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第7話 秘策

 翌朝、陽向さんに、昨夜ゆうべ準備した検体採取用具一式を渡した。


「グループ内の検体容器も陽向さんが持って行くんですか?」


「うん。 グループ内施設に置いてから、外部に行くようになるな」


「すみません、私が運転出来れば……」


 恐縮していると陽向さんが言ってくれた。


「遥さんが謝る事は無いよ〜。 それより、昨日、俺が帰ってから前処理とか、ラベル準備までしてたんでしょ!? そっちの方が大変だったよね?」


「いえいえ! これは慣れてる仕事だから大丈夫なんです!」


 ……本当は、ちょっと寝不足気味で疲れていたが、これから長距離運転&検体採取をしなくてはならない陽向さんに比べたら、私の方がまだマシだ。


「あ、これ……持って行って下さい!」 私は、乳酸菌飲料とクエン酸飲料を渡した。


 陽向さんは多方面の知識があり『ストレスには乳酸菌飲料が効くんだよ』とか『肩こりには、この体操が良いんだよ』とか、その時々に応じたアドバイスをくれる。


「ありがとう! じゃ、これ」


 ……?


 あっ!


 陽向さんも、私が渡した物と同じ飲料を準備してくれていた。


 ひとしきり笑い合った後、同じ物だけど交換した。 『健康推進課』の『絆』を感じて嬉しかった。



 陽向さんが、資材をコンテナボックスに詰めながら言った


「で、遥さん……いよいよ?」


「はい! 今日という日の為に実証実験を重ねて来た、例の……」


 せーの!


「『作戦オペレーション・P』」


 グッ!


「ついに、この日が来たか〜」


「はい……その節は、ご協力、ありがとうございました」……と、私は陽向さんに頭を下げた。



作戦オペレーション・P』


 それは、来たるべき『感染爆発』の発生に備えて、我々が密かに研究と実証実験を重ねて来た秘策である!


 RNAは、カオトロピックイオン存在下でシリカへ吸着する性質がある。 ウイルスの溶解や夾雑タンパク質の分解にProteinase Kを採用し、 これにより、ず高純度のRNAを……


「あ〜! 遥さん、ごめん! 間に合わなくなっちゃうから行くね〜」


 これからが面白くなる所なのにぃ〜!


 し、仕方ない。


「あ、はい! くれぐれも気を付けて!」


 陽向さんを見送り、私は昨日採取して来た検体の検査を始めた。

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