↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
157/249

第5話 初仕事

「お邪魔〜っ」と、看護師さんが伝票とプレパラートを持って来た。 


「『白癬菌《はくせんきん》』実習で見た?」と深田先輩が聴いてきた。


『ハクセンキン』? やったっけ?


「すみません……覚えが無いです」


「皮膚科からの検査で一番多い検査だから、覚えておいてね。」と深田先輩は、ピンセットでカバーグラスを持ち上げ『KOH(水酸化カリウム)』と書かれた試薬を、プレパラートに乗っている『粉』のような皮膚片に滴下し、そこに再び、カバーグラスをかけた。


「『KOH(水酸化カリウム)』を垂らす理由は?」


「……すみません!解りません」と言いながらメモの準備をする。


 深田先輩は苦笑いしながら「いや、メモする程じゃ無いよ。 『皮膚』だけを溶かして、白癬菌を見付ける為ね」


「わかりました」


「ほい。 じゃあ、ちょっと視《み》てみて」……と言って、席を変わってくれた。


 顕微鏡を覗くと……!


 明らかに透明なミミズのようなものが絡まりあっている!


 「これはすぐに判るわよね!」と深田先輩が伝票の『白癬菌』の欄に『(+)』と書いて、3枚綴り『検査者』の所に全てに印鑑を押した


「一番上は会計伝票。 2枚目が報告書。 3枚目がうちの控えね」と説明しながら。手早く剥がしていく。


「皮膚科は先生が電子カルテ(電カル)入力するから、そのまま外来に報告書を持って行くの。 皮膚科の場所判る?」


「フロアガイドを見れば……」


「おし、じゃあ、これ持ってって〜」と、2枚目の伝票を渡された。


「はい! では、行ってきます!」


 後から知ったことだが『白癬菌』とは『水虫』の原因菌だ。


 私の記念すべき初仕事は、『水虫(+)』の報告書の提出だった。


 ……生涯忘れないだろうけど、誰にも言いたくは……無いなぁ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。