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第8話 フライドチキン

 その日は前日ほど遅くならなかったが、自転車で帰るにはちょっと心配な時間になってしまったので、またまた兄貴が迎えに来てくれた。


晩飯ばんめし食った?」と聞かれたので首を横に振ると、クリニック近くのコンビニで、お弁当と飲み物を買ってくれた! ゴチになります!


 兄貴が「真夜中にこんなお菓子食べるのはお正月以来だよ〜」と言いながら、買ったばかりのスナック菓子を口に入れた。


『サクサクッ』と良い音がして、チョコレートの香りが車内に広がった。


 チョコレートは私の大好物だ。 我慢できずに「一個ちょうだい」……と頼むと「おう! 一個と言わず何個でも食いな」と言って、袋の口を向けてくれた。


『サクッ』


「うわっ! ちょー美味しい!」


 こんな時間に、しかもお弁当とお菓子を一緒に食べるなんて、子供だったら叱られる所だが、今では誰にも怒られない!


 最近辛い事が続き、自分でも恥ずかしいくらいに気が立っていたが、妙なところで大人になった喜びを感じた。 私が幸せを感じるのって、やっぱり食べ物に関係してるのね

(〃∇〃)


 ふと、ある考えが浮かんで、兄貴に聞いた。


「みんな、もう寝ちゃった?」


「お母さんは判らないけど、お父さんは、明日、お前を送って行くから先に寝るって言ってたよ」


 申し訳ないけど……ありがたい。


 恥ずかしくて口に出して言えないけど『ごめんなさい』と『ありがとう』の気持ちを込めて、父と母に何か美味しそうな物を買ってあげよう、と思い付いたんだ。


「帰る前に『ロートン』(家の近くのコンビニ)に寄ってくれる? お父さんとお母さんにおみやげ買って帰りたいんだ」


「りょ! よし、ロートン行くなら、俺『ローチキ』食っちゃお♪」


 ローチキとは、ロートンで最近発売された『ロー(ひくい)』とは名ばかりの大きなフライドチキンだ。 


「大丈夫!? 胃もたれしない!? ……まあ、せっかくだから、私も食べちゃお♪」


「お前こそ大丈夫? あれ結構ボリューミーだよ?」


「私は大丈夫! まだまだ続くサターンとの闘いに向けて、栄養補給しなきゃ!」


 お弁当とチョコのおかげか、ちょっと……いや、かなりテンションが上がった。


 全員分のスフレケーキと、マチコ(飼い猫)にはカニカマを買い、車内でローチキを食べてから家に帰った。


 翌朝


 父も母も喜んでスフレケーキを食べてくれたが、兄貴は案の定、胃がもたれてしまい、ケーキの代わりに胃薬を飲んでいた。


 ……え? 私?


 私の胃は相変わらず絶好調で、スフレケーキと自分用に買ったローチキも平らげましたのでご安心下さい!


(私の胃に関しては誰も心配していない……との説あり)

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