後日談
──その後、アンナもまたロイズに遅れること数時間後に意識を取り戻し、その足で謝罪をしたそうだ。
その時、ロイズとの婚約が解消になったことを知ったのだが、彼女は自分がしでかしたことをぼんやりと覚えているようで、その決定に異議を申し立てることもなく謹んで受け入れていた──が、しばらくの間は部屋に引きこもり涙を流し続け、ある日突然思い立ったように「魔道具製作」に没頭し始めたかと思ったら、あっという間にその道の権威レベルまで駆け上っている。
ロイズと共にガルヴァスへと戻ったルカは、ロイズを筆頭補佐官に任命し、二人で協力して国を再建している。
そして、姉妹国となったメティスリアとは友好な関係を築き、二つの国の国境に跨るように、新たな都市が建設されたのだった。
その都市の城壁は、メティスリアの膨大な魔力と、ガルヴァスの魔晶石を組み合わせた強固な物で、魔物の侵入を一切許さない城塞都市として機能している。
ちなみに、その城塞都市の管理を任されているのは、少しだけ言葉遣いのマシになったタイロンと、女性らしい服装をするようになったシリルだった。
二人は、住民からよく親しまれ、商人とも仲が良く立派に都市を纏めているそうだ。
メルドラは、メティスリア城に残り、戦うメイドとして雇われている。今でも、定期的にクレア王妃との秘密のお茶会は開催されていて、マナーの勉強にも精を出している。エドガーの名前を刺繍していたハンカチも、最近やっと完成したそうだ。そして、今はフェリシアの名前を刺繍し始めている。彼女曰く、お世話になった人、全員にハンカチを贈るつもりらしい。
ラシードは、ポルト村へ帰りよく倒れる祖父に代わり村長になったそうだ。彼は、オアシスの拡大と渓谷の警備に熱心に取り組み、少しずつ成果を出し始めていた。
──そして、8年前分の思いの丈を伝え合ったフェリシアとエドガーは、今まさに結婚式を執り行っているところだった。
ゼノとクレアは手を取り合い、感動の涙を浮かべてその様子を見守っている。
反対側の席では、ガレスが顔をぐしゃぐしゃにしてずっと男泣きをしていた。
二人はメティスリアを代表とする青と紫色の衣装に身を包んでいる。その二人の神々しい美しさに、参列客からの感嘆の声は鳴り止まず、誰もが恍惚とした表情で見守っていた。
綺羅びやかなステンドグラスから差し込む色とりどりの光の粒子に包まれ、司祭の前に向かい合って立ち、永遠の愛を誓っていた。
「フェリシア、この命が尽きるまで君を愛し続けると誓う。もちろん、一生この手を離すつもりはない。覚悟してくれよ?」
「私だって、一生エドガーから離れることはないわ。永遠に貴方だけを愛し抜くと誓う。一緒に幸せになりましょう!」
二人はこの瞬間、今この世界にはたった二人しかいないかというような、蕩けるような瞳で見つめ合ったかと思うと、司祭の言葉を聞くよりも早く唇を合わせた。
盛大な拍手と歓声が響き渡る中、8年分の想いをぶつけ合うように長く二人は瞳を閉じて、ただお互いの熱を感じていたのだった。
その熱々っぷりを目の前で見せられた、ジョナサンとレナは、どちらからとなく手を絡ませると、身体を寄せ合っていた。今は、国王となったジョナサンを公私共に支えるレナのお腹は、僅かに膨らんでいた。
ネロはレナの足元に寝そべり、退屈そうに欠伸をしているがその耳と尻尾は機嫌が良さそうに、ふわふわと動いていた。
雲一つない晴天が広がる空の下、それぞれの想いが一つになり新たな夫婦が誕生した。
そのおめでたいニュースはメティスリアだけでなく、ガルヴァスにもあっという間に駆け抜けた。
両国の民たちは、彼らの愛に溢れた新しい生活を願い──否、決して退屈することのない刺激的な毎日が続いていくことを想像して、自分のことのように歓喜乱舞したのであった。
そして、フェリシアとルカに懐いていた羽駆馬とガイア・ブレイカーは、仲睦まじく二頭で自由に両国を駆け回っている姿が目撃されていたらしい。しかし、年に一度開かれる両国の交流会に突然、銀色の仔馬を連れて現れて、かつて共に戦った全員を驚かせたそう。
これで、お転婆な白銀の王女と執着が強い黄金の騎士のお話は終わり──でも、二人の愛に溢れた日々は続いていく。
〈あとがき〉
最後まで、『白銀の王女と黄金の騎士』を読んでくださり、ありがとうございました!
無事に、フェリシアとエドガーが結ばれて良かったです。
初めての執筆作品なので、誤字脱字や繫がりが分かりにくい部分もあったかと思いますが、最後まで読んでくださった方々には、本当に感謝しかないです!
執筆しながら、ルカとくっついたらこうなったかな……ロイズとだったら……いや、ラシードでも良いな……などと、妄想を膨らませてしまうほど、私の脳内で作り上げられた男性キャラはイケメンばかりでした。
そして、作中に出てきた羽駆馬とガイア・ブレイカーですが、羽駆馬♂✕ガイア・ブレイカー♀なんです。
フェリシアがお転婆なので羽駆馬は誠実紳士。
ルカが誠実純粋なので、ガイア・ブレイカーはツンデレ女子として書きました。
一人一人のキャラの今までと、その後も描きたいと思っているので、その際は是非また読みに来てくれると嬉しいです。
もし「最後まで読んで良かった!」「最高の結末だった!」と思っていただけましたら、作品ページの下部にある【ポイント評価(★★★★★)】や【ブックマーク】、または温かい【完結レビュー】などを残していただけますと、作者にとってこれ以上ない最高の宝物になります。
これからも皆様の心を震わせるような、新しくて面白い物語を紡いでいきたいと考えておりますので、活動報告などで今後の新作の告知をお待ちいただけますと幸いです。
それでは、また次の物語でお会いしましょう!
最高の読者の皆様へ、溢れんばかりの愛と感謝を込めて。──2026年9月25日 作者・ホウキボシ




