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第75話 【悪魔】

勇者たちと合流してから3日が経ち、これ以上ここに潜んでいるのは難しくなってきた。


「よし、今いる勇者たちの状況をまとめるぞ」


俺は全員に向けて現状を整理した。


「行方不明、または脱走、または単独で死亡したと思われる勇者は——

岩瀬 悠人、固有スキル【未来演算】

小倉 莉奈、固有スキル【魅了女王】

高峰 玲司、固有スキル【雷神王】


そして、他の勇者の証言から明確に死亡が確認された勇者は——

橘 悠真、固有スキル【覇王】

大西 詩織、固有スキル【運命改変】

桜庭 美玲、固有スキル【天翼神姫】


以上だ。行方不明者はともかく、死亡者が出たのは俺の管理不足だ」


場が静まり返った。


「残り24人で幻の迷宮に突入する」


勇者たちは一様に、俺の助言によって磨いた固有スキルで必ずやってやるという目でこちらを見ていた。


「幻の迷宮は魔界最初の関門となる場所だが、その実態はまだ不明だ。構造も分からないから手探りで探索することになる。場合によっては2グループに分かれて行動するかもしれないが——とにかく死ぬな」


「おーーっ!」


3日前とは別人のような眼光と覚悟を持った勇者たちと共に、マボロシ森を後にした。



移動中に魔熊が現れたが、今の勇者たちは瞬殺できるほど力をつけていた。その調子で幻の迷宮の近くまで歩いてきたところで——一つの大隊と鉢合わせした。


大隊の中には人間界では見たことのない魔物が混じっており、その数も相当なものだった。


その中でも特に異様な存在感を放つ人物が一歩前に出てきた。赤い瞳、腰まで届く黒い長髪、黒いスーツに包まれた中性的な顔立ち。悪魔か魔人か——とにかく人間ではない。


その人物は胸に手を当て、丁寧にお辞儀をした。


礼儀正しくとも、危険であることは変わらない。俺を含め勇者たちは言葉を交わすことなく戦闘態勢に入っていた。


「すみません」


その人物が口を開いた。


「貴方たちは人族、で間違いないですよね……魔界に侵攻している人間がいると聞きましたので」


全員が沈黙を守る。大隊との距離はおよそ100メートル。いつ攻撃されてもおかしくない距離だ。全員の緊張がさらに高まった。


「答えないのですか。まぁ、見た目で分かりますが。最悪の事態を想定してドレイク様から幻の迷宮内のモンスターを集め迎撃せよとのことでしたが……ずいぶんと弱いですね、話になりません」


挑発だ。惑わされるな。相手の実力は未知数、油断させてからが勝負だ。


「ただ、先頭の一人は別ですね。恐らく——つい最近復活したテラミルワームを仕留めた者ですね」


そう言いながら、その人物は手をパンッと叩いた。


「よし、貴方たちは彼ら勇者の相手をしてあげてください」


後ろの大隊に向けてそう指示を出しながら、こちらを振り向いた。


「私は、人族にしては強そうな面白い彼と相手します」


言い終えた瞬間、目の前にテレポートで現れ、下から俺の顔面を思い切り殴り上げた。同時に後方の大隊が雄叫びを上げながら勇者たちへと突進していく。


「あれ……貴方はその程度ではないですよね?」


「あぁ……!」


テラミルワームと戦う前にこいつと当たっていたら瀕死は免れなかっただろうが——今の俺なら問題ない。俺は剣を生成し、試し切りとして連撃斬を放った。


およそ5600回の斬撃が一瞬で叩き込まれる。しかしそいつは皮膚が少し切り裂かれただけで笑顔のままこちらへ突っ込んでくる。その笑顔は狂気に満ち溢れており、体中の傷も瞬く間に塞がっていく。


「これだけじゃ決定打にならないか!」


「貴方……面白いですねぇ!人族にもこれほどの者がいましたか!」


奴は空中で何らかの技を発動し加速、その勢いのまま俺をさらに上空へ打ち上げた。高度はおよそ300メートル。そして次の瞬間、物理的にあり得ない折れ曲がった軌道で爆速にこちらへ迫ってくる。飛行能力なのか、それとも空気の層を踏み台にしているのか。


「えぇい!近づかれる前に撃ち落とす!」


俺は弓と細長い剣を同時に生成し、連射撃×連撃斬の複合技を放った。大量に生成された剣が発射されるというより、一本の光線のような形で一直線に奴へと向かい、その体を貫いた。


「ゴフッ……そろそろ本気を見せましょうか。テラミルワームを仕留めた貴方に手加減は必要ないでしょう」


奴の体が一回り大きくなり、黒いスーツが裂けていく。露わになった肌は全身が黒く、バフォメットのような異形の姿へと変貌した。


「悪魔だったか」


推進力を失った俺の体が落下し始めたその瞬間を狙い、バフォメット(仮)が拳を振り上げた。自由落下の速度に拳の威力が加わり、俺は弾道ミサイルのような勢いで地面に叩きつけられた。


轟音が響き渡る。畳み掛けるようにバフォメットが連打を浴びせてくる。その打撃音は一打一打が区別できないほど高速で、一つの連続音として響き続けた。


しかし——確信した。こいつは俺より弱い。まだスキルを2〜3個しか使っていないのに、奴はもう本気を出している。


俺は自身の肉体に展開している防御膜の上から、物理耐性と魔法耐性を付与した結界を重ね貼りした。


連打を続けていたバフォメットが、ようやく異変に気づいた。


「私の手が……潰れている!?」


硬い俺の肉体に無理に拳を叩きつけ続けた結果、バフォメットの拳が粉砕されていた。


俺はその瞬間に反撃へ転じた。拳に炎を纏わせ、物理攻撃力を底上げする結界を付与してバフォメットへ一撃を叩き込む。バフォメットが大きく後方へ吹き飛んだ。


「ガハッ!」


俺はバックステップでバフォメットの直近まで一瞬で移動し、今度は自分が連打を浴びせ始めた。


「や、やめっ!」


無我夢中で打ち続けること20秒。手を止めると、そこには肉塊だけが残っていた。


同時に、レベルが170に上昇した通知が頭の中に響いた。魔界に入ってからレベルアップのペースが明らかに上がっている。


肉塊を持って勇者たちのもとへ移動すると、疲弊しているものの全員が大隊を殲滅していた。


「おぉ、やるじゃん」


「政宗先生も終わったんですか?」


「あぁ。大した相手じゃなかった」


全員で体の汚れを適当に落とし、幻の迷宮へと向かった。



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■融合スキル

賢者(107)→賢者(390)

剣聖(103)→剣聖(509)

2つを制し者(34)→2つを制し者(96)


■任意型上級スキル

連撃斬(5680)→連撃斬(13.6K)

バックステップ(8860)→バックステップ(27.6K)

連射撃(5555)→連射撃(15.1K)


■常時型上級スキル

究極弓聖(4)→究極弓聖(6)

万象魔導(3)→万象魔導(4)

剣神(4)→剣神(6)


レベリングモンスター(2377)→レベリングモンスター(5670)

フィールド(21)→フィールド(42)

性能加速(1078)→性能加速(3000)


■新規取得

基礎スキル:

・拳

・連撃

・浮遊


常時型上級スキル:

・大気マナ利用:大気中のマナを使用することで自身の魔力を消耗しない。効率は+[Lv*3]%

・拳法の覇者:拳を使う際に攻撃力に+[Lv*(10K*(Lv/10))]上乗せする

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