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後編 悪しからず(解決編)

今回も、前回に引き続き、本編の登場人物たちが、もしも「刑事」だったら? という、パロディ短編です。


今回は解決編となります。


お楽しみください!


※深田先輩は、今回もお休みです。

 相棒――ハルさんは、眉間にシワを寄せたまま現場で固まっていた。


 俺は、彼女に語りかけた。


『ハルさん』


「……サム! 何か気づいたの?」


『何をそんなに悩んでる。  何もかもがツッコミどころ満載で、いっそ清々しいくらいだ』


 ま、まあ良い。 そう言っちゃったら面白味も何も無いから、状況や証言を検証するとしよう。


『いいか、ハルさん。 まず第一発見者の加藤さんの証言だ。 「テレビを消して寝ようとした時間」に音がした。 これは死亡推定時刻と完璧に一致するから矛盾はない。 だが問題は、凶器の青酸カリ(シアン化カリウム)だ』


「……問題?」


『ああ。 なにせ『毒物及び劇物取締法』で指定されている毒物だから、個人での購入は原則的に不可能だ。 薬物業界に精通した人か、工業用しか入手出来ない。 しかし逆に言えば、『蛇の道は蛇』で、入手する事は不可能じゃない』


「じゃあ、そこから容疑者を割り出せば良い?」


『まあ聞け。 ただし……だ。 これを服薬させようとしたら、並大抵ではない。 青酸カリの致死量は200mg……薬のカプセル一つ分だ。 結構デカいだろ? ガイシャを押さえつけて無理やり口に押し込むのは、至難の業だ。 それに、争った形跡も無い』


「……そうね」


『しかも、これが確実に胃に到達して、胃酸と化学反応を起こさない限り、致死性の『シアン化水素』が発生しない。 吐き出されたらそれまでだ。 もし、これをお酒や水に溶かして飲ませようとしても、あまりにもキツい臭気で、飲み込める物ではない……』


「……って、言うことは!」


『自殺以外には、考えられないって事だ』


「ミーヤさん」


 ハルさんが声をかけ、もう一度、大家田さんの身辺の洗い出しを命じた。




 数分後、ミーヤさんが警察手帳をパタパタさせながら戻ってきた。


「ガイシャの社長さん、実は高額な借金で首が回らなかったみたいですぅー。 それに、つい最近奥さんに先立たれて、すっかり気弱になってたって。 ……はっしーも、何か掴んだみたいですよー」


 交代するように駆け寄ってきたはっしーが、真剣な面持ちで報告する。


「 友人の証言で、被害者が何度も『死にたい……』と漏らしていた裏が取れました。現場の密室も、彼自身が最期に掛けた鍵だったんです」


『決まり』だな!



 こうして、この事件は俺の助言で解決した。




 捜査一課に戻ると、窓際で五木いつき刑事長デカちょーが、ブラインドの隙間から外を見つめていた。


「刑事長、事件解決です。……お祝いに、これから一杯どうですか?」


 ハルさんが声をかけると、刑事長はブラインドから指を抜き、ニヤリと笑った。


「良いね~。 ……お前の奢りならな!」


 ドッと沸き立つ捜査一課。 ハルさんは俺(親指)をグッと握りしめ、苦笑いした。


『名探偵サム』・完



『こんな事件で捜査一課が動くか!』という読者諸兄のツッコミは、百も承知でございます。


 ただ、作者がどうしても「一度でいいからテレビの刑事ドラマみたいなコテコテな展開が書きたかったんだよ!」と供述しております。


 今回ばかりは、大目に見ていただければ幸いです。


 悪しからず!

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