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第62話 【固有スキル②】

固有スキルをクラスメイトたちが今も探し続けている。名前からおおよその効果は推測できても、発動条件までは分からない者が大半のようだ。


そんな中、小鳥遊雪乃(固有スキル:『万象錬成』)が正方形を作り出した。真っ白で、一辺10センチほどの完璧な立方体だ。


「わぁっ!」


雪乃自身も驚いている様子だった。そのやり方を聞こうと、周囲の生徒たちが次々に近寄ってきた。


雪乃いわく「脳内でイメージするの。そうすると、何か直感的な手がかりが見えてくる感じ」とのこと。


なるほど、集中して自分自身に問いかけることが鍵なのかもしれない。まぁ、もう自分の固有スキルの使い方は把握済みの俺にはあまり関係ないが。


周囲のクラスメイトの固有スキルを一つずつ語っていたら時間が足りないが、特に印象に残ったのは遠藤美月の『武器錬成』だ。あっという間に現代地球のアサルトマシンガンを作り出していた。地球の技術力では再現できないはずの武器まで作れるのだろうか。仕組みは謎だが、強いことだけは確かだ。


俺は蒼真と適当に魔法の練習をしながら、気楽に周囲の様子を眺めていた。固有スキルの効果をまだ掴みきれていない組は、見ていて分かるほど焦りが滲んでいる。


固有スキルが分からなければ、これから何を伸ばすべきかも分からない。魔王軍の侵攻はすぐそこまで迫っていると聞く。鍛えられる時間にも限りがあるだろうし、最悪の場合は命に関わる。早めに自分の固有スキルを理解しておくことは、何よりも重要だ。


「なぁ智也、蒼真……俺、自分のスキルがどんなものかまだ全然分かんねぇんだけど」


友人の蒼真と名前が被っている颯真が話しかけてきた。


「固有スキルってどんな名前なの?」


俺がそう聞くと、颯真は「時空歩法……」と答えた。時空歩法。名前だけ聞いても、さっぱり見当がつかない。


「なんだよそれw」


「いや、笑ってる場合じゃないって!使い物になるかも分からないんだから!」


「うーん、歩法ってついてるし、歩くことを意識してみたら?」


「いや、それはもうやった」


「じゃあ時空……時空かぁ……うーん?というか蒼真、スキルで効果見れないのか?」


「……………え、確かに」


蒼真は単純なことに気づいていなかったようだ。


「じゃあ見てみるよ」


ボタンを押す仕草をすると、蒼真の目が文字を追うように動いた。


「え〜と……固有スキルの効果、ちゃんと書いてあるね」


「え!?なんて、なんて!?」


颯真が食いついた。


「短距離転移を連続使用できる、って書かれてる」


「おーー!短距離転移か!じゃあ1mぐらい離れた場所に『行きた〜〜〜い!』って念じたらいけるのかな?」


「多分?」


颯真が言い終えた瞬間、念じる勢いそのままに体が1m移動した。


「できたじゃ〜ん!」


「蒼真!ありがとな!これ、連続使用ってことは〜〜〜」


颯真はそう言うと、右へ1m、左へ1mと、高速で連続移動を繰り返し始めた。


「こ、れ、も!い、け、る!っ、て、こ、とか!」


これでまた一人、悩みが解決したな。


「蒼真、他に困ってる人のところも回ってきたら?」


「そうするよ!」


それから蒼真は、クラス全員の固有スキルのおおよその概要を次々と明らかにしていった。


「よっしゃぁぁぁ!蒼真のおかげで今日はもうやることないんちゃう?」


竜牙がそう言ったタイミングで、剣聖バルク先生たちがやってきた。


「今日はここまで。各自、自分の固有スキルと向き合っておくように。訓練は明日からだ」


そう言い残し、先生たちは去っていった。俺たちは揃って勇者の寮へ戻った。

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