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第81話 【レベルアップ】

俺は他の3人に「魔術の理解度が上がると威力が上がる」とはどういうことかを説明しながら、ダンジョンの通路をあてもなく歩き続けた。


全員が魔法系というのはパーティ構成として偏りすぎではないかという考えが頭をよぎったが、俺には剣術を教えられる技術はない。その考えは捨てることにした。


そうして歩いていると、目の前に宝箱が現れた。よく見る赤と金色の、いかにもな宝箱だ。


「これ、開けた方がいいか?蒼真、鑑定できるか?」


「最近神眼の調子が落ちてきていて、うまく鑑定できない。ダンジョンの奥に進むほど妨害みたいなのが強くなっている気がする」


「罠だったりしないか?」


「遠距離から魔法を打ってみる?」


全員5歩下がり、颯真が先端を尖らせた石を生成してストーンバレットとして宝箱へ向けて放った。


宝箱がガタガタと揺れ始め、開いたと思った瞬間——鋭利な歯と、表面がざらついた舌が現れた。そのまま宝箱が全身を使ってこちらへ向かってジャンプしてくる。


「これ、ミミックじゃないか!?」


晴人が興奮気味に言っているが、そんな場合ではない。全員で後退して距離を取った。


「ファイアビーム!」


放つとミミックの体が次第に溶け始め、溶解した鉄のようにドロドロに崩れていった。


「ミミックって実在したんだな」


全員で顔を見合わせてから、溶けたミミックをジャンプで乗り越えて先へ進んだ。



次に遭遇したのは、ダンジョンの通路のど真ん中に仁王立ちしている黒い騎士の鎧と黒い大剣だった。


「これ、絶対動くやつだよな」


俺は少し笑いながら他の3人を見た。


「何レベルだろう」


「ちょ、ちょ!智也、お前ばっかりやるなよ?」


颯真が釘を刺してくる。それもそうだ。チーム全体のレベルを底上げしないと、ここから先が厳しくなる。各自の気づきも、レベルが上がることで生まれてくるものがある。


「よし、晴人!蒼真!この騎士を倒してみろ!」


「分かった。智也が言っていたように術式の理解度を意識すればいいんだな?」


晴人が腕を前に構え、ファイアトルネードの詠唱に入った。騎士がピクリと動いた——しかし、晴人のファイアトルネードの方が速かった。ダンジョンの通路全体を炎が覆い尽くす。その威力は通常のファイアトルネードを明らかに上回っていた。


「よっしゃ!レベルが10上がった!」


「お前……そのファイアトルネード、どうやったんだ」


「よく分からないけど、幸運神の効果で俺の曖昧な粒子レベルのイメージが、偶然本物として作用できるほどの完成度で発動したんじゃないかな?」


幸運神が魔法の演算にまで干渉するのか。スキルの影響範囲がどこまで及ぶのか、まったく読めない。



そんな感じで緩くダンジョンを攻略し続けていると、大きな闘技場のような空間に出た。


「これ……ボス戦じゃないか?」


「あ!みんな、急に神眼が機能するようになった!」


蒼真が嬉しそうに言った次の瞬間、その顔が暗くなった。


「ここ……ボスラッシュ部屋だ。前回この場所を踏破した人が経験したボスたちを、ダンジョン仕様に改造したモンスターが出てくるらしい」


「クリアしたら4階層に行ける?」


「そうだけど……前回の踏破者、政宗先生だよ」


全員の背筋が凍った。


政宗先生が経験したボスラッシュ。いったいどんな化け物が出てくるのか——そう身構えたのと同時に、闘技場に陽気なアナウンスが流れた。


『ボスラッシュ!スタート!』


俺たちが入ってきた入口が完全に閉ざされた。



構えて待つと、最初に現れたのはゴブリンだった。片手に小さなナイフを持っている。見た目はいかにも弱そうだが——念のため確認する。


「蒼真、レベルは?」


「レベル150だね」


レベル150のゴブリン。見た目と実力の乖離が凄まじい。


「颯真、いけそうか?」


「時空歩法で後ろに回り込んでヘイトを引く。お前はファイアビームで仕留めてくれ」


「了解」


颯真が時空歩法でゴブリンの背後に瞬時に移動し、ストーンバレットを10発連射した。流血したゴブリンが攻撃元を確認しようと後ろを振り向いた瞬間——俺がファイアビームを叩き込んだ。ゴブリンは塵となって消えた。


闘技場全体に陽気な声が響き渡る。


『ファーストステージ!コンプリート!』


続いて次のモンスターが解放された。

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