我らが聖地 Our Sanctuary
さあ、これで本当に最後だ。
この一撃で全て完成だ。
やっと、やっとここまでこぎつけた!
ここでキースは、敢えてピタリとそのトンカチの手を止める。固唾を飲んで見守っていた二人から、思わず声があがる。
「おい、キース! 早く打ち込めよ!」
ザックは待ちきれなくてしょうがない。
「キース君。そこで焦らすとはまた、憎い演出ですよ、もう!」
いつもはすました感じのジュ-ドも、さすがにこれはたまらない。
キースは無言でにっこり笑う。その場がパァッと明るくなるような感じだ。ややもすると乱暴な所が目立つザックと、人を小馬鹿にするような態度にも感じられるジュ-ドに比べるとキースは影に隠れがちだが、彼はこの個性的な二人の間の仲をうまく取り持つ役割を果たしている少年だ。
キースは二人を招き寄せ、自分がトンカチを持つ手をちょいちょいと指差す。
彼の言わんとする事を、たちまちザックとジュ-ドが悟った。二人とも喜び勇んで、キースが持つトンカチを一緒に握る。そうして三人は一つのトンカチを一緒に持ち、記念すべき一撃の喜びを共にわかちあう事にした。
そのトンカチが小気味良い音を立てて、最後の釘が板に完全に打ち込まれる!
たちまち三人の歓声があがった。ザックもキースもジュ-ドもお互いに手を打ち合わせて肩を組んで笑いあう。そして元気良く、前から三人で決めていた言葉を大きく合唱した。
「「「ここに我らの『秘密基地』の完成を祝う! これぞ我らが聖地なり!」」」
こうして町の側にある森の中、そのとある大木の樹上に、彼らは小さな『秘密基地』を人知れず造り上げたのだった。ちなみに記念すべきこの日、三馬鹿達は揃って学校をサボっている。
彼らには、学校で他の友達達と遊んだり、先生や女の子達にいたずらを仕掛けたりアリアをからかったり、最近町に出没する髪の黒い異国の男に石を投げて度胸試しする他にも、このようなワクワクする楽しみがあったのだ。
発案者は、一番元気でじっとしていられない性格のザック。
作る場所の選択・デザインや設計は、すました感じで頭の回るジュ-ド。
実際の作業で最も活躍したのは、大工の息子のキースだ。
三人は、見事な結束とチームワークで、他の誰にも知られる事なく、ある大木が宙に広げている太い枝々をそのまま自然な形で床板や壁の支えに利用して、樹上にその『秘密基地』の小屋を作っていたのだ。時には小さな怪我もし、時には失敗を繰り返しながら、それでも辛抱強く粘り強く、半年もの歳月を費やして、彼らはついに困難な仕事を成し遂げたのだ。
(『その情熱を百分の一でも勉強の方に回してくれ』と、彼らの先生はよくボヤく)
小屋の内部は三畳くらいの広さがあり、三人が寝転がる事もできる。木の板でできた壁には三箇所に物見窓をつけてある。周りが良く見渡せる方向につくられ、この秘密基地に人が向かって来たらかなり遠くから確認できる。横の小さな戸口には木を登って入る。念を入れて床に非常口が作ってあり、そこを開いてロープを下ろせば一瞬で地面に降りられる。この森の火事などの緊急時も想定して、ジュ-ドが設計に加えたのだ。十歳くらいの子供達にしては、なかなかしっかりした造りの本格的な秘密基地だ。大工の息子であるキースのこだわりも、この小屋を堅固なものに仕上げているようだ。
(先生:『その熱意の千分の一でもホントにいいから勉強に回してくれ! 頼む!』)
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この三馬鹿トリオ達が、完成祝いにそれぞれの家からくすねて持ち寄ってきたお菓子やお茶を小屋に広げ(それになぜかウィスキーが一本あるぞ)、 そして大いに盛り上がり……『祝い酒だ!』と言って、初めて口にしたその酒の不味さとキツさに、たちまち三人とも同時にブホッと吐き出していた頃の事。
