↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/140

第18話 【生死】

遠方から魔王軍が押し寄せてくる。ゴブリン、オーク、リザードマン——様々な種族の魔物が地平線を埋め尽くすほど大量に見えた。


騎士団長の指示のもと、冒険者と騎士は素早く赤・青・黄の3チームに分かれた。俺は青チームだ。

作戦はシンプル。左翼を赤、右翼を青、正面を黄が担当し、迫り来る魔物の大群を挟み撃ちにする。


しかし地上チームが動き出す前に、城壁の上に設置された大砲と弓が火を噴いた。

轟音と共に砲弾が魔物の群れに叩き込まれ、矢の雨が降り注ぐ。衝突前から敵の戦力をじわじわと削っていく。


そして——衝突。


ゴブリン、オーク、ハイゴブリン、リザードマン、コバルト、ゾンビ。あらゆるモンスターと冒険者・騎士が入り乱れ、戦場は一瞬で地獄と化した。城壁の上で指揮を執っていた騎士団長も任意型上級スキル【縮地】で黄チームに瞬時に合流し、正面の敵をバッサバッサと斬り落としていく。


俺も前線に踏み込み、《連撃斬》で大量の敵を次々と叩き伏せた。


4方向——右、左、正面、そして城壁上からの砲撃——による猛攻で魔王軍の戦力は着実に削られていった。このまま押し切れると思った、その瞬間だった。


魔王軍が動いた。


体長10メートルを超えるアイアンゴーレムが10体、地を揺らしながら現れた。そしてそれ以上にまずかったのが——かまいたちの召喚だった。


かまいたちは戦場を暴風のように駆け抜け、騎士を紙切れのように刻んでいく。一瞬で、一瞬で前線が崩壊していった。まるで戦国時代の戦場にマシンガンが持ち込まれたような一方的な蹂躙だった。


その混乱の中、俺は同じ青チームのテオを見つけた。


次の瞬間、テオは縦横に4つに切り裂かれ、絶命した。


「クソッ……こんなあっけなく死ぬのかよ……!」


怒りと無力感が全身を走った。だが立ち止まる暇はない。


騎士団長が指揮を捨て、かまいたちと真っ向から激突した。かまいたちをしのぐスピードで追い回し、一息に仕留める。そして大きく叫んだ。


「俺はクリスクと共に強い敵を相手する!お前らは残りを片付けろぉぉぉぉ!!」


そう言って騎士団長はアイアンゴーレムへと突っ込んでいった。


——クリスク。やっぱりここにいたのか。


俺はゴブリンなどの雑魚を処理しながら考えていると、突如として魔王軍の後方で爆発音が響いた。騎士団長は「気にするな!」と叫んでいるが、煙が薄れた先に人型の影が見えた。ただそれ以降は魔物に遮られ見えなくなった。


俺は狩れる敵を徹底的に狩り続けた。

しかし序盤の弱い魔物が減るにつれ、現れる敵の質が上がっていく。ハイゴブリンの騎士、螺旋パンダ——それに比例して、周囲の騎士や冒険者の死者数も増えていった。


ハイゴブリンの騎士は手強かったが、戦いを重ねるたびにレベルが上がり基礎力も向上している。苦戦しながらも対処できる範囲だと分かり、徹底的に狩り続けた。気づけば合計で11レベルが上昇していた。


そんな時、戦場に異変が起きた。


あの赤鬼が魔王軍に合流したのだ。第5中隊を壊滅させたのにも驚いたが——出会った頃よりもさらに凶暴な姿に進化していた。そして先ほど爆発音と共に現れた人型の影が、他の魔物に撤退を命じ、赤鬼との共闘でこの街を落とすと宣言した。


「俺は四天王が一人——戦斧の魔神、アヴェンタドール・シルバだ。この中で最強の者よ、タイマンをやろう!」


その瞬間、クリスクが前へ出た。


振り返り皆に告げる。


「お前らと俺が共闘しても、勝てるか分からない。俺が戦っている間に市民を誘導しながら逃げろ……!」


シルバは嬉しそうに笑った。


「いいねぇ!いいねぇ!他の魔物は避難を邪魔するなよ——こいつを瞬殺して、皆が絶望する顔が見たいからさ!」


全員がグラニスへと走り出した。俺も全力でダッシュしながら市民に声をかけ続けた。


振り返ると、太陽にすら届きそうな巨大な戦斧を構えたシルバと、それを正面から受け止めるクリスクの激闘が始まっていた。


市民全員を城壁内の安全区画から完全に退避させ始めて3分。


ドガァァァン——!


城壁が大きく砕け、破片が降り注ぐ中から一つの影が吹き飛んできた。


クリスクだった。


体中ボロボロで——左腕が、なかった。


「おぉ……マサムネ、ここにいたのか」


かすれた声で、それでも穏やかに言った。


「俺はもうじき死ぬだろう。領主の城にクロエがいる……頼む」


俺が返事をする間もなく、クリスクは何処かへと飛んでいった。


10秒ほど戦闘音が響き——巨大な爆発音が轟き——静まり返った。


その沈黙が全てを語っていた。誰もが言葉を失い、クリスクの死を静かに悟った。


俺は歯を食いしばり、領主の城へと走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。