第126話 【コーンラビット】
回復薬を持った俺は慎重に山の中へ入っていった。山の中は無駄に静かになっていた。
俺はコーンラビットには実は15回程会ったことがある。ただ漏れなく全て逃げた。あの時の存在感は真実層すらも遥かに超えている…だが今は基底物質の抽象層を駆け上っている、多少は対抗できるだろう、というか出来ないと困る。レベルを吸収できないからな…
「どこだ?コーンラビット」
レベルの吸収を目的としている俺からして、不意打ちはまずい。早くコーンラビットの位置を把握しなければ…
無駄に静かな森、スライムやコーンラビットが現れる気配すらも感じない…
緊張感に包まれながら歩いていると一点に大きな気配が現れた。
「あ、あれか…?」
草で隠れてあまり見えないが角とうさぎのもふもふな毛が見える。
俺は剣を取り出しコーンラビットを切りつけた…と思ったが感触がない!
「どこにいった!?」
その時右足がえぐられる感覚がした
目線を右足に移動するとふくらはぎがえぐられていた。
「いっっつ」
痛いというよりも熱い…!痛みには前の領域で慣れたと思ったがこの痛み…自動回復も動かないしッッッ!
「ヒーヒーヒー」
俺は地面に倒れた。頭では早く回復薬を使わなきゃと思い何か出そうと空間ボックスの中を探しているが、思い通りに手が動かない
「ピーーー!」
コーンラビットが倒れた俺の腹に対して角を突き刺した。角が俺の内臓を突き破り先端部分は明らかに俺の背中を貫通し外に突き出てる。どんどん俺自身の思考が鈍っているのが分かる…
「掴んだ…」
最高級の回復薬を掴んだぞ…
俺はそれをすぐ口に運び肉体の再生の過程でコーンラビットの角が巻き込まれないようにコーンラビットに斬撃を放ちどかした。
どんどん俺の腹が再生されていっているのがわかる。最高級の回復薬すげぇ…
俺は早速立ち上がり、政宗流剣技三の型をコーンラビットに放ちまくった。
コーンラビットは最初何も食らっていない様に首を傾げていたが、途中少しダメージを食らったのか驚いていた。
その驚いた反動でパニックに陥ったのか俺の足へ突進してきた。
俺はすかさず避けたが、足に少しの切り傷ができてしまった。
「改変があともう少しで基底物質に到達する。それまでは辛抱だ」
俺は安い回復薬を食べ、切り傷を直した後にコーンラビットに斬撃を放ちまくった。
するとコーンラビットは空間改変により俺の右半身を全て捻じ曲げた。が、レベルが多少なりとも上がったおかげで体は筋肉に対する負荷程度のダメージしか喰らわなかった。
「今のレベルは36万、相手のコーンラビットは40万か…交差するまで残り2万、いけるぞ!」
コーンラビットが時間改変による過去に対する攻撃も全て防ぎながらコーンラビットに対して三の型を放ちまくった。
そして、遂にコーンラビットのレベルが俺より下になった。しかも改変も基底物質に到達した。
「コーンラビット…お前は死ぬ」
俺は更に三の型による追い打ちをかけ、コーンラビットはどんどんレベルが下がっていき…コーンラビット自身も俺には勝てないと認識したのか逃げようとしていた
「逃がすか…!」
最後は現実改変によって体全体を破裂させて終わらせた。
コーンラビットがいたはずの場所には血の水たまりが出来ていた。そしてその中央には光り輝く一つの結晶が落ちていた
「コーンラビットの魔石か」
中央には何か幾何学的な模様が浮かび上がっていた。何か不可思議的な精神体が生まれ、それら全てに同様の精神体が刻まれている…
「美しい…」
自然とそう思ってしまった。いいや、そう思わないとおかしいだろう。それら精神体がそれぞれの文明を築き上げそれら全てが独自の法則を持ち、本来の精神体が大宇宙の意志としてそれぞれ交錯している。
彼ら自身にも生活があり、共同の精神は大宇宙の意思に集結される。彼ら自身にとって皆は一であり一から全てが発生する。それこそが強大な精神体の一部となり得る…なんて美しいのだろう。無数の大宇宙である精神体内部では泡のようにまた大宇宙が発生する。
「皆が全であり上位の精神体の一なんだな」
コーンラビットよ。お前はとてつもなく美しい、スライムの結晶構造にはありとあらゆる論理の可能性が含まれた世界があったが、こちらは皆が協力し合って生きる大宇宙の集合体…生物として感じる美しさがコーンラビットには詰まっている
「こうして見ると、モンスターを倒してそれぞれの結晶の構造を見るのもありかもしれんな」
レベル吸収後のコーンラビットなら倒せるが、レベル吸収前のコーンラビットに対してはどうか未だ分からん…だからとりあえず帰るか