小さなアリアは、森の中で一頭のイノシシから必死で逃げていた。
この日、朝一番でアリアは恥ずかしい思いをしてしまっていた。学校の建物に入る直前で、雪が踏み固まってつるつるになった地面で派手に転んでしまったのだ。下着まで見えてしまった。それを目撃した他の子供達にクスクス笑われてしまう。授業を受けている時も落ち着かない。みんなが自分をチラチラ見てこっそり笑っているような気がして、もう気が気ではなかった。
結局、仮病をつかって学校を早退し、初めてサボってしまった彼女は、尼僧院にも帰れず町で人に見られるのも恐れて、町の近くの森の中をあてもなくさまよっていた。
そうしてたまたま運悪く、腹を空かせて気が立っていた雄イノシシとばったり遭遇してしまった。実は、冬になり食べ物に困っていつもの畑を荒らしに出向いたイノシシだったが、気づいた農家の者が必死で追い払った。雄イノシシがそうしてイライラしていた時に、この小さな人間に驚かされた形になり……こうしてアリアは、追いかけられてしまっているのだった。
息を切らせながらも、アリアは必死で叫ぶ。
「誰か、助けて!」
その声も雪解けの森の中に虚しく響き渡るのみだ。今の時期、こんな所に人などそうそういるものではない。とうとうアリアは転んでしまった。低く鋭く、イノシシが体当たりしようと迫り来る!
その時、どこからともなく空を切って鋭く飛んで来た三つの石つぶてが、イノシシの顔に次々と炸裂した。その痛みに獣は怯んで速度が落ちる。
何が起こったのかわからないアリア。
ザックがそんな彼女の腕を取って引っ張り起こす。
続いてジュ-ドがアリアの手を取り、木の上にある秘密基地へと彼女を木に登らせ始め、彼も一緒に登って手伝ってやる。ザックに向かって走ってくる怒り狂ったイノシシを、今度はキースがまたも『スリング』を使ってイノシシの体に石つぶてを命中させて気を逸らす。ザックも見事に小石を顔に命中させ、小走りに移動しながらイノシシを撹乱する。
(『スリング』:両端に指を掛ける穴の空いた金具をつけた幅広の皮ヒモで、中央に石を入れて挟むようにし、指をかけ頭上で勢いをつけて回し、タイミング良く片方だけ指から放すと、遠心力によって加速された石つぶてを相手に投げつけられるのだ。英雄ダビデが大男ゴリアテの急所に石つぶてを命中させて倒した時に使ったのも、このスリングだという)
アリアが必死で逃げてきた時、丁度この悪たれ坊主達の秘密基地の側に近づいていたのだ。彼女の叫び声を聞き、物見窓からそれを目撃した三人は迷う事なく床の非常口からロープで降りて、アリアを助けに向かった。大木にしがみつきながら、やっとこうした状況がわかったアリアだ。いつもは自分をいじめてくる彼らが、このように必死で助けてくれる事に彼女は内心驚きを隠せない。
慣れない木登りをしているアリアが、イノシシを引きつけてくれているザックとキースが心配になって下の様子を見ようと顔を向けた時、足が滑ってしまった。
「きゃっ!?」
「いけないっ!」
ずり落ちるアリアを、横にいたジュ-ドが身を投げ出して彼女を抱えて共に落ち、アリアの下になって落下の衝撃から守った。幸い、落ちた場所は雪が積もった草の上だったので二人ともなんとか大丈夫だ。
しかし、その気配を察知したイノシシが、地に転がる二人の方にくるりと向きを変えて突進してきた! 立ち上がろうとしていたアリアとジュ-ドの瞳が恐怖に見開かれる。ザックとキースは間に合わない。
