第120話 【物語】
「いや〜楽しかったなぁ」
"お誕生日"クエストの内容は子供の誕生日に悪役として突入して、それを子供が倒して、その悪役が持っているアイテムをプレゼントとしてあげるみたいな感じで実に微笑ましかった。
そうしてチップとして報酬に上乗せで20グラハムを貰った。Expは10で所持金は21グラハムとなった。
俺は宿屋に帰り眠った。
翌日、今度もまた少年の所へ向かうと朝から向かうといなかった。俺は朝すぎたかな?と思いながら冒険者ギルドへと向かった
「今日あるクエストは〜」
掲示されたクエストを見ようと掲示板をみると、昨日あった"回復薬採取"クエストしか無かった。
「回復薬採取のクエストやるか?いや、死んだら元も子もないしな」
俺は冒険者ギルドから出て、近くの広場で改変の訓練を行った。
まぁ、昨日分かったように原子サイズの矮小世界内部に存在する無意識の外側の階層による殻仮説に則って、無意識の外側へ外側へと内なる存在に対して不可知、不能の存在にどんどんなっていけば、改変の優先度が上がるから…それをやるだけなんだよね。
スライムが無意識の階層の何層にいるのかは分からないが、とりあえず無限階層までは頑張るか。
俺は原子を感じ取り、その内部の住人へ視線を向けた。
「あぁ…大いなる神よ!我らに力を分け与えよ!」
そこには複数の人々が焚き火を囲んでダンスを踊っていた。
「私達の父はきっと私達をみて悲しく思い、雨を降らせてくれる!」
水が無いのか…俺が分け与えてやろう。
すると大雨が瞬時に降った。
「あぁ!神は存在していた!」
そして、俺はこの出来事を見て地球では実現し得なかった神の存在証明が行われた1万年後の人類を見るためにストーリーを書き換えた
神暦100xx年神による力が溢れたこのアダプトスには神力者と呼ばれる者が跋扈していた。神の力を使い有から無へと、無から有へと…果てには時間逆行を行うものまで現れた
"ちょいちょい"
「何だ?」
誰だ?こいつ…変な奴が干渉してきたな
"俺が基礎を作り上げた世界を書き換えてもらっちゃ困るよ〜"
「お前は誰なんだよ」
"無意識の外側×30の住人だけど?"
「別にいいじゃん。書き換えても…君が作った台本を荒らすことになっちゃうけどさ」
"いやいや、あぁもういいや。無意識の外側×2程度を操るお前は俺よりも下だろ?俺が書き換えてやるよ"
「どうせ、できないよそれは」
"なぜ?内なる意識というのは存在が自ら変えられるもの。「独立したい」という意識は「独立したくない」という意識にも変えられる。その上無意識は意識からは変えられず、意識的には不可知だ。そして、無意識の存在は無意識を自由自在に操れる。よって意識は無意識に包摂され、無意識を自由に操れる者はそれに含まれる意識ある世界を操れる。それゆえ意識あるものは不可知な無意識を創造主、作者として顕現されている一部を認識する。無意識はそれより外側の無意識の外側の存在を顕現されている一部を作者として認識する。まぁお前の場合は俺を認識している時点でちょっとイレギュラーだが、この階層差は覆らない。さて死ぬがよい"
「どうかな〜?」
此奴の全貌を把握する時点で俺の無意識の階層は俺の方が遥かに上。さっさと書き換えよう。
「とりあえず、お前は死んだ」
"何言ってんだ?"
無意識の外側×30に存在したアト・ワイズは静かな図書館で本を読んでいた。本に描かれた物語が実際に現実に現れる領域だ。そこには全ての文字列によって構成された現実から切断された本があり、それをアト・ワイズは好奇心から開いた。
すると、全ての文字列が書かれている本には全ての文字列が組み合わされて全ての事象により構成されたアト・ワイズ死亡の痕跡が描かれていた。
「な、なんだよこれ!?」
アト・ワイズは無限のパターンの死をそうして経験していった。
「うん、いいね」
無意識の外側×30の存在は死んでいった。
無意識の階層をその後、俺は黙々と登っていった。実に簡単だ。不可知性やら作者によるメタ的な断層などを無視して階段のように登ればいい。
こうして俺は無限にも及ぶ階層を上っていった。つまるところ…ℵ₀だな。
こうして考えてみると宿って本当に単純な構造しているんだなと思う。あくまで一般的な次元数を保有する存在全てに平等に宿を提供するだけだもんな
そうして俺は普通の世界へと戻った。
時刻はおよそ10:00?
俺は師匠と会った場所へ向かった。
「師匠!」
「今日も来たんだ!」
「弟子よ!今日は〜〜〜スライムが保有する構造を貫通して改変する為に無意識階層の上限であるℵ₅₀階層まで行くよ」
あ、あれふ50???
「まずそもそもℵについての理解はあるかな?」
「ま、まぁ一応…ℵ₀が可算無限ってこととℵ₁がℵ₀の部分集合を集めた冪集合ってことぐらいには…」
「ま、それと同じで!ℵ₅₀もその冪集合の繰り返しを50回繰り返した程度だね」
原子のサイズがあり得ないほどデカいな…
「それに到達するんですか?今日で…」
「まぁ、そんな難しいことじゃないよ。練度は違うけど、階段みたいに……え〜と、登っていけばいつか到達できるよ」
「というか、師匠。質問なんですが、俺達が保有する規模と改変の練度?精度?というのは違うのですか。今更ながら最初にウサギを殺せたのが不思議でたまらなくて」
「なんだよ!そんなことも知らなかったのか。この世界…いやこの領域の通常世界に来た時点で保有する規模自体は底上げされているよ。その上でどれほどの規模を改変できるかだからね。規模というか、規模による改変の優先度っていうことになるのかな。優先度が高い構造を持つ規模の改変はそれ以下の改変よりも強いんだよ」
「ど、どのようにして?」
「どのようにって…改変が優位にあればあるだけ優先度が高い。それだけさ。そして、生物に関しては大半が改変防御性を保有していて、構造物も改変防御性を保有している。けれど空間や時間、運命っていうのは改変防御性を保有していないから容易に改変できる。みたいな感じかな…ちなみに君の言ってるウサギってどこにいたの?君の力だとウサギは倒せないはず…」
「砂漠にいました」
「じゃあ……それはたぶん他領域か内部領域の他領域から来たウサギだね。運よかったね」
つまり、改変防御性や強さがこの領域基準じゃなかったから勝てたのか。それでも結構強かったけどな
「とりあえず、無意識の階層の果てに到達してらっしゃい!」
そう言って師匠は俺を無意識の階層へ突き落とした




