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物語る日記帳  作者: 采火
本編
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8/63

薬箱の奇跡 7

 結姫に会ってから四日が経った。これで、日記の期限はすでに半分を切る。早く書かなきゃいけない。けど……。

 光は昨日と同じくずっと寝込んでいる、はずだ。あの妖が怖くて見に行けないけれど、光の母親達の反応からきっと昨日のままのはず。なかなか熱が下がらないみたいだから、そろそろ危険かもしれない。

 あの妖は私より強いようだから、私にはどうしようもできない。私が立ち向かっても、逃げることしかできないから。結姫に連絡したいけれど、手段がない。あぁ、烏之瑪、怖いけどこういう時に限って現れてくれないかな……。

 結姫の取り付けた日記の期限はまだ先だ。でも、それを頼りにして待っていては光の身が持たない。どうしよう……。

 と、光の部屋の前の縁側で考え込んでいたら、玄関で声がした。この声はまさか……。

 足音がこちらに向かってやってくる。体重があまりないような軽い足音。やがて見えたのは、思ったとおり結姫だった。ないすたいみんぐ!

 私は顔を輝かせて結姫の足に飛びついた。気づいた結姫はしゃがんで私を手のひらに乗せた。


「結姫! どうしたの!?」

「あら、ヤクバコ。先輩が後輩のお見舞いしちゃダメなのかしら」


 結姫はふふふと笑う。ううん、と私は首を振る。そっか。結姫は光の先輩だから、光が学校を休んでいるのを知っていてもおかしくない。私は泣きそうになった。あぁ、良かった。これで光は助かる!

 私が結姫にどうやって説明しようか思いあぐねていると、彼女が話を振ってくれた。


「どうしたのよ?」

「ええと、ね……」


 私は一生懸命になって、光に宿る妖の話をした。一生懸命過ぎて支離滅裂だったかもしれない。でも結姫には伝わったようで、彼女は真剣な顔つきで眉を潜めていた。


「へえ……。分かったわ、引き受けてあげる。でも、その前に一ついいかしら? 何であたしに話すの? 貴女が祓ってあげればいいじゃない」

「……私にはそんな力ないの。本当に小さな妖だから」

「あら、そうなの? ……まあ、とりあえず蛍野くんの容態見せて。それから、烏之瑪―、来なさーい」

『おるぞ』


 うわ、庭にいたの!?

 突然の烏之瑪の襲来に顔がひきつってしまう。


「今の話、聞いていたわよね? この四日で結構な力をつけてる可能性があるから、いざというときは補助をヨロシク」

『了解した』


 どうゆうことだろう? 結姫一人では無理な可能性があるの?

 気になったけど、気にしてられない。そんな余裕は無い。

 結姫の手のひらから飛び降りて、彼女の足をつついた。そうやって結姫の視線をこちらに向けさせてから、光の部屋を指差す。


「結姫、お願い」


 私は結姫を見上げれば、彼女は頷いてくれた。

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