第八十九話 弓矢
俺が瞑想してから半日が経った。ペルナ姉とロベルト兄は相当疲れていたのかまだぐっすりと寝ている。
そろそろエリザ姉が来る頃だな。
俺は瞑想をやめて弓の状態を確認するため弓を引っ張っぱたり、弓を叩いて確認した。
弓の状態は良好のようだな。これでいつでも戦える。もし、エリザ姉の気が変わって今から戦うことになっても大丈夫だな。
それから数分待つと奥のほうからエリザ姉お姿が見えた。とうとう帰っていきたか。
「エリザ姉おかえり」
「ただいま、二人は寝ているの?」
「うん、寝ているよ」
エリザ姉は帰ってくると俺の横に寝ている二人を見て妻らそうな顔をしていった。
危なかったな。もし、二人が起きていたらエリザ姉に興味を持たれて今から戦いに行ったり急な変更していた可能性があるからな。二人が寝ていて助かったな。たぶん二人も数回エリザ姉とダンジョンに行って、起きているといいことは起きないと知っているから、さっき戻ってきたときにすぐに二人とも寝たのかな。
「じゃ、私も明日に備えて寝ようかな」
エリザ姉はペルナ姉のそばに近寄ってきた。
これはチャンスだな。一気に畳みかけるか。
「うん、そうしたほうがいいと思うよ」
「わかった。私も寝るわ。おやすみ」
エリザ姉が寝てくれそうになった俺は、すぐにその行為に激しく首を縦に振って肯定してエリザ姉を休ませることに成功させた。起きていられると特に俺がエリザ姉に面倒なことをされることがあるので、運がよかった。
たぶんエリザ姉も最近のダンジョン訓練はいつもこんな感じみたいだから、すんなりと寝てくれたのだろう。でも、明日はエリザ姉の体力が完全に回復して元気全回のエリザ姉になるのか。二人の体力もつかな。
そして、みんなが起きて下の階層に出発することになった。
「それじゃ、いくわよ」
エリザ姉が一人だけテンション高いままカエターニを先頭に5階層まで向かっている。
やっぱり体力回復したからエリザ姉結構テンション高いな。周りのみんながそのテンションについていけてないのに気づいていないだろうな。そんなことは気にせず前に進んでいっているからな。
そして、よくわからない空気になりながらも途中の敵は騎士たちが倒していって、5階層に到着した。その後カエターニが一人先行して、ゴブリンとコボルトを探しに行き、まず最初にゴブリンを見つけた様だ。
カエターニに案内されてゴブリンのいる場所についたゴブリンは30匹ぐらいの中規模な集団だった。ついに協力して戦うことになった。
「さぁ、ペルナ、ロベルト、レイル準備はいい?」
「私はいいよ」
「僕もいいよ」
「いいよ」
エリザ姉は剣を抜いてすぐに俺たちに聞いてきた。
ペルナ姉とロベルト兄はいつもの約束のやり取りなのかすぐに剣と杖を抜いて構えて答えた。俺も遅れて返事をして弓を取り出して、その場で構え準備万端にした。
ペルナ姉とロベルト兄はエリザ姉がどう動くのか待っているようだな。俺はどうするかな。先に攻撃を仕掛けちゃおうかな。でも、それをするとエリザ姉に何言われるかわからないし、俺も二人と同じくエリザ姉の動きに最初は合わせようか。
エリザ姉はゴブリンに突っ込んでいくと、ペルナ姉もその後ろについて行ってゴブリンたちに接近戦をしかけに行くと、ロベルト兄は二人に土属性の魔法ロックアーマーと風属性のウインドスピードで防御と速度強化して、ロベルト兄は魔法を放つため狙いを定め始めた。
ロックアーマーは体の周りを岩みたいに固くし防御力を高くする魔法で、魔法以外の攻撃に有効でゴブリンなど魔法を使わない相手に有効になっている。ウインドスピードは動く方向に常に追い風が働き速度を上げる魔法で、体力消費を抑えながら動けるようになれる長期戦の時にはかなり便利な魔法だな。
