<あとがき> Afterword
【謝辞】---------------------------------------
この物語を読んで下さった皆様へ
二十年以上前の、自分自身へ
温かな声掛けや評価を下さった方々へ
長々としたこの物語に、最後までお付き合い頂いた方達へ、
心の底から、申し上げたいのです。
ありがとう。
またこうした素晴らしい場を提供して下さっている『小説家になろう』様へ感謝申し上げます。
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【あとがき】
この作品は二十数年振りに公開させて頂いた次第です。ずっと私の手元で眠っていた作品なのです。それをバージョンアップして、時を超えて再公開に至りました。気になるところを修正したり追記したりして順次公開してゆき、三カ月ほどかかってしまいました。
この作品を書き上げたのは、2002年8月10日です。書き始めた頃から考えると、二十二年前になるでしょうか。作品の中でも、奇妙な一致がある事に気づきました。『一握りの想い』でアンジェラが炎に焼かれた事件は二十二年前との表記。ギリアムが幼馴染のレイドを探し続けて二十数年。
時を超えて公開に至ったこの状況は、必然だったのでしょうか。不思議なものです。
作品と共に、執筆当時の『あとがき』のデータも見つけました。
うわあ、恥ずい……
っていうか、当時半年ちょいでゼロからこの量を書き上げていたらしいです。ようもまあ書けたもんだ。今の自分が手直しするだけで三カ月かかってるのに。
この作品を書いた動機が赤裸々に綴られており、当時の自分の想いが表現されておりましたので、以下に、ほぼ原文のまま抜粋しておきます。
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この物語の原型となるイメージを文字にしてから、6ヶ月とちょっと。
まさか、このような形になってゆくとは、想像もしておりませんでした。
自分は数年ほど前から、ブルーな時期になると、架空の世界の架空の人々が登場する、断片的なシーンがリアルに頭に浮かんでくるようになりました。それは、自分でも制御できないくらいに、心を占めてきました。忘れるように無視しようとしましたが、ダメでした。仕事をしている最中にもひっきりなしに浮かんできてしまうのです。
『なんとかしないと、仕事にならんぞおっ!!』
という訳で、衝動のままに、どんどん書き出す事にしたのです。
すると……
楽しいんですよ、これが!
一度書き出すと同じ妄想は浮かばなくなるのですが、書き出した事によって新しい妄想が次々と刺激されて誘発されてしまいます。浮かんでは書き、また浮かんでは書き、書き出したのを読み返すうちに、バラバラのシーンをつなげる設定が浮かんできたり……
気が付いたら、書き物にどっぷり浸かっておりました。
『ライル戦記』を書き終えた今、振り返って考えてみると……
やはり、自分の人生にとって必要な過程だったのだと感じます。
自分がこの『ライル戦記』を書き始めた、本当の理由を正直に白状します。
『ライル戦記』を楽しんで頂いた方達は、これを読んだら幻滅なさるかもしれません。まあ、「ふうん」というくらいで読み流して下さいませ。
この物語を書いた衝動の原点は、
『自分の心の中に渦巻いていた気持ちを見つめ直すため』です。
自分は、父親を小さい頃に亡くしております。
『自殺』でした。
ある日、いつものように父は車で仕事に出かけました。
でも、帰ってこないのです。
その日も、次の日も、また次の日も……
それが小学校の1~2年生くらいの時だったでしょうか(ちょっとあやふやですが)。
父親のいない生活が続きました。
母は、働きました。必死だったのでしょう。
小さいながらも、『父さんは、どうしたの?』などとは、口が裂けても言えません。
もやもやした想いが、心のどこかにずっと引っかかっていたようです。
小学4~5年生くらいの頃、父が発見されました。
山奥の溜め池の中から、車ごと、白骨死体で。
その現場へ連れられて行った事は、ぼんやりとしか思い出せません。
自分は直接は遺体を見ていません。遺体の損傷が酷くてとても子供には見せられないものだったのでしょう。火葬場で焼かれた骨しか見ていません。
というか、この年頃の全体の記憶自体、断片的にしか思い出せません。
