第二十七話 ロマーノ
俺は自分で作った朝食を食べ終わった後部屋の扉がノックされた。ドアを開いてみると珍しくロベルト兄が立っていた。
「どうしたの」
「今日父さんが魔法を教えてくれるって言っていたから誘いに来たよ」
「うん行くよ」
「わかった父さんに伝えておくよ」
今日の朝は仕事が休みらしいので魔法が上手なロマーノ父さんが、魔法を教えてくれるようだ。ロベルト兄もエリザ姉との剣術の訓練より積極的にやろうとしている。
俺はレイアと一緒に部屋を出て、魔法の訓練場に向かっていた。
ここはいつもマリー母さんと朝練していた。場所とは違い魔法を当てる的とか魔法を練習するための道具が置いてあった。そこには、ロマーノ父さんとロベルト兄とペルナ姉とその専属のメイドがいた。
他にも複数メイドがいるがみんな騎士みたいな恰好ではなく、ローブといったいかにも魔法を使いそうな服装をしていた。
初めて見る服のメイドたちだな。この家には騎士のメイドしかいないと思っていたが魔法を使うメイドもいたようだ。この家はかなり広いしメイドがたくさんいて、まだ見ていないメイドもたくさんいるから覚えるのが大変でほとんど覚えていない。
魔法の訓練場には楽しそうにしているペルナ姉もいた。
「ペルナ姉も来きたんだ」
「最近父さん忙しいから、魔法を教わる機会が少ないからね」
最近ロマーノ父さんはオルトシーニ家が管理している街で自然災害があり、その処理でほぼ毎日が忙しく、子供たちに構っている暇がほとんどないためロベルト兄やペルナ姉は嬉しそうにしているな。
あれっ、エリザ姉がいないな。
「エリザ姉は」
「エリザ姉はマリー母さんのところでいつものように剣の練習をしているよ。」
ペルナ姉に聞いてみると、エリザ姉は今日も母さんと剣の修行をしているみたいだ。
エリザ姉はほんとに剣が好きだな。だからロマーノ父さんより、マリー母さんのほうが好きみたいだからな。エリザ姉が来ていないからロベルト兄が来たのかな。
「だからロベルト兄も来ているんだね」
「ふふ、そうだね」
冗談でペルナ姉にエリザ姉がいないからロベルト兄来たのかと聞いてみると、今までロベルト兄がエリザ姉から逃げていた光景を見ていたせいかペルナ姉も少し笑って肯定してくれた。
「何か言った」
「何も」
「そろそろ始めるよみんな。座って」
ロベルト兄が俺とペルナ姉の会話に自分の名前が出たのを聞いて、こっちに来て聞きに来たが俺たちは知らんぷりをした。
そう言ってロマーノ父さんが前に出て俺らが座ったのを確認して魔法の説明を始めた。
「魔法は体内にある魔素を感じ取ることから始まり、ある程度動かせるようになったら、無属性魔法が使えるようになり、そこから生まれつき持っている属性に応じて魔素を変換でき、使える魔法が増えてくるから、自分の属性を理解して、その属性のレベルを上げてうまく使えるようになれば一人前かな。ペルナは回復以外がすべて使えてロベルトは全属性持ち、レイルも全属性持ちだね。全属性持ちだと他に目移りしてしまうかもしれないけど、数個に絞って訓練していったほうが器用貧乏にならなくて済むと思うよ」
痛いことを言うな。俺は魔法がよくわからなかったので、全てまんべんなく訓練して強化していたな。もう器用貧乏になりかけているのではないかと不安になってきたがめげずに訓練して行こう。
「みんなに教えるのは初めてかな。まずは魔素を体に感じ取ることから始めようか。体内を自分で探って見て感じてみて、感じ方は人それぞれだから自分がちょっとこれかなと思ったら無属性の魔法ヴァイスを使ってみて、魔法を使うときは魔法名を唱えないとできないからしっかり魔法名を口にするようにさっそく初めてみて」
「「「はーい」」」
「君たちも三人の補助を頼む」
「「「はい」」」
ロマーノ父さんの合図とともに魔法使いのメイドの人たちもそれぞれのもとにきてくれた。もうその魔法ならできるんだがまぁせっかくだし、もう一度やってみるか。
「よろしく、名前はなんていうの」
