第3話 壁に耳あり……
さっさと、この手紙を鈴森さんの靴箱に入れて帰ろ〜! ……今日は、観たいテレビ番組のタイマーをセットし忘れてたんだ。
早足で廊下を歩いていると、警備の山根さんに「こんばんわ〜……遥さん、忘れ物かい?」と聴かれた。
え? 何で私が戻って来た事、知ってるの
!?
……その理由は、程無くして判明した。
この前当院に泥棒が侵入した(前章をご参照下さい)ため、その対策として、全棟に防犯カメラを設置したのだった。
なるほど〜! 安心、安心(笑)
…………
じ ゃ 無 〜 い !
この手紙、鈴森さんの靴箱に、入れられないじゃ〜ん!
防犯カメラの盲点を突いて、鈴森さんの靴箱に、この手紙を入れる……なんて、ルパン三世かイーサン・ハントかにしか出来まい。 一介の新米臨床検査技師には到底無理だ。
かと言って、こんな想いが詰まっているであろう(←良心があるので、ほとんど読んでいない)手紙を持ち帰るのも呪われそうでイヤだ。
仕方がない。 今日のところは、検査室に置いて帰ろう。
…………
…………何処に置こう……?
当たり前だが、検査室はオフィシャルな場だ。 今日の帰りに、私が交通事故にでも合って入院してしまう事だって充分有り得る!
そうなると……隠しておく訳にもいかないじゃん(泣)
私が楽しみにしているテレビ番組の放映時間が刻々と迫る中、良い考えが浮かばない!
くう〜〜〜〜!
し、仕方ない! 背に腹は代えられない!
この封筒を封筒に入れて、家から検査室宛に郵送しよう! ←おばか!




