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第10話『そっちか〜い!』

 家に帰ると父までがとろけるような笑顔で待ちかねていたように出て来た。


「……う〜ん……本当に、ヒゲ切られてるな……」


 詳細は、母が伝えてくれていたようだ。


 あれ!? 


 和室の一角に、真新しいケージが設置してある!?


 父が帰りに、何処かで買ってきたんだろう。


 好きだねぇ〜。


「お父さん! 真優《まゆ》のアレルギーがあるから、これはダメでしょ?」と母が言ってくれた。 


 ふっ……良かった。 未《ま》だ心配されていた。


「安心しろ! これを見よ!」


 何とかデンキの大きな包みから父が取り出したのは……


「プラズマ☆クラスター!」


 父以外の全員が、ついハモった。


 空 気 清 浄 機 !


 ここまでする〜!?


「それに、もしかしたらワンチャン治ってるかもよ」と、父が空気清浄機を箱から出しながら言った。


 ……?


 あ!


 そう言えば思い出した!


 私が小学校高学年頃から中学生の頃、月に1回か2回、電車に乗って何処かの病院で点滴を受けていた。 


 確か『アレルギー研究所』とか何とか……。


 だんだん思い出してきた。


 以前も書いたが、私は様々なアレルギーの巣窟で、小児喘息もあった。 今でも喘息の患者さんを見ると、過去の息苦しさが蘇り、冷や汗が出る時もある。


 ……父母が心配して色々調べ、点滴による『減感作療法』をしてくれるクリニックに行かされていた。


 長期に渡る点滴で、左腕の尺側正中皮静脈近傍はやや線維化して変色しているが、高校時代からは喘息を発症した記憶が無い。


「あれ? 真優……眼鏡は?」


「あっ……!」


 ……花粉用の眼鏡は、ホームセンターに入る前に外したままだった


「目の痒みとか、くしゃみは!?」


 そう言えば、大丈夫かも!


 ……嘗《かつ》て、その場に猫がいなくても『犬や猫を飼っていた』というお宅にお邪魔しただけで、目が腫れ、くしゃみが止まらなくなり『ニャンコ・ドコーダー』との不名誉な二つ名を冠せられた私が……何ともない……!


 すっかり忘れていたが、アレルギーと言われていた、イカ、甲殻類、チョコレートも、今日《こんにち》では美味しく食べられている。


 ……あの時、遠くまで点滴を打ちに行き、痛い目にあったが、その甲斐あって、アレルギーの克服に成功していたんだ!


 嬉しさがこみ上げて来た!


 お父さん! お母さん! ありがとう!


 その父は……


 泣いていた!


 いやあ! 娘の回復で泣くほどお〜!?

(〃∇〃)


「……この空気清浄機……箱のままなら返せたのに……」



 そっちか〜い!



 ……でも、その空気清浄機は、翌年以降、スギ花粉時期に、私以外の人たちの必需品になったのであった。

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