それで少しは安全だな。
「とりあえず、皆魔物はいないらしいし他のクラスメイトのパーティーが来るまで、俺達が転移してきた場所の近くで休憩しとこうぜ」
そうして、俺達はしばらくの間この位置で休憩することにした




