↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】白銀の王女と黄金の騎士─婚約者が私を殺しに追ってくる─  作者: Piko-Lele
第6章 王弟との戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/93

斬撃と炎舞


「ゼノ!!──無事だったのね!」



城内へと帰還したゼノの元へクレアが駆け寄る。ゼノは向かい合って立つクレアの肩を力強く掴むと、険しい顔をした。



「──8年前と同じ状況が起こっている。しかし、今回は確実に勝つ!」


「そう言うと思っていました。魔法障壁は、もうすぐ完成します──見張り台を除いて」



クレアが見つめた先、北の森を見下ろすように立つ塔が東西に一つずつ。そのどちらの最上部の見張り台の部分には、ベールがかかっていなかった。



「ありがとうクレア!あそこから、タイタン・ベヒモスの侵攻を防ぐための攻撃をするぞ!」



ガレスは、タイタン・ベヒモスに近い東の塔へと足早に移動をしていった。そのたくましい背中が遠ざかっていくのを切ない瞳で見つめるクレアは、両手を胸の前で組み祈るような気持ちで見送った。



──時は少しだけ遡り、急に動き出したグレゴールがジョナサンへと突進していく。

ジョナサンが身構えた更にその前へと、エドガーとメルドラが立ち塞がる。



「殿下!下がってください!」

「あんた、弱そうだから下がってて!」


「でんんんんんん……がががががぁぁぁぁぁ!!」



口が裂けるのも気にせず、限界を越えて開かれたグレゴールの口からは涎が滴り落ちている。目は白濁しているが、その奥は血走っているようだった。



──ガヂィィン!!



グレゴールのジョナサンに向けて伸ばされた左腕は、エドガーの剣によって弾かれる。が、グレゴールの体勢は崩れず、次は右腕の触手をジョナサンへと伸ばす。



「──っこの、気持ち悪いのを引っ込めなさいよね!!」



メルドラが、触手を両手で握り締めると一気に轟炎の火力を上げる。メルドラが握っていた部分が、一瞬にして灰になって崩れ落ちるが、その部分から即座に新しい触手がジョナサンへと鋭く突き進む。



──ザシュンッッッ!



ジョナサンに触れる手前で、エドガーによって斬り落とされた触手は地面に落ちるとドロリと溶けて形を失った。ジョナサンは、軽く跳躍すると三人から距離を取る──そして、指先をグレゴールの右肩へと狙いを定めた。



「ラジアル・レイ!」



ジョナサンの声と共に放たれた鋭い魔法の弾丸は、グレゴールの右肩にぶち当たると光の粒となって四方へ飛び散った。しかし、飛び散った光の粒が触手に触れると途端に霧散した。



(僕の魔法はあの漆黒の皮膚とは相性が悪い……しかし、触手には有効そうだ!!)



グレゴールは、右腕を庇うように左腕を空へ向けると魔法の詠唱を開始する。その行動を見たエドガーは、驚きながらも剣を構えながら、グレゴールへと距離を詰める。



「──意思があるのか!?どちらにしろ、魔法は発動させない!──天烈一閃(てんれついっせん)!!」



エドガーは、グレゴールのすぐ側まで近づくと思い切り、斬り上げる。猛烈な勢いでグレゴールの身体へと斬撃がぶち当たり、少しずつその身体を後退させていく。しかし、その漆黒の岩石の皮膚には傷一つ付けられないばかりか、魔法の詠唱を止めることもできなかった。



「──ぎょぎょ玉……ざざざざざ!!よよよよ……よこせ!!──ブラッド・フレア!」



ドロリとした血の塊のような大きな溶岩の塊が、ジョナサンを目掛けて飛んでいく。その塊から滴り落ちた溶岩が触れた地面は、一瞬で溶けるとドロドロとした液体になった。



「ソル・クラスト!!」



メルドラが両手を地面へと叩きつけると同時に、グレゴールの足元から無数の岩の棘が勢いよく突き出す。それにより上空へと打ち上げられるグレゴールを見上げ、エドガーは剣を握る手に力をこめる。



(あの質量と勢いだと、天烈一閃よりも威力の強い剣技でないと弾き返せないな──!!)



エドガーは、溶岩の塊に向けて斜めに斬り上げる剣技を放った。



「嵐王連刃(らんおうれんじん)!!」



エドガーの斬撃は鋭い爪のように三又に分かれ地面を深く抉りながら突き進む。グレゴールが生み出した溶岩の塊を斬り裂いた。そのまま空をも斬り裂く勢いで上空へと駆け上がる剣技は、溶岩の塊を猛烈な風に巻き込みグレゴールの方向へと弾き返した。



──ジュワァァァァッッッ!!

