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第123話 【連結】

今日が実質宿の最後の日か。明日からあの魔導師の所に住まわせてもらうからな


俺は自分の宿の部屋へ入った。


「そういや、あんな小さい村にあんなに人がいること自体がおかしいよな。空間が全部共有されているのか?」


俺は自身の宿の部屋に荷物が何もないことを確認し、自身の部屋から出て順当にラベリングが出来ない領域に割り込み無限の空間から出た。


「何度見ても相変わらず人はいるな」


俺は近くにいた犬の獣人に話しかけた


「失礼、質問があるのだが…」


「うん?なんだ」


「君もあの村から宿に入ってきたのか?」


「そうだが、何か?」


「失礼だが、そこまで発展していない村からこんなに多くの人が宿屋を使うとは思えないのだが…」


「ん?お前知らないの?この宿は全ての方向に対応しているんだよ?サービス向上のために」


「それが、これとどう関係するんだ?」


「いや、だから過去、今、未来の時間軸方向に対応しているからだよ」


「あれ?ここは図形の形を正しく定義する為の無限次元しか存在しないんじゃないのか?だから色んな存在が形として存在しているんじゃないのか?」


すると犬の獣人はため息をついた


「そんなの宿屋の法則の一部でしかないよ。ここは中央連邦が経営している宿屋だぞ?そんな軽々しいものじゃないよ」


「じゃ、じゃあどんなのだよ」


「過去、今、現在が同時に存在するような時間軸方向は当たり前で無限の可能性により分岐したパラレルワールドの住人は勿論、可算無限から非可算無限まで…言うなればℵの階段なるℵ_ℵ_0含めありとあらゆる基数が含まれているぞ?これも宿屋の法則の一部でしかないが…」


「俺も忙しいから端的にお前に伝えると数学的に存在可能なありとあらゆる概念が宿屋に密集しているとだけ考えとけ。あばよ」


犬の獣人はそう言ってどこかに消えていった。


「数学的に定義可能なありとあらゆる概念か…まぁそうだよな。今は多様性の時代…どんな存在でも数学的範囲内なら安全に宿屋へ迎え入れられる。宿屋としてこれ以上にないサービスか。それで過去、今、未来が無限に存在するから無限の時間軸上から無限の人が集まる。多分宿の部屋も色んな数学的存在につけて多種多様なバリエーションの宿の部屋があるんだろうな」


俺が無限以下の存在だったから無限の宿の部屋にいたのか。

俺は宿屋から出ると次は打倒コーンラビットの為にトレーニングを始めた。まぁトレーニングとはいうものの下位の構造の把握と理解なのだがな。

俺は目を瞑ってみる。だがなんの効果もない。俺が知っていて完全把握している構造なんて原子+とスライムの魔石程度だ。ここからどのようにして認識するのか…

自分が知らない、知り得ない構造を把握する術を身につけたいな。そうだ魔導師を尋ねるか


俺は魔導師が住んでいるトゲトゲした家の中に入り集合を貫通して魔導師の部屋へ入った


「どうしたんだい?」


魔導師は前見た場所と位置が変わってなかった。


「なぁ、俺は強くなりたいんだよ。原初の勇者を追うためにな」


「あ〜なんか聞いてたね。原初の勇者のことについて」


「じゃあね、ちょっと教えてあげようかな。ちなみにどこまで知っているの?というかどこまで到達した?」


「原子+ぐらいかな…」


「じゃあ、それ以降のものを解説するね。正直言ってこの世界って万物に構造が宿っているから説明するのも面倒くさいんだけどね」


そうして魔導師は話し始めた。


「まず、原子の連結的構造だ。ここでは拡張された原子である原子+も含まれる。まずここで原子と原子同士の間には『虚』が発生する。これは纏まり連結という現象によって発生するものだ。纏まり連結というのは原子と原子が結合又は近づくと発生する現象なのだが、原子の構造体というのは何だったか覚えているかい?」


「え〜と、意識あるものから見た不可知な領域である無意識…無意識あるものから見た不可知な領域である無意識の外側…という繰り返しを経て発生する階層全てを統一しフィクションとみなす赤い本だよね」


「そう、そして原子の最高単位が赤い本だよね。その下層の世界というか赤い本周辺に存在する無意識の階層が丸められ圧縮された所を含む原子内に全てに対してフィクションとしての反応を行っている。では、質問原子と原子がくっついたら、この作用がどのようになると思う?」


「フィクションにする作用とフィクションにする作用がぶつかり合う?」


「そう、原子全体とその周辺を覆う赤い本のフィクションにする作用…まぁフィクション化作用がぶつかり合う。そのフィクションとフィクション同士が結合されると、両者が互いに…というかフィクション化作用が働く領域同士がふれあい無限後退をし始める」


「無限…後退?」


「まぁ簡単に説明するとAとBがあり、AがBよりも下位の存在になる。するとAがBを引きずり込みBがAよりも下位の存在になる。それを繰り返すとどんどんAB共に下位の存在に連続的になるってことさ」