あわや二人の子供が猛るイノシシに弾き飛ばされようとした時、素早い人影が彼らの前に盾となった。
黒い髪を頭頂で束ねたその男は、迫り来るイノシシに向かって腰の剣を抜き打ちに一閃させる! 離れた正面からそれを目撃したザックとキースは、男の手元がピカッと光ったとしかわからない。それほど男の剣さばきは鮮やかに速かった。
横殴りの強烈な一撃を額に受けた獣は、突進の軌道を逸らされて男の右側に転がり倒れた。それは地を揺るがす衝撃で、腰をつくアリアとジュ-ドにその振動が伝わってくるほどだ。男の背後で目を丸くしている小さなアリアは、胸の動悸が収まらない。
子供達が息を飲んで見守る中、右手に反り返った片刃の剣を持ったその男は、倒れるイノシシに近寄る。その雄イノシシは短い四肢を虚空に伸ばしてピクピクと痙攣させている。男は慎重に片膝をつき、足元に倒れているイノシシの様子を確認して大きくうなずいた。
駆けつけてきたザックとキースは、興奮に息を弾ませている。
「すげえっ! 一撃だ!」
「剣が見えないくらい速かったぞ!」
さらに言葉を重ねようとした二人だが、この男が大人達が『近づいてはいけない』と口を酸っぱくして子供達に言い聞かせている、あの異国の男だと気づいた。自分達が度胸試しに町で石を投げつけていた男だ。二人とも開きかけた口をつぐんで気まずそうにしている。
男はすっと立ち上がると、側にきたザックとキースを手で制した。びくりと二人の足が止まる。そして自分の口に人差し指を当てて、二人に声を出さないようにと伝える。そしてアリアとジュ-ドの方へと身振りで促し、自分もそちらへ静かに移動しつつ四人の子供達をイノシシから遠ざける。
子供達が一斉に注目する中、鞘に剣を収めた異国の男は小声で口を開いた。
「皆、怪我はないか?」
全員、コクコクと無言でうなずく。まるで、かわいらしいカラクリ人形が動いているようで、思わず男は微笑んでいた。故国の『桃の節句』の雛人形を思い出す。
「うむ、良かった。小さな男達よ。よく女の子を守った。偉いぞ。今日のその心を忘れるな。いつまでも保ってゆけよ。さて……もう少し、向こうの方へ離れているのだぞ」
言われるままにその場を離れようとする男の子達だが、アリアは思い詰めた様子でまだ留まっている。少し離れた所に倒れているイノシシを泣きそうな顔をして一心に見ている。そして、男を見上げて悲しそうに問いかけた。
「殺しちゃったの?」
あれだけ怖い思いをしたというのに、小さなアリアは自分に襲いかかってきたイノシシの命を案じて悲しんでいる。
このイノシシを驚かせてしまった自分が悪いのだ。自分が学校をサボって森に入らなければこんな事にはならなかった。ザック達をこんな危険な目に巻き込んでしまう事もなかった。
そしてこのイノシシが死ぬ事もなかったのだ、と感じている。自分のせいだと思っている。
そんな様子の修道服を着た少女を見守り、男は笑いかけてやる。
「案ずる事はない。今は喰うに困っているでもなし、無益な殺生は好まぬ。峰打ちだ」
「ミネウチ?」
「すぐにわかる。心優しき神の子よ。良い子だから、あちらへ下がっていてくれ」
ようやくアリアも離れたのを確認すると、男は横倒しになっているイノシシの側へと歩み寄る。片膝をつくと、すっと右の手の平をイノシシの胴に当て、男はパシッと軽く衝撃を与えた。すると気絶したイノシシは息を吹き返して跳ね起き、男と目が合うと慌ててくるりと逃げていった。
もう大丈夫だと、男は避難させた子供達に手を振って笑いかける。
たちまち子供達が駆け寄ってきた。異国の男の、またも鮮やかな手並みに皆感服している様子だ。
「殺さなかったのですね? 良かったあ……」
胸をなでおろしている小さなアリア。
