第124話 【お金稼ぎ】
魔導師の家を出て、俺は少し広いところに移動した。魔導師から聞いた話を踏まえて改変の練度を引き上げる。
俺は目を瞑ってみる。魔導師の話を聞く前は何もイメージできなかったが、今は明確にイメージできる。
原子と原子同士が結びつこうとすると纏まり連結が発生し無限後退による虚が発生する。
そこから原子同士が結合するのだ。
概念が混ざり合う…概念が…
くそ…こっからちょっと厳しいな。二項対立が成立しない圧倒的カオスが想像できない。一旦下層世界へ落下して体験してみるか?恐らくそのほうが手っ取り早く出来るな
俺は原子の赤い本の領域まで落下した。
周囲を見渡すと、うっすらと巨大な原子がこちらに近づいてきてた。
「さぁ俺に結合を体験させてくれ」
原子と原子同士は明らかに何もない領域である虚を作り出し融合、互いの無意識の階層が流れ込んできた。
内なる無意識の階層の生命、領域、概念、階層それらが浸透し善と悪の境界線がなくなり、真と偽すらも区別不可能…更には可能と不可能、ここで言う意識と無意識の境界線すらも崩壊し融合しまさしくカオスが生まれていった。
「空間全体が歪んでいってるな」
そして、赤い本と赤い本が混ざり青い本が誕生した。
「遂に始まるのか。原子の連結的構造!」
青い本の真実昇華の作用にて今回選ばれた概念は扇風機だ。扇風機を起点として概念的に無限に真実が発展していった。例えばモーター、機械のようにより抽象的な大きな概念という括りにおいてより根本に近づき、その根本から根や茎、葉っぱなどが展開されるように多種多様な概念が昇華していった。
「なるほど…こういうことなのか」
既存概念は全て否定され、より真実性が高い概念へ既存の数学で1+1+1=6ならば、真実性が高い数学においては1+1+1=3であり、更に真実性が高い数学においては1+1+1=∅であるように我々の既存の論理学は崩壊し、一新される。原子の連結的構造の本質は概念の昇華だ…真実性が増すが故により完璧に近い数学が生まれる。魔導師が言っていたことを体感できて良かった。
その時、俺の改変の練度や優先度、精度は飛躍的に上昇した。
「あとは、この上昇を何度も何度も繰り返し改変の練度を上げるだけか」
俺は原子レベルの世界から通常の世界へ戻り、この上昇を出来る限り繰り返した
今できる限りだと結合数5程のレベルだがな…最終的には極致に存在する真実層の頂点に到達したいな
俺はそう思いながらも何かクエストがないか確認する為にギルドへ向かった
ギルドにつき掲示板を確認すると、小さい村ということもあってクエストなどは無かった。
「コーンラビットを倒せるようになったら拠点を移動しないと駄目だな。まぁその為にはお金も貯めないとだが…」
「森の中だとスライムを倒してお金稼ぎをしたいが、コーンラビットがいるらしいし…いや、でもお金は貯めないと」
俺はそう葛藤しながらもスライムを倒してお金を稼ぐことにした。
俺は森の中へと入り、早速スライムに出会った
「スライムだけはしょっちゅう出るな」
俺は現実改変にてスライムをひん曲げて倒した
そして、スライムは消滅しスライムの魔石が一つ落ちた
「とりあえず100グラハムは稼ぎたいから100体は倒したいが……たくさん狩れば狩るほどコーンラビットに遭遇する確率は上がるしなぁ」
お金稼ぐために妥協せずに行くか!
出来る限りの範囲で稼いでいこう。
まず、一匹目スライムに遭遇!倒して1個ゲット。2匹目遭遇して倒してゲット!3匹目倒してゲット!4匹目ゲット
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99匹目倒して魔石をゲット!最初に倒した1匹目含めて100匹倒せたぜ!コーンラビットはそれらしいのは何回か見かけたが、すぐ逃げたら攻撃すらもされなかったから案外余裕だったな。
もう段々と暗くなっているし一旦帰るか。
俺は魔石をギルドで売り、宿屋に戻って眠った。
翌日、朝は魔導師に「今日からお世話になります〜〜」などと挨拶をし朝〜昼は原子の結合数を増やして改変の練度を高め、昼〜夜近くはスライムを何十体、何百体と倒してお金に変えるという生活を送った。そのルーティンは俺が今日の限界と感じるまで行い次第に結合数はℵ₀、ℵ₁、ℵ₂と基数の階段を登りℵ_ℵ_0まで到達した。
1日に倒すスライムの数は150体でぴったりと止め、魔導師の家へ帰ると魔導師の身の回りのことをしてあげ眠りについた。
こうして、11日後結合数はある一つの特異点を迎えていた。すなわちアレフ数すらも辿り着けない究極の極致である巨大基数と呼ばれる概念…最初の巨大基数の到達不能基数だ。
概要としては以下の定義で成り立っている。基数κは以下の性質を満たす
κは非可算である。
κは正則基数である。
強極限基数である。κ未満のどんな基数λに対しても2^λ<κが成り立つ
まず、κは非可算である為ℵ₁以上であることを満たす。そして正則基数というのκより小さい基数を、κより少ない個数だけ集めて和を取っても、κに達しないというものである。例えばℵ₀は自然数を有限個集めても到達不可能であるからℵ₀は正則基数。ℵ₁もℵ₀をℵ₀個集めても到達不可能であるから正則基数。
また、ℵ_ℵ_0(ℵ_ω)はℵ_0,ℵ_1,ℵ_2という極限であり、それらをℵ_0個集めると到達できるため正則基数ではなく特異基数と呼ばれるものとなる。
話を戻すと今の時点では基数κは非可算であり正則基数であることからℵ_1の時点で成り立つが最後の性質が少し厄介。
κ未満のどんな基数λに対しても2^λ<κが成り立つという性質により、ℵ_1などは2^ℵ_0=ℵ_1が成り立つ為違うといった形でほとんどのものが否定される。
冪集合をとれば元の集合がどんなのであれ、それよりも上位のものが作れるという法則の崩壊をもとに作られたのが到達不能基数である。
そんな到達不能基数レベルの結合数を俺は迎えた。
「到達不能基数…俗に言う巨大基数という大きな分類の一部か。ただどうやって基底物質にたどり着こうかな」
なにか根本的に違う気がする。原子の連結的構造ではどう頑張っても辿り着けない…
一回魔導師にでも聞いてみるか。