「ミースです。よろしくお願いします」
「じゃ、やるね」
「え」
「ヴァイス」
俺はミースにすぐに手のひらを上にして無属性の魔法ヴァイスを発動した。
初級魔法はほとんどすべての魔法が使えるようになっている。さらにすべての中級魔法も習得できている。今は上級魔法を習得しようとしている段階だ。
初級魔法くらいの魔法ならもう技名を言わなくてもできるようになっている。中級まではいわゆる無詠唱で使えるようになっているが一応技名を言って、発動させておいたがいいのだろうたぶん。
「はやっ、いですね」
「レイアに教わっていたから」
「レイアに教わっていたからですね。初めてでいきなりできてびっくりしてしまいました。もうできてしまいましたね。少しお待ちしていてくださいね」
ミースはロマーノ父さんのほうに向かって行った。
たぶん、次何するのかを聞きに行ったのだろう。
他の二人を見てみる。ロベルト兄を見てみると目を瞑って体内の魔素を必死に探しているようだ。顔が険しい表情になっている。
ロベルト兄は今日中に魔素を感じるのは無理そうだな。
ペルナ姉は魔素を感じ始めているようで、ちょっと険しい表情から安心したかの表情になってきていた。
もうできているみたいだな。
ペルナ姉は魔素を感じ取れたみたいだったのが、集中してきていてヴァイスを発動することを忘れているようだ。そこにメイドが軽く耳打ちして気づいたのかペルナ姉が思い出したかのようにヴァイスを発動させ成功させようとしたが、魔素が霧散して失敗してしまったようだ。
魔素のコントロールがまだまだ不十分だったみたいだが、ペルナ姉はもうすぐできそうだな。
「レイル様。次は魔素の総量を上げる方法の練習を教えますね」
「うん。それでどうするの」
「魔力を上げるには一日に全ての魔素を消費する必要があるので、まずは無属性の魔法ヴァイスなど最初の基礎の初級魔法を発動して魔素を使い切るようにすれば魔素の量が上がり、属性ごとのレベル上げこともできるので鍛えたい属性の魔素を使いきっていくことがおすすめですね」
「わかった。そうしてみるよ」
「今日の訓練は、一応ここまでですね」
魔素の上げ方はわかっていたが一応わからないふりをしてミーナに聞いてみた。
どうやら今日はここまでのようだ。たぶん、ロベルト兄ができそうにないからだと思うがペルナ姉は俺より少し遅れたが、発動がもうできている。
ペルナ姉も意外と早く魔素を見つけることができてすごいな。担当していたメイドもちょっと驚いていたからな。ロベルト兄は普通なのかな。普通の人なら魔素を見つけるのに1週間から1月かかる人もいるから、まだわからないがロベルト兄も今週中にはできているだろう。
俺がそんなことを考えているとペルナ姉がこっちに向かって来た。どうしたんだろう。
「レイルもできたんだ。私が教えてあげようと思ったのに」
「ペルナ姉は教えるのが、好きだね」
「レイルに教えるの楽しいからだよ」
「うん」
笑顔で俺に教えることが楽しいと言われると、どう反応していいのか困るな。ペルナ姉はいいお姉さんだな。
そのやさしさをロベルト兄にも向けてほしい。さっきから苦悩しているがペルナ姉は一向に行こうとしない。なんでだろう。
「ロベルト兄のところに行かないの」
「ロベルトは大丈夫よ。私ができたんだからすぐできるよ」
何が大丈夫かはわからないがそんなに急がなくてもいいと思うし、双子だからと言って成長速度は同じとは限らないと思うのだがこれ以上、ロベルト兄に触れるのはやめておこうか。ロベルト兄がかわいそうになってしまう。
「ヴァイス」
ちょっと変な空気になったので俺は手のひらからさっきよりも色が濃いヴァイスを発動してみて気を紛らわしてみた。
「私もヴァイス」
なんか俺の隣で続けてやってきたが気にしないようにしよう。
「そろそろ昼食だから、今日はここまでで終わりにいしようか」
「「「はーい」」」
俺たちは魔法の練習をやめて部屋に戻っていった。