「あんた、すごいや! どうやったんだよ!?」
目をキラキラさせているザック。
「強いよなあ。その剣もかっこいい」
腕組みをしながら認めるキース。
「少し変わった剣ですよねえ、それって。片刃なのですか。ボクの知識の中に、そのような剣は思い当たらないです。やはり異国の様式なのでしょうか?」
男が腰に下げた剣を興味深く見詰めているジュ-ド。
そんな子供達を見回し、少し問い詰めるようにニヤリと男は問いかける。
「それよりも、だ。子供達よ。確か今は、学校とやらにいるはずの時間ではないのか?」
騒がしかったその場にたちまち沈黙が。
そうなのだ。アリアは仮病をつかって早退し、三馬鹿達は今日こそ秘密基地が完成するという大事な日に学校に行っている場合ではないとして、初めから学校に行かずここに居た。
そんな気まずい子供達を、敢えてそれ以上問い詰めるでもなく、男は側の大木へ歩み寄る。
「それにしても、このようなものをよく造り上げたものだな」
樹上の小屋の開いた非常口から垂れ下がるロープを手に引っ張りながら、感心した様子で上を見上げる男。アリアもじっと見上げている。下からはわかりにくいように、周囲の枝木を縄で引き寄せてカモフラージュしてあった。
たちまちザックが誇らしげな声をあげた。
「すごいだろ? 半年もかかったんだぜ! 今日やっと完成したんだ」
「馬鹿、ザック!」
慌ててキースがザックの口を塞ぐ。しかし、遅かったようだ。男はニヤリと大きくうなずいた。その黒い瞳が面白そうに煌いている。
「なるほどな。コレを造っていたという訳か。まあ、男の子はそれくらい元気があってもよい。はははははっ。俺も小さい頃は、秘密の場所を大人に内緒で造っていたものだ。懐かしいな」
そう告げて、大木の幹をポンポンと叩きながら、またも感心したように小屋を見上げる。そんな様子を見て取り、『話がわかる大人だ』と判断したジュ-ドが、この事は秘密にしておいてくれませんかと男に頼み込む。それに続いてザックもキースも必死で頼み込む。
「さて、どうするか? そなたはどう思う?」
ここで男は、ちょっと離れてまじまじと様子を見守っていたアリアに顔を向けた。焦っていた男の子達は、アリアの事を忘れていた。慌てて三人はアリアにも両手を合わせて頼み込む。
「頼むって。ホントに苦労したんだぜ、コレ」
「俺の大工としての初めての仕事なんだ。黙っててくれよ」
ザックとキースは真剣だ。完成初日に大人達にバレたらシャレにならない。
続いてジュ-ドが提案する。
「そういう訳なのです。誰にも言わないでくれないでしょうか? 交換条件といきましょう。この事を秘密にしてくれれば、ボク達もあなたが今日、こんな時間にどうしてこの森に来てたのかなんて事は聞きませんし、また誰にも言いませんから。この通りです」
小さなアリアは、この三人が初めて自分に頭を下げる姿に直面したのだった。それだけではない。彼らの思いもよらない一面も垣間見た。あのイノシシに追われていた時、『誰か助けて』と彼女は叫んだが、それがまさかこの三人だとは、かけらも想像していなかった。確かにジュ-ドの提案は彼女にも助かる事ではあったが……それ以上に、アリアは彼らに感謝している。
あの小屋をこの三人はとても楽しみに造っていたのだろう。先程見た出来栄えに、素直にすごいとアリアは感じている。
もとより、彼女の心は決まっていた。
アリアは、ペコリと彼らに頭を下げると心から告げる。
「私、誰にも言わないから。今日は助けてくれて、ありがとう」
その言葉を耳にして、心底ほっとする悪ガキ三人だった。