でも、そういう知らせを聞いたその当時の自分は、不思議と何も感じていなかった事は、はっきり覚えています。子供の自分は、悲しくて泣くことも、泣き濡れる母を慰めることもできませんでした。
ただ、他人事のように眺めていました。
『自分には、関係ないや』と思っていました。
だって、それまでにも父のいない生活が続いていて、今更、父が死体で見つかろうが、自分には何も変わりはないと思っていました。
隣の家のおばさんに、父が行方不明だった頃、『お父さん、どうしたの?』と聞かれて、何も答えられずに困った事を記憶しております。後で父の遺体が見つかり葬式をやった時に、そのおばさんが泣きながら、何度も何度も自分に『ごめんね』と謝っていた事をよく憶えています。
その時、『別に自分は何とも思っていないのにな、なんだか悪いな』などと思っていました。
そんな変な子供でした。
でも……
やっぱり、そう思いこんでいただけの事だったのでしょう。
小さな自分には、扱えない出来事だったのでしょう。
そうした心の問題から目を背けて、感情を抑え込んで生きてきたツケが回ってきました。
自分も、自殺未遂をしてしまう事になるのです。恥ずかしながら。
精神病院に一度入院する事になってしまいました。
『うつ病』と診断されました。多分、父親の当時の症状と同じでしょう。
半年くらい、入院したでしょうか。
一人で父の自殺現場へ行こうとした事もありました。
どんな場所だったのか、確認したかっただけですが。
でも最初は辿りつけませんでした。
山道の途中で、いきなり吐いたんです。自分でびっくりしました。
吐いても吐いても、まだ吐き気。足が前へ動かなくなるんです。
もう十年以上経っているというのに。記憶なんておぼろげなはずなのに。
なんだか笑えてきてしまいました。あまりにも自分が情けなくて。
誰もいない山の中で、ゲロまみれで一人で笑ってしまいました。
傭兵時代のライルが突然吐くシーン。あれは実は、自分の実体験を基にしています。
そんな事がありまして……
それから、また色々ありまして……
ようやく現在、心の扉が自然に開いてきたようなのです。
時が、満ちたのでしょう。
まだ自分が準備ができていないのに、それを無理にこじあけようとして、自分は間違いを犯したのでしょう。
ある朝、いつものように車で仕事場まで向かう途中、これまたいつものように渋滞してまして、ハンドルを握りながら無意識に昔の出来事をつらつらと思い出してました。
泣きも悲しいとも感じていなかった子供の頃の自分を思い返し、それがどれだけ心細かったのか、どれだけ不安で孤独だったのか、どれだけ必死で耐えていたのか、どんなに哀れな子供だったのかと、改めて思い当たり……
気が付くと、涙がボロボロと飛び出してきて、もう止められないくらいになってしまいました。泣けなかったあの頃に流すべきだった涙を、ようやく流す事ができたのです。
いやはや、自分でびっくりしました。渋滞してて良かった。そんなんで事故ってたら、それこそアホですな。
それからようやく、子供の頃からずっと胸にわだかまっていた想いや、押さえつけていた感情を再確認する日々がしばらくやってきました。そうしているうち、『ライル戦記』のイメージや、核となる断片的なシーン、登場人物達が自然と心に訪れるようになってきたのです。
ですから、この『ライル戦記』を書く事は、自分自身の心が辿ってきた道のりを、再確認する作業でもありました。自分の心の中を探ってゆく、苦しくも楽しくもある時間でした。この物語の骨格をつくっているのは、こうした事柄なのです。ですから、
『自分の心の中に渦巻いていた気持ちを見つめ直すため』
に書き始めたのが、そもそものきっかけなのです。
でも、書いているうちに、書くこと自体が楽しくなってきました。
登場人物達が、生き生きと動いてくれます。かけあい漫才で笑わせてくれます。
かと思うと、自分の気持ちを代弁してくれます。自分の想いを表現してくれます。
様々に浮かんでくる、断片的なシーンをつなぎ合わせてゆく過程は、本当にパズルを解いているような感じでした。この物語は、初めからこの順序で書いている訳ではないんです。まったく飛び飛びで浮かんできてしまう場面を組み合わせ、前後をつなぐ展開を考え出していった結果です。ラストバトルのフェニックスの召還シーンなんかは書き始めて間もない頃に浮かんだものですし、同じ時期に第一話のオチだけ書いてます。本当に、不思議で楽しい時間で、夢中になってしまいました。
