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第64話 【実践学習】

集団異世界転移から8日目、いよいよゴブリン討伐の実戦学習が始まった。


ゴブリンといえば最弱モンスターの一角だ。勇者ならこのくらいは楽勝でないといけない。


「よし、今日は皆も知っての通り実戦学習だ。移動に際して万が一の暗殺行為を防ぐため、集団転移で向かう。転移は政宗先生にお願いする」


あれ、賢者ダニエル先生ではないのか。


「じゃあ皆、集まって!今の俺の実力だと半径5mくらいしか転移できないから、かなりぎゅうぎゅうになると思うけど、頑張ってくれ!」


……かなりぎゅうぎゅうだ。早く転移してくれ。


「よし、転移!」


シュッ。


目を開けると、緑豊かな木々が広がっていた。皆が安堵のため息をつきながら、ばらばらに散った。


「今回の監督は俺一人だからな。頑張れよ!」


その言葉を聞いて、誰かが気になっていたことを口にした。


「そういえば、賢者ダニエル先生は転移魔法が使えないんですか?」


「あー賢者はね、転移魔法を使うのに儀式が必要なんだよ。俺も最近ようやく使えるようになったくらいだからな」


そういえば、気になっていることがある。政宗先生は日を追うごとにオーラの規模が桁違いになっていく。この成長速度は何なんだ。勇者以上の才能を感じる。


「私たちが召喚されてから、どのくらい強くなったんですか?」


「え?……まぁ、そんなことはどうでもいい。さっさとゴブリンを倒すぞ!!」


「「おぉぉぉー!」」


よし、ゲームみたいにゴブリンをサクサク狩って今日の訓練を終わらせよう。


ガサガサッ。


皆が静止した。


「ギィィ!」


古びたナイフを握ったゴブリンが、刃を無造作に振り回しながら近づいてくる。様子を窺いながら、女子生徒に向けて突進した。


襲われた綾瀬朱音(固有スキル:『太陽魔導』)は瞬時にファイアビームを放った。光線はゴブリンの脳天を貫き、ゴブリンはそのまま倒れた。


「うおー!!すげぇ!」


男子たちが盛り上がる。その声に引き寄せられるように、さらに複数のゴブリンが姿を現した。それでも俺たちは順調に討伐を進めていった。


そんな中——


「ギャァァァァィ!イダィィィィィィ!」


石動大河が叫んだ。ゴブリンに指を二本切断され、腹まで切り裂かれたようだ。赤い鮮血が地面に広がっていく。


「大河くん、少し待ってて!」


固有スキル『大聖女』を持つ相沢美咲が素早く前に出て、回復魔法を展開した。緑の柔らかな光が大河を包んだかと思うと、次の瞬間には傷が跡形もなく消えていた。


「ひゃ〜危なかった。ありがとな」


「ダサいなぁ〜w」


恒一が笑いながら大河の肩に肘を当てた。


「仕方ないやろ!固有スキルの『重力皇帝』を試してみたら、意外とゴブリンが動けてて驚いたんだから!」


「もっと鍛えないと、魔王どころか魔物に殺されるぞ?」


「クソッ」


二人の間の空気が微妙になった。固有スキルの強さに関しては完全に運要素だが、『重力皇帝』より『剣神の後継者』の方が戦闘では即戦力になるのは明らかで、大河としては悔しいのだろう。


「よし、ゴブリンは余裕そうだな。次はオークへ行くぞ」


政宗先生の言葉に皆がついていく。しばらく進むと、大きなオークが一匹、政宗先生の前に姿を現した。先生はすぐさま結界魔法でオークを包み込み、俺たちに振り返った。


「こいつと一対一で戦いたいやつはいるか?」


「はいはいはいはい!」


真っ先に手を上げたのは恒一だった。


「よし、わかった」


政宗先生が結界を解除すると、オークは吠えながら恒一へと突進した。棍棒を空高く振り上げ、叩き潰そうとしたその瞬間——


「雑魚モンスターがよ」


恒一の体が消えた。目にも止まらない速度で懐へ踏み込み、一声と共に剣を一閃。オーク自身は自分が斬られたことに気づいていないかのように数秒間立っていたが、体が左右にゆっくりと分かれ始めた時点で絶命し、二つに割れた体が地面に倒れた。縦に真っ二つ——切れ目は鏡のように滑らかだった。


「政宗先生、次行きましょうか」


恒一は余裕の表情でわずかにニヤつきながら言った。


「よし、次は3人グループを組んでオークを狩ってもらう。グループごとの討伐数でランキングをつけるぞ。さっさとグループ決めろ!」


その言葉が終わる前から、クラスメイトたちは強い仲間を引き込もうと一斉に動き出した。


俺は蒼真と颯真でグループを組んだ。他では恒一、武器を生み出せる美月、回復を持つ美咲が特に人気で、あっという間に人が集まっていた。


「組めたところから出発!大声か鈴でも鳴らせば、俺の聞こえる範囲なら助けに行く。超聴覚は発動しておくけど、念のためあまり遠くに離れるなよ」


俺たちは森の奥へ、オークを狩りに踏み込んでいった。

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