第2話 PCR検査
通常、入院時にはルーチンとして心電図を録るのだが、今回は院内感染を防ぐ為、患者さんが病室に入ってから録りに行く事になった。
前回の話と矛盾するが、その実、『結核』は、そこまで恐怖する感染症では無い。 勿論、正しい対策さえすれば…との条件付きだが……。
と言うのも、結核の感染経路は、経飛沫感染しかしない。つまり、食事・飲み物の口移し、歯ブラシやコップのシェア、何とキスでも感染しないのだ。 適切な消毒に心掛けていれば、恐れる事は無い。
とは言え、だ。 伝染病予防法に指定されている、感染が判明したら、即時届け出を行わなくてはならない病気に変わりはない。
技師長は初老、都先輩には幼い娘さんがいる、深田先輩は夏休み ……結局、私が心電図を録りに行く事になった。
患者さんが入院している個室は、厳重に管理されており、完全防備で入らなくてはならない。
防護着を着用し、準備完了。
いざ、入室!
患者さんは思ったより元気そうな壮年の女性だった。
感染防止の観点から、基本的に会話は厳禁だ。
患者さんもそれをご存じのようで、終始無言だった。
……狭心症の疑いはあったが、緊急性は無さそうだ。
小声で「お大事にどうぞ」と言い、その分、深々と頭を下げて退室した。
数日後、患者さんから採取された、蛍光抗体塗抹鏡検、PCR検査、QFT、Tスポット…… 何れからも、結核を示唆する結果は、得られなかった。 培養結果が出ていないので確実とは言えないが、現時点での感染は否定された。 良かったぁ~。




