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第25話 【決闘】

翌日、案内されたルミナスの牙の寮へと向かった。


道中、廊下ですれ違う騎士たちがことごとく「何だこいつ」という顔で俺を見てくる。まぁ無理もない。見たことのない顔が突然入ってきたのだから。


ワンドに声をかければいいと言われていたので探してみるのだが、それらしき人物が見当たらない。仕方なく近くにいた騎士に声をかけた。


「あの、騎士団長のワンドさんはどこにいますか?」


「あ"?……お前、誰だ?騎士団長様の居場所が知りたい?お前みたいな奴が?」


かなり好戦的だな。だが圧力に負けるわけにもいかない。


「とりあえず場所だけ教えてもらえれば」


「騎士団長様に会うのは500年早いんだよ。とっとと失せろ」


話にならないな、と思っていると——背後から声が飛んできた。


「お!君がマサムネ君か!マフィスが太鼓判を押した新人!」


振り返ると、グラニスの銭湯で絵を見て以来ずっと気になっていたワンドが立っていた。絵で見た通りの人物だ。


ワンドは周囲を見渡して大きな声で言った。


「皆に紹介するよ!今日からルミナスの牙に加わる新人騎士——マサムネだ!」


「はぁ!?こいつが今日からルミナスの牙に入るだと!?」


「信じられないなら、早速決闘でもする?マサムネ、大丈夫だよね?」


「はい、問題ないです」


ルミナスの牙の騎士との決闘か。マフィスに習ったことが活かせるかどうか、試してみよう。



寮の近くにある練習場は縦横5kmはあろうかという巨大な空間だった。

周囲の騎士たちに囲まれながら決闘が始まろうとしているが、聞こえてくるのは俺を嘲笑する声ばかりだ。相手の騎士——グロックという名らしい——に向けられているのは「イキり坊主をやっちまえ!」という声援のみだった。


「じゃあ、スタート!」


ワンドが手を振り下ろして合図した。


グロックは楽勝だと踏んでいるのか、妙なステップを刻みながら煽ってくる。


「ほら、仕掛けてこいよ」


俺はマフィスとの稽古を思い出しながら、静かに間合いを詰めた。焦らず、グロックの剣が届くギリギリの距離で止まる。


「来いよ!ビビってんのか!」


グロックの重心がわずかに後ろへ傾いた瞬間——俺は足払いを仕掛けた。


しかしグロックの体幹が想定以上に強く、姿勢は全く崩れなかった。


それを待っていたかのようにグロックが動く。任意型上級スキル【抜刀・瞬】——高速の一閃が俺の頭部を狙った。


だが俺はその刃が届く寸前に【バックステップ】を発動。グロックの間合いの外へ瞬時に離脱し、剣が振り切れて次の動作に移れない一瞬の隙に——剣をグロックの首筋へ静かに添えた。


「ストップ!勝者、マサムネ!」


ワンドの声が響いた。


一瞬の沈黙の後、周囲がざわめいた。


「……ルミナスの牙の中でも中堅どころのグロックを仕留めかけるとは、やるじゃねぇか」


誰かがそう漏らした。嘲笑が、少しずつ別の空気に変わっていくのを感じた。


「よし、じゃあ練習を始めよう」


ワンドが手を叩くと、周囲の騎士たちが一斉に整列し始めた。俺も慌てて列に加わる。


全員が並んだのを確認して、ワンドが大きく息を吸った。


「朝の号令、始めぇぇぇ!!」


声が練習場に響き渡った。

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