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野良仕事 Farm Work

翌日。スズメ達がチュンチュンとさえずり、綺麗に晴れ上がった空が広がっている。気持ちの良い朝が訪れているのだが……


 修道院の広い畑を耕している男二人の姿がある。ティナが木陰で座りながら、その男二人をじとっと監視している。


堅い土を鍬で掘り起こしながら、ライルがボヤく。


「ちくしょう、なんで俺がこんな事……」

たちまちティナの声が飛ぶ。


「はい、そこのスケベ。自業自得。文句を言う前に、自分の行動を改めろ!」

「……へ~い」


手にした鍬を支えにして、ホークスがボヤく。


「ふうっ、やれやれ。旦那と違って、俺様はこういう力仕事には向いてねえって。おお、腰が痛てえ」


再びティナの叱責が飛ぶ。


「はい、そこのドスケベ。手を休めるな」

「何で旦那はスケベで、俺はドスケベなんだよ?」

「グダグダ言うな。その通りでしょうが! はい、口答えした分、ホークスは休憩までもう一列追加。反省の心をこめて、しっかり耕しなさい!」

「う……くそう……」



 上半身裸になって、汗みずくで畑を耕すライルとホークスであった。その側を、修道女達がちらちらと見て、何やら囁き合いながら、クスクスと笑って通り過ぎてゆく。顔から火が出るような、恥ずかしい思いをするティナであった。



「あんた達と一緒にいるってだけで、こっちはかなり恥ずかしいんだからねっ! 清らかな修道女様達に夜這いかけるなんて……。ちゃんとこの畑、全部きれいに耕しなさい!」


ちょうど肩を並べるような感じで耕していた男達が、何やら囁き合っている。


「(清らかな修道女様だからこそ、燃えるってもんだよなあ、ライル?)」

「(そうそう、やっぱ、禁断の女の園って感じだよな。男として、仕方ねえよな?)」

「(だよな。旦那はやっぱ話がわかるぜ。うんうん)」


不穏な会話の気配を敏感に感じ取ったティナが、眉をつり上げている。


「こら、何コソコソしゃべってる! 無駄口叩く前に、さっさと手を動かせっ! 二人とも、もう一列追加!!」


「……へ~い」

「……へ~い」



「(全く……男って、つくづく馬鹿なんだから。こいつらは、その中でもかなりレベルの高い、筋金入りのスケベな馬鹿ねえ。凄腕の剣士と、一流の盗賊のはずなんだけど……ほんっとに、情けない)」


頭に手を当てて、大きな溜息をつくティナであった。



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一方その頃、修道院のある一室では……



「ねえねえ、見た? ジュリエッタ?」

「見た見た。ライルって人、すごい身体してるよね。筋肉があんなに盛り上がってて……それに、体中傷だらけ。男らしいわねえ」


目を輝かせながら、ジュリエッタはそう告げる。


「ホークスって人もいいよねっ? 無駄なお肉が全然なくて、引き締まってるって感じ」


その意見に、熱っぽくうなずく修道女が一人。


「そうそう。私はホークスのほうがいいかなあ? ごつい男ってあんまり好きじゃないの。あの人だったら、私、もし昨日ベッドへ入られてたら……」


「きゃ~、何言ってんのよっ、フローラったら!! あんた修道女でしょうが!」


 ライルとホークスの男らしい身体を話題に、何やら賑やかに盛り上がっている様子である。



そんな修道女達を見るにつけ、どっちもどっちかもしれないと思ったアリアだった。


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 その日の昼過ぎには、男達はその畑を耕し終えた。ライルは農耕馬のように黙々と耕し続けて、結局ライルがその七割、ホークスが三割といった具合に終わった。最初はボヤいていたのだが、ライルは鍬を振るっているうち、この作業に没頭してしまった。確かに疲れないで掘り起こす、何かしらのコツがある事に途中で気づき、それを身体全体で探っているうちに夢中になってしまったのだ。


 力任せに掘り起こすのではなく、鍬を入れる角度、それに必要な最小限の力加減、土の乗った鍬をさっと引き上げる時の腰の使い方等に、理想の形があるのだ。



 そんなライルの様子を見て、ティナは微笑んでいた。汗まみれになりながら一心に鍬を振るう、こうした男の姿も何かいい。



 完成した綺麗に耕された一面の美しい畑を目にし、額に流れる汗を拭きながら、アリアが差し入れてくれた冷たい井戸水を口に含む。爽やかな水が、心と体を潤してくれる。


「(こういうのも、悪かねえな)」


 穏やかな喜びを全身で静かに味わいながら、しみじみと佇むライルだった。ホークスは、もううんざりといった表情だ。

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