以前のアリアなら、このような取引には応じないだろう。自分が嘘をついて早退してしまった事を、正直に大人に打ち明けて自分を恥じ、その上でこの三人が学校をサボッってこのような事をしていたのだと、告げていた事だろう。そうしなければいけないものだと、許されないものなのだと思い詰めてしまっていただろう。
小さなアリア自身は、まだそんな自分の変化に気づいていないが……
そんな子供達を見て、男がにっこりと大きくうなずいた。彼も子供達の輪に進み出る。
「よし、では俺も交換条件といこう。俺が今日イノシシを倒した事は、町の人々に言わないでくれぬか? さすれば、俺もこの事は秘密にすると誓う」
そんな事を真剣な顔をして言う。ザックが納得できずに首をひねる。
「なんで? あんた、いい人だよ。大人のみんなが言ってるような人じゃない。すごく強いし、今日の事、俺達が町のみんなに話せば、もうみんなに嫌われなくて済むのに」
「よいのだ。決して皆が間違っているという訳ではない。戦が起きている今の世は、そうした慎重な心構えでなくてはならぬのだ。今はその方が良いと俺は思う。親は、お前達の事を心配しておるのだ。お前達のような腕白坊主どもには、特にな。はははははっ」
ひとしきり気持ちよく笑うと、男は右手の人差し指を上に立てて子供達の前に差し出す。
「さあ、約束する者は、この指にとまれ!」
きょとんとする子供達。何をしたらいいのかわからない様子だ。
「どうすんだ?」
「うむ、こうするものなのだ」
尋ねるザックの手を取り、自分の人差し指を握らせてザックの人差し指を上へ立たせる。
「さあ、次は誰だ?」
要領を飲み込んだキースにジュ-ド、アリアも次々と指を握って重ね上げてゆく。
「皆、それぞれ秘密を守るな?」
子供達はそれぞれ、真剣な眼差しで男の漆黒の瞳を見詰めてうなずいた。
「よし!」
男は子供達の指でつながるその手を、大きく一度上下に振って指を解く。何やら気分が高まるようなこの儀式に、子供達はうかれ気味だ。キースが目をキラキラさせながら男を見上げて問いかけてくる。
「ねえねえ、今のって何?」
「子供の頃、俺の国ではよくやったものだ。本当は、遊びに参加する者を確認する時などにやるのだがな。まあ、意思を確認するという意味では同じだ。……さてさて、子供達よ」
男は急に表情を引き締めて腰をかがめ、男の子達の目の高さで一人一人の目を覗き込みながら言い聞かせる。
「今日はもう仕方なかろう。あの小屋で大いに宴をするとよい。しかし、暗くなる前には必ず家へ帰れ。この森にいるのはイノシシだけではない。狼の群れもいるかもしれぬ。ここなら町から比較的近いし、森に慣れているお前達なら大丈夫だろうとは思うが。明日はきちんと学校も行くのだぞ。読み書きを覚えれば、証文にだまされる事もなく、大切な人に手紙を送る事もできる。書物に触れて昔の人々の知恵を知る事もできる。それもまた、お前達がこの小屋を造る時のような、素晴らしい事なのだ。そうした時間も、お前達があの小屋で過ごす時間と同じく、お前達にとっての宝となってゆくものなのだ。ここには、学校が終わってから来ればよい。でないと、怪しまれるぞ」
その視線は、有無を言わせない迫力があった。
両親も先生も手を焼く三馬鹿達は、この時ばかりは男の言葉を素直に受け入れた。この大人の言う事は、なぜか納得できてしまうのだった。多分、この男がイノシシを倒せない大人であっても、彼らは納得しているだろう。彼らの心を動かす何かを、この異国の男はその心に持っていた。
「わかったよう……」
「よし! 修道女殿は、どうやら彼らとは事情が違うようだな。俺が尼僧院まで送ろう」
三馬鹿トリオが見送る中、異国の男はアリアの小さな手を取り歩幅を彼女に合わせてやりながら、まだ雪の残る森の小道をゆっくりと歩み去っていった。