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」



上空へと打ち上げられたグレゴールにぶち当たった溶岩の塊は、彼の漆黒の皮膚を僅かに溶かしながら真っ白な蒸気を発生させる。そして彼の絶叫と共に辺りに霧が立ち込め始めた。



「──エドガー!!霧が濃すぎる!一旦、僕の方へ!!」



ジョナサンが僅かに足を後ろへ下げた瞬間。



──バチンッ!!



激しい衝撃で足が弾かれ、ジョナサンは後ろを振り返る。そこには、魔法障壁が完全に展開されていた。紫色の光を放つその壁は、外側から触れるもの全てに激しいダメージを与える強固な防御壁だ。それは、敵だけでなく味方にとっても恐ろしい仕組みでもあった。



(──まずい!!後退しすぎたか──これ以上、後ろへ距離を取ることができない!)


「エドガー!メルドラ!魔法障壁が完成している!このままだと、僕たちが挟み撃ちにされてしまう!



──ブワァッッッ!!



ジョナサンが叫んだことで彼の場所を特定したのか、猛烈な速さでグレゴールが霧の中から飛び出し、ジョナサンへ迫る。



(──避けられない!!)



ジョナサンが防御の姿勢を取るのを見たグレゴールは、不気味な笑顔を浮かべて左手を硬く握り締め前へと突き出した。



「──プラズマ・ウィップ!!」



フェリシアが上空から伸ばした、紫色の電撃を纏う鞭が、グレゴールの左腕に絡み付く。そして、その鞭に引っ張られるようにグレゴールの体勢が左側へ崩れる。


その隙を見逃さなかったジョナサンは、地面へと両手を着き逆立ちの姿勢になると、両足をぐっと身体へと近づける。その直後、一気に腕を伸ばしそれと同時に両足もグッと伸ばす。



──ドカッ!!



手足を一気に伸ばす勢いを利用してグレゴールの顎へと蹴りを入れたジョナサンは、くるりと回転して着地した。


蹴り飛ばされたグレゴールの身体が僅かに上方向へ向かう力を感じたフェリシアは、釣りで大物を釣り上げるかのように渾身の力をこめて鞭を引き上げた。



──ブゥンッ!!



鞭に引かれてフェリシアの目線の高さ──霧のない城壁の上まで引き上げられたグレゴールと、フェリシアの目がバチリと合う。



「……びびびびぼ……美貌のフェ……フェリシアーーーーー!!!」


「──ひぃっ!!」



にんまりとした笑顔を浮かべて気味の悪い言葉を発するグレゴールを見たフェリシアは、そのまま魔法を解除した。上空で急に解放されたグレゴールの身体は真っ逆さまになって落ちていく。


そこへ、木々の枝から枝へと飛び上がってきたメルドラが、霧を突き抜けて現れる。少女は、両手を握り合わせ頭上へと振り上げていた。



「その気持ち悪い口を──いい加減、閉じなさい!!──クレプス・クラウン!!」


──バゴォォォォン!!



グレゴールの口元へと轟炎を纏った少女の渾身の一撃が振り下ろされた瞬間、体内へと一気に轟炎が流れ込む。



「ごぉぉぉぉああぁぁぁぁ!!!!」

──ズドォォォン!!



内側から燃やされながら地面へと激しく叩き付けられたグレゴールは、断末魔の絶叫を上げ激しくのたうち回る。



「ごぼぉっっ!!」



しばらく地面をのたうち回ったグレゴールは、大量の血を何度も吐き出す。その合間には、口から白い煙も吐き出し続けていた。どうやら、グレゴールの体内はメルドラの轟炎により、完全に焼き尽くされたようだった。


グレゴールの悲惨な有様を横目に、地面へと降り立ったフェリシアは、フードをかぶる少女へと歩み寄る。



「──お兄様?」

「ふふふ。やっぱり見る人が見たら分かるよね」



ジョナサンは、フードをそっと脱ぎ捨てると白銀の前髪の間から赤紫色の瞳をフェリシアへと向けた。



──ガバリッ!!



ジョナサンへ飛び付くようにして抱きついたフェリシアは、美しい顔をクシャクシャに歪めて涙を流す。ジョナサンは、愛おしい妹の背中をそっと撫でる。



「──なんで!死んだふりなんかしたの!?」


「ごめん。こうしないと、グレゴール様が動き出さないと思ったんだ──でも、そのせいでフェリシアとエドガーが仲違いをしてしまうことになるとは、思わなかったよ」


「アンナの話も、すごく説得力があって……信じてしまったのよ!!」


「──アンナは?一緒ではないのかい?」



ジョナサンが眉根を寄せた瞬間、兄妹のやり取りを聞きながら、周囲を警戒していたエドガーの切羽詰まった声が響いた。



「──タイタン・ベヒモスがこちらへ来る!退避するぞ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。