ロベルト兄が俺に魔法をかけないのは、まだ戦い方がわかっていないからだろう。今回は俺の様子見みたいなところだろう。後で何もしなくてもいいよと伝えておくか。とりあえず俺もそろそろ援護射撃をするかな。
俺は弓に矢を引いてエリザ姉の横をかすめるように奥にいるゴブリンに向かって放った
「あぶなっ!」
俺の弓はエリザ姉を驚かせつつも奥にいるゴブリンの頭部に当たって、矢の刺さったゴブリンはその場に倒れた。
「ごめんエリザ姉」
「次からは気を付けてよ」
エリザ姉が怒ってきたが、1回目だったので注意にとどまった。
ちょっとした今までの仕返しだったんだけど、うまくいったな。2回目は本当に怒って、こっちに来て面倒なことになるのでやめておこう。
その後ペルナ姉とエリザ姉が集団に突っ込んで、戦闘を始めてペルナ姉がエリザ姉に合わせて動いていた。
ペルナ姉の立ち回りはうまいな。敵の攻撃は躱して即座にカウンターを入れて必要最低限の力で倒して、たまに襲い掛かってくるエリザ姉の剣も予想して躱している。エリザ姉も成長しているのか防御しているゴブリンに強引に剣を当てて剣や盾などの持っている手を痺れさせて、動きを止めてから切り裂き2撃目で確実に倒している。
エリザ姉は自由にやれて楽しそうだな。ペルナ姉はもっとエリザ姉から離れれば楽なんだけどね。ペルナ姉は優しいから、そういうことはしないのだろう。
ロベルト兄は今は全然狙いが定まらないので魔法で攻撃はできそうにないな。まだ動く敵に当てることができないのだろう。当てるにはあと1年くらいの訓練がロベルト兄には必要そうだな。一人とか仲間がいないときは当てることはできると思うんだけど、味方がいる場合は仲間を攻撃してしまう可能性が高いから、動いている味方に当てないで動く敵に魔法を当てるのはかなり難しいらしいからな。
そろそろ俺も攻撃をしていかないとな。ペルナ姉を楽させるためにもゴブリンをほとんど減らしてあげるかな。
俺はさらに矢でペルナ姉とエリザ姉の邪魔にならないように、二人から離れているゴブリンの頭を射抜いて倒していくと、すぐにゴブリンがいなくなっていき戦闘が終了した。
「ふー」
ロベルト兄は戦闘の緊張を解き息を吐きだしていた。一回一回の戦闘で緊張しすぎでこの後の体力とか精神疲労が心配になるが、慣れていないから仕方ないか。
戦闘が終了して俺はゴブリンたちに刺さった矢を回収しに行こうとしたところ、カエターニに肩をつかまれて静止させられた。
「カエター二どうしたの?」
「矢を抜く訓練と手入れの仕方についてエリザ様、ペルナ様、ロベルト様に教えたいので使わせてもらってもいいですか」
なるほど、でも矢を抜くことや手入れを訓練にするほどのものなのかな。でも騎士は弓の扱いにも慣れないといけないから、やったほうがいいのは確かかもな。
俺は手間も省けるので、カエターニにあとは任せることにした。
「いいよ」
「ありがとうございます。レイル様は休んでいてください、エリザ様、ペルナ様、ロベルト様はこちらに来てもらえますか」
カエター二に呼ばれた三人は、カエターニのそばまで集まりその場に座り一回説明を受けてから俺が弓で放ってゴブリンに刺さった矢を全て抜き、そのすべての矢の手入れまで全部してくれた。
まぁ、みんなには余計なことをしてしまったかもしれないが、エリザ姉以外は休めているのでエリザ姉以外には余計なこととは案外思われていないかもね。
エリザ姉は勉強が嫌いなのか無表情でつまらなさそうに聞いていた。
相当ストレスが溜まっていそうだな。
それから、突然の勉強が終わるとつまらなさそうな顔をしているエリザ姉がこちらに向かってやってきた。




