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第26話 【訓練】

朝の号令が終わり、ルミナスの牙の訓練が始まった。


内容は俺が想像していた以上に過酷で、文字通り血反吐を吐いた。


毎日のメニューはフルマラソン、腕立て伏せ・スクワット・バービージャンプなどの筋トレを各種目連続1000回、対戦訓練、そして魔物に関する知識を叩き込む座学——これが一日分だ。


ただし、フルマラソン以外の訓練については宮廷魔術師が展開した時間遅延の結界が貼られていた。結界内と結界外では時間の流れが1対2になっており、通常では到底終わらない量の訓練も15時間で完了する。残りの9時間は食事3食で1時間、睡眠8時間で埋まり、ちょうど24時間が回る仕組みだ。


まず剣術については、昨日の決闘でグロックを仕留めかけた時点で中堅クラスと渡り合える実力は示せた。問題は体力だった。


フルマラソンのタイムは3時間。周囲の騎士と比べると明らかに遅い。ちなみにトップ層はフルマラソンを5分で走り終えていた。


……怪物か。


「おい新人。戦闘は強さだけじゃないぞ。舐めてかかるなよ」


すれ違いざまにそう言われた。返す言葉がなかった。


次は筋トレだ。筋肉の上級スキルがLv43まで育っている以上、フルマラソンよりは楽なはずだ——そう思っていた。


腕立て伏せ連続300回で腕が限界を訴え始めた。


何なんだこのキツさは。周りはもうバービージャンプに移っている。足を引っ張りたくはないが、体がついてこない。


筋トレ終了後の座学は何とか受けられたが、対戦訓練だけは参加を許可されなかった。


「見て学べ」


それだけ言われた。体力と筋力が基準に達していないと判断されたのだろう。仕方ない、今日のところは大人しく従うしかない。


こうして騎士1日目が終わった。全身がバラバラになりそうだ。明日もこれをやるのかと思うと気が遠くなる。


ただ、ステータスには変化があった。筋肉層・持久力・長期的筋肉・肺活量・精神力・知識という新たな基礎スキルを取得し、《筋肉》と《ランナー》の上級スキルも強化されていた。


固有スキルの成長倍率130倍——今日の訓練は実質的に130日分の鍛錬に相当する。そう考えると、明日には別人になっていてもおかしくない。



翌日、目が覚めた瞬間に気づいた。


身体が、昨日と違う。


130倍の成長倍率で一日訓練した結果が全身に染み込んでいる。単純計算で130日分の鍛錬を一日で積んだのだ、そりゃ変わる。


フルマラソンを走り出した瞬間、昨日との差は歴然だった。地面を蹴る感覚が軽い。呼吸が乱れない。流石にトップ層には遠く及ばないが、走ること自体が心地よかった。


タイムは2時間10分。一日で50分縮まっていた。


筋トレも昨日とは別物だった。1000回を連続でこなしても限界が来ない。周囲の騎士たちが「お前、昨日とは比べ物にならないな」と声をかけてくるほどの変わりようだった。


座学では昨日の内容を全て頭に入れた状態で臨み、締めの小テストは満点だった。その結果を見てようやく対戦訓練への参加が許可された。


ただし対戦訓練は厳しかった。上位層には完膚なきまでに叩きのめされ、グロックが中堅の中でも下位だったと知り、改めて中堅層にもボコボコにされた。上位層は俺がマフィスから名前だけ聞いていた王国騎士流剣術を完全にマスターしていた。


あれを習得しないと上には行けない。マフィスは今どこにいるんだろう。休日に教わりに探しに行くか。


「まずは基礎訓練を完璧にこなせるようになることからだな」


そう呟きながら、俺の成長が本格的に加速し始めた。

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