「そして、話を戻すと無限後退をし始めた原子の領域達は両方共に後退し過ぎてAとBという差分が無くなり、纏まる。そして『虚』が生まれるんだよ。そして原子の連結的構造が始まるってこと」


「そ、それで虚からどうやって原子の連結的構造に…?」


「虚というのは先程も話した通りABの2つの特性が無くなった状態だ。つまり何もない領域。だから虚だな…そこから、部分的にフィクション化作用がなくなった原子は結合するんだよ。そして内部の無意識の階層も混ざり合う」


「すると…どうなるんだ?もしかして互いの無意識の階層の内部の概念が混じり合うのか?」


「ちょっと惜しいかな。たしかに無意識の階層は混ざり合う。ただ問題はそこじゃない…纏まり結合により空いた空洞からフィクション化作用が再度流れ込み、フィクション化作用が混ざり合うんだよ。この時は虚は発生しない…そしてフィクション化作用が混ざりあった原子はある一つの作用が生まれる」


「一つの作用…?」


「真実昇華の作用さ。概要を話すと互いの無意識の階層内部に存在する概念が混じり合いカオスが発生する。勿論数多の無意識も混ざる。そこで混じり合い真実も嘘も答えも不正解も物質も精神も…ありとあらゆる二項対立が消滅する。そこで発生するのがあらゆる概念の集合の外にある二冊の赤い本が結合した青い本だ。これは通常の赤い本の特性であるフィクション化作用とさっき言った真実昇華の作用が含まれる。そして真実昇華の作用というのはある一つの物事を真実として更に高い階層へ位置づける」


「そ、それがどうして強いっていうか、どんなふうに働くの?」


「一つの物事を真実として昇華させると、勝手に他の概念が偽…つまり否定される。無意識の階層内部の存在が作ったどんなに完成された数学や論理すらもリンゴが本当の真実となれば否定され偽となる。これによりリンゴを軸として更なる高位の真実を帯びた概念が更に発達する。既存の単一原子にのみ存在した無意識の階層というのも粉々に砕け散り、新しい真実性を帯びた無意識の階層が発生する。これらは結合され原子の連結的構造が生まれた2つの原子に更に一つの原子が加わると構造的には原子の連結的構造とは同等だが、また更に真実となった無意識の階層や論理や数学は全て偽、否定され更に更に真実となった概念を軸に無意識の階層や論理が発展する。という感じだ。基本的には原子の結合数-1の分この真実の階層が生まれる」


「なるほど…ちなみに3つ原子が結合するとしたら青い本+赤い本になるけど、その場合も青い本になるの?」


「青い本が実質的な原子の連結的構造の本体だから、基本的には青い本になるね」


「ちなみにこれ以外の構造ってどんなものがあるんだ?原子の連結的構造を破壊させるものとか?」


「ううん。違う…次は基底物質だ。真実昇華の作用を行い真実層の頂点に到達する。だがしかし、そこは基底物質の影しか無かった」


「影?」


「影とも言うし、断面とも言える。4次元断面は3次元球だし、語り得ないものの影は語り得るもの。そう影というのはある超越的な概念を低レイヤーに合わせて具現化させることだ。そして遥か果ての真実層…原子の結合を繰り返して行くと一つの基底物質という存在の影に辿り着く。ただ影は実態になれないように幾ら結合を繰り返しても算術を用いても基底物質には辿り着かない。じゃあ基底物質はどうなっているか分かるか?」


「基底物質は全ての真実層を簡単に貫ける強大な真実の塊?」


「いや、違うな。真実層を簡単に貫ける強大な真実の塊は無限の真実層を貫けるℵ₁、実数集合の真実層で終わりだ。その様は算術、数学的論理、超限数などありとあらゆるものですらも到達できないものだ」


「基底物質かぁ…そこまで来ちゃうと表現できないなぁ」


「そう、それが基底物質の本質だ。原子の連結的構造程度の全体的な法則程度では更なる上位である基底物質を表現できない。表現をしてしまっては己の論理により基底物質を縛り付けることになる。己の論理で表現できる範疇にある。といった形でね…だから否定するしかないんだよ」


「え、じゃあなんで俺達は否定せずに基底物質を表現できてるんだ?」


「そりゃあ俺達が基底物質よりも上位の存在だからな。お前が思っている以上に俺達は凄い」


「はへ〜」


「そして、話に戻るが基底物質はそのような否定を取る手法にて原子の連結的構造よりも上位に君臨する。明確に断層ができ、基底物質の本質である否定の影に存在する『基底物質には到達不可能、基底物質は表現不可能』という不可能の影を踏むしか原子は出来ないんだよ」


「な…るほど。原子は真の基底物質を踏めず低レイヤーに合わせた基底物質の影にしか到達できないのか」


「よし、もう昼頃だ。これをもとに自分自身の改変を高みへと昇華させにいって見て。楽しいよ」


「よし、分かった。君が教えてくれたことは無駄にしないよ」


俺は魔導師にお礼を言い魔導師の家から出た

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