表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
81/110

第7話 天国と地獄

 現在、男性看護師の割合は、あまり多く無い。 男性1:女性9の割合だ。 しかし、男性看護師の割合と需要は、確実に増加している。


 確かに夜勤を含め、看護師さんのお仕事は激務の極みだ。 性差をどうこう言うつもりは無いが、男女の割合は同等にすべき、と思ったりする。


 さて、前回から登場した『陽向ひむかい 元気げんき』さんも、男性看護師だ。


 ここ『東戸市中央クリニック』に新設された、私と同じ『健康推進事業部』に所属する事になった、四十代のベテラン看護師さんである。


『健康推進事業部』の事務室は、未だ工事中の為、しばらくの間、陽向さんと私は検査センターを拠点として活動する事になった。


 彼の人となりは追々紹介していくが、特筆すべきはお子様の数だ!


 なんと!


 4人のお子様がいる。 双子×2組だという。


 更に更に、もう一組が奥様のお腹の中にいらっしゃる! 奥様は20代だ。 あと数ヶ月で出産予定らしい。


 陽向さんは『子煩悩』を絵に描いたような人で、休憩時間に、スマホに送られたお子様の動画を、慈愛に満ちた微笑みで眺めている。 ……その姿は、年上に対して言うのは失礼かも知れないが、ちょっと可愛い。 


 愛する奥様と、6人のお子様に囲まれる陽向さんの姿を思い浮かべると、何とも暖かい気分になる。


 私は、流石に6人の子供を育てる自信は無いが、せめて2人位は欲しいな……などと、だ彼氏もいないのに考え、ぼ〜っと陽向さんを見ていたら、ついウトウトしてしまった。



 この頃は『PCR検査センター』の開設準備も一段落し、世間では『サターンウィルス』防止策として『緊急事態宣言』が発令されていたので、感染者もやや落ち着き、検査数もかなり減っていた。


 主な仕事は伝票や患者様にお渡しする説明書等の印刷と、ウィルス搬送用容器の作成だった。


 サターンウィルス検体の搬送は、通常の方法では行えない。 厚労省が定めた正しい方法で搬送する必要がある。


 ……サターンウィルスを入れたスピッツは、万が一、液漏れした時の為、ろ紙に包む。それを『二次容器』と呼ばれるジップ袋に入れて密閉し、『三次容器』と呼ばれる、安全性を担保された小型のダンボール容器に入れる事で、やっと搬送が可能となるのだ。


 ……実は、このダンボール作りが、大きな声では言えないが、それなりに退屈で面倒臭い。


 その、退屈な作業を、陽向さんは楽しい『競技』に変えてしまった!


 ……スマホで、運動会の定番音楽をかけ(剣の舞? とか、天国と地獄? とか……)、どちらが早く綺麗に作れるか……を競うわけだ。 ……漫画家を目指していた私でも、この発想は無かったなあ〜


「今回は俺の勝ち~!」


「ぐ! ぐやじぃ~! もう一勝負ひとしょうぶお願いします!」


「仕方ないなあ……。 じゃあ、今度は、新レコードを目指すかな!」


「いいえ! 今度こそ、私が勝ちますっ!」


 元来、競争欲が無い私をここまで乗せる陽向さん! かなりの策士と見た!


 ……そんな呑気(?)な日々を過ごしていたのだが、サターンウィルスの脅威は、着実に迫っていたのである……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