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第9話 もう、どうにも止まらない……。

 この猫ちゃんは、かなり人に慣れていて、下村さんの手に顔をスリスリしている。 


 ホントにか〜わいいったらありゃしない♡


 下村さんが「遥さんのアレルギーが心配だよ。 知り合いに飼える人がいれば良いんだけどな」 と言ってくれた。


「レントゲンさんとか検査の人たちがお知り合いに聴いてくれるそうなので、数日の辛抱だと思います」


 そんな話をしていると、兄貴からのLINEが入った。


 父より早く帰って来たので、自分の車で迎えに来てくれたそうだ。


 下村さんにお礼を言って、猫ちゃんの入った段ボール箱を抱えて、駐車場に向った



 駐車場では、母と兄貴が車から出て私を待っていた。


 ……って言うか、猫ちゃんを待っていた!


 何を隠そう、私の猫皮屑(ひせつ)アレルギーが無ければ、絶対に飼っていたと断言出来る程、家族揃って猫ちゃん好きなんだ。


「家で貰ったわけじゃないのよ! 一時的に預かるだけなんだから〜」


 ……と言ってみたが、二人とも「可愛い! 可愛い!」と言いながら箱を覗き込み、既に猫ちゃんの虜《とりこ》になっている。


 母が「今なら、まだホームセンターやってるかな? 首輪だけは買わないと、お母さん、買い物も行けないわよ」と困った声で言ったが、到底隠し切れない満面の笑みを浮かべている。 

 

 確かに、何かの間違いで、この猫ちゃんが外に出てしまったら、ヒゲが無いから危険だ。 


「そう言えば真優、目、痒くなってない? 大丈夫?」


 え? このタイミング!?


「この眼鏡かけてるから、今のところ大丈夫」


「良かった。 じゃあ、ホームセンターに行きましょう!」


 もう! メロメロじゃん!


 母と兄貴は、首輪の他に、爪とぎやらトイレやら仔猫用のおもちゃやらを買い込み、子供のようにはしゃいでいる。


 これ……飼い手が見付かったら落ち込んじゃうんじゃ無いかな……。


「名前つけてあげなきゃね!」


 いやいや! それはまだ待って! 情が移っちゃうから!


「『町野中央病院』に居たから『マチコ』でどうかな!?」


 ……嗚呼! 兄貴も……、もう、どうにも止まらない……。


 私の独り言か聴こえたのか母が「『山本リンダ!』懐かしいわね〜! そーだ!『リンダ』ってのはどう!?」


 ……『マチコ』にしましょう……。

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