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物語る日記帳  作者: 采火
本編
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46/63

カボチャのランタン2


「trick and treat !!」

「先輩! お菓子といたずらを両方ねだるなんてずるいですよ!」


 丸一日以上、戸棚の中でうとうととしながら待ち続けていたら、いきなり結姫の声が聞こえたカボ。びっくりしたカボ。


「片方より両方のほうが楽しいわ」

「却下です」

「ふふふ」


 笑いながら結姫は、ボクを戸棚から出してくれたカボ。やったー、昨日ぶりの自然光カボ。自家製の明かりって結構疲れるカボよ。


「さ、これで飾りつけお仕舞いね。蛍野君、お菓子を出して、出して」

「ほんと、食い意地がはっているんですから……」


 蛍野とかいう人間が何かをガサガサ鳴らしているカボ。気になっていると、結姫がボクを机の真ん中に置いたカボ。わあ、お花とかロウソクとかがいっぱいあって、かわいいカボ!

 蛍野という人間はお皿に何かをザーっと開けたカボ。甘い匂いがするカボ。

 色とりどりの、こ、これは……。お菓子だカボおおおおおお!

 食べたいカボ、食べたいカボ!

 意思が通じたのか、結姫が一つ、口に入れてくれたカボ。


「あ、先輩! 何でランタンの口に入れちゃうんですか!?」


 甘いカボ! すごくおいしいカボ! 幸せカボ!

 お菓子の甘さにうっとりしていると、慌てて蛍野が僕と結姫を引き離したカボ。結姫~、結姫~、カボ~。


「いいじゃない、食べたそうにしてたんですもの」

「……分かってますよ、先輩は美人のくせに校内一の変人だって事。もう僕は何も言いませんので、ええもう、好きにしちゃってください……」


 それから逆さにされて振られるカボ。目、目が回るカボ~。やめほしいカボ~。ひぇ~。


「あれ? 確かに先輩がお菓子を入れたのを見たはずなのに……?」


 手を口の中に入れられてまさぐられるカボ。くすぐったいカ~ボ~!


「どこかに落ちちゃったのかしら?」

「もったいないですよ。男子高校生の少ないおこずかいで買ってきたお菓子なんですから大切に食べてください」

「あら、ごめんなさい」


 結姫がくすくすと笑ったカボ。あんまり反省はしてないカボな。目に見えて分かるカボよ。


「全く……。後で遊んだ分は先輩が片付けてくださいよ」

「ふふふ」


 結姫が僕を魔の手から救ってくれたカボ! 救世主カボー!

 とか思ってたら、お菓子の包みをまた一つ剥がしたカボ。もう一つくれるカボ? やったカボ!


「ちょっと聞いています?」

「聞いてるわ。ちゃんと片付けるから」

「ならいいんですけど……」


 あああああ! ほっぺが落ちるカボ! あ、ほっぺが落ちたら皮が削げるカボね!


「それにしても美味しいわ、この“カボチャのマシュマロ”」


 結姫が一つ口に放り込んで言った言葉は驚愕の事実だったカボ! な、なんだって!? と、いうことは……


『ひいいいい!? 共食いカボ!?』

「カボチャの形だけですけど。味は普通じゃないですか」

「見た目は大事よ?」


 脱力カボ。怖いカボ。結姫怖いカボ。 

 でも、楽しいカボ。すごくすごく楽しいカボ。結姫の事書いてー、お菓子の事書いてー、後は何書こうカボ?

 日記はこの一日だけで十分書けるカボ。烏之瑪、二週間もいらなかったカボ。



☆†☆†☆



 おいしいお菓子。


 かわいい結姫。


 おもしろい蛍野。


 こわい烏之瑪。


 生まれたばかりだけれどもすごく楽しい一日だったカボ!

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