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第1話 結核
連日のように報道されている感染症……絶えず変異を繰り返し、驚異となっているが、その影に隠れて、更に恐ろしい病が存在している。
死亡率は14%……『某新型ウイルス』の死亡率1.6%と比べても、実に十倍近く高い。
その病は『結核』
……嘗ては不治の病と言われ、現在も世界の死亡原因の上位に登場する感染症である。
この感染症は、ウイルスが原因では無く、『Mycobacterium tuberculosis』という細菌が原因だ。
……実はこの細菌には厄介な性質がある。 殆どの細菌は簡単に培養して、それを使って検査が可能だが、『結核菌』は、特殊な専用培地、しかも『遅発育菌』で、菌が育つのに1~2ヶ月もかかる。
その上、かなり病状が悪化しないと喀痰等に排出されない為、顕微鏡で発見する事が困難だ。
その為、早期に診断するのに有効な検査法が、かの有名な『PCR検査』である。
一昔前までは『PCR検査』と言えば、『結核菌検査』の代名詞だった。
……その恐ろしい細菌に感染している疑いのある患者さんが、来院した。




