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第10話 医療人
「それと、もう一つ」 大東風さんが、やや声を潜めて言った。
……?
「これは、俺の口からは言えない事だから伏せるが、いつか機会があったら、ゲンキに『何故、看護師になろうと思ったのか』と聴いてみると良い。 『陽向 元気』と言う漢の根本を知る事になるだろう」
謎めいた言葉を残し、大東風さんが電話を切った。
以前、町野中央病院の深田先輩が『医療人って、何かのきっかけがあって、この道を選んだ人が多いと思うんだ』と言った事があった。(本作第2章『病理組織診』第7話『先輩』をご参照下さい)
病院の色々な人と話をしたが、確かにそのような方が多かった。 私のように『漫画家』になる為の『滑り止め』なんてふざけた人はひとりとして居なかった。
陽向さんも、看護師。 しかも精鋭中の精鋭『DMAT』に選ばれるほどだから、その努力たるや、私には想像もつかない。
陽向さん、過去に一体何があったんだろう?
***
後日、町野グループ『健康推進事業部』で、慰労会があった。 その時初めて、陽向さんの過去を聴いた。
それは、想像を絶する壮絶な過去だった。




