第9話 二つ返事
この『PCR検査センター』が発足してから、最高で10名に満たなかった検査数が、急に200名! 予備を除いても180名は確実だと言う。
当センターに導入されている装置は、一度に30名測定可能だが、測定に90〜120分かかる。 事務処理の時間を省いても、9時間以上かかる計算だ。
今、午前10時。
準備に30分として鷹音市まで、往復4時間。 約200名、検体採取に2〜3時間か。
休み時間を取らずに、澱み無く進行しても18時。
まあ、今日中の検査は無理ね。
2人で荷物を積み込み、陽向さんの運転で目的の施設に向かった。
片道、2時間以上かかる。 慌てても仕方ないので慎重に高速道路を進む。
「さっきの『おおごち』さんって、何方ですか?」
「え? ……あ! 何かドタバタしてたから、ちゃんとした紹介は無かったんだね。 あの人、主語を言わない癖があるし」と言って、苦笑いした。
「大東風さんはね……」
ええぇぇ〜〜!
私の! 直属の上司ぃ〜〜!?
恥ずかしながら、私の上長は『穂上』さんだと思い込んでいた。
ま、まあ、姉妹グループだから、なあなあだし、事務室が工事中だから、知らなくても仕方ないかぁ……あははははは……。←ばか
でも、本人にお会いする前に聴いておいて良かったぁ!
「そう言えば大東風さん、陽向さんを『ゲンキ』って呼んでましたけど、仲良しなんですか?」
「以前の職場で先輩、後輩だったんだよ。 何かと可愛がってくれてね。 俺、違う病院に勤めてたんだけど、大東風さんが、この『健康推進事業部』の立ち上げをするから来ないか? って言ってくれて、二つ返事で転職しちゃたんだ」
「へえぇ〜、良い先輩なんですね〜」
良かった!
お子様が4人……いや、もうすぐ6人になる、お父さんの陽向さんが『二つ返事』で転職する程、信用してる上司なのね!
「あっはっは〜!」
陽向さんが大声で笑った! 何故に!?
『逆だよ! 逆! 逆! 誰かがちゃんとあの人のフォローしないと、大変な事になるからさあ〜!』
な! な ん で す と !(汗)