でも、どうしても話の展開に煮詰まって、筆が止まった事がありました。
第八話『大切なもの』、第九話『婚約者は』、第十一話『最後の闘い』です。
前後はできているのに、それが矛盾なくつながる設定が、なかなか思い浮かびませんでした。
そんな時、読者様に元気をもらったり、熱い感想を頂いて小躍りしたりして、なんとか乗り切る事ができました。
本当に、救われました。
やっぱり、楽しみに待っていて下さってる方達がいる。気にかけて下さっている人達がいる。人の心の温かさを痛感しました。感動しました。
気が付くと、いつの間にか多くの人達に支えられてました。
自分一人では、きっと完結できずに中途半端で終わっていたに違いないです。
読んで下さった皆様、応援して下さった皆様に育ててもらった物語のような気がします。
相手がいるから、できた事だと思います。
自分が抱いている想いが、自分が面白いと思う事が、他の方達にとっても共感されるものなのかどうか、どうしても知りたかったのです。自分の心を整理してゆく過程が、果たして他の方達はどう感じるのだろうかと。不安にも似た衝動でした。
ですから、「読んでみようか」という相手の方に、できるだけ読みやすくなるようにと心がけました。ネットで読む方に優しい文章を心がけました。読みにくい小難しい漢字ばかりを使うのは避けました(というか、自分には元々ムリ)。改行の取り方を試行錯誤しました。自分が憧れるような文章のスタイルなどというものは、全く念頭にありませんでした。とにかく多くの方達が肩が凝らずに、すらすら読めるように、読みやすいようにと、ホントに節操ないです。
自分のこだわりは、もっと別の所にありました。人を人として描きたい、それぞれの抱く想いを描きたい、間違いながらも、必死で生き抜いていく小さな人間達の魂を描きたい、そうして生きていく人々の姿に、自分の心の中で辿ってきた道のりで掴んだ何かを表現してみたい、そうした想いだけがこだわりでした。(お笑いには、別のこだわりが……)
果たして、どうだったのでしょうか……
結構、自分勝手な考えを表現しているとは思います。物語のあちこちで。
こっそりと、時にはあからさまに、そうした想いがちりばめてあります。
自分の物の見方や考え方が、それほど気持ち悪いものではなければ良いのですが……
ちょっと心配です。特に、女性の描き方……『女をバカにしてる!』と言われそう。すんません。恋愛経験が未熟な自分でございます。『物語を楽しくするための設定です、あくまで』という事で逃げておきます。
ティナは、自分の心の中で、『自分がもっと可愛げのある子供だったら、父は自殺しなかったかもしれない』という、間違った罪悪感に対して必死で『それは違う』と告げる心……必要な時に必要な助けをくれる、自分の心の中の一部分の象徴。アリアは、素直に泣いたり、甘えたりできなかった子供の頃の自分が追い求めていた、ぬくもりの象徴。ジュエルがホークスを抱いて、涙を流してくれた場面は、自分が今になって、もしも子供の自分に出会えたら、そうしてあげたいと思う気持ちの表れ。
今振り返ると、そう感じずにはいられません。
夢中で書いている時には、全く気づかなかったんですけど。
後で読み返すにつけ、無意識にそういう事が出てしまっていたのだと感じます。
人の心って、ホントに不思議です。
何年も何年も経ってから、やっと涙が出てくるとか……
断片的に浮かんでくるシーンは、無意識に過去の心象を投影していたり……
どんな仕組みになってるんでしょうね?
ある意味、笑えてしまいます。
自分自身は、ライルじゃありませんが、大きく一区切りついた感じがしております。
自分にとっての役割を、ここまでの物語は十二分に満たしてくれました。
もう、あまり妄想も浮かんで来なくなってしまってるんです。
これもまた、時が満ちたのでしょう。ちょっと寂しいですけど。
この時期にしか書けない、また書く必要があった物語だったのでしょう。
完結に至った今、そう感じています。
応援して下さった皆様に、心より感謝致します。ありがとうございました。
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(以上、当時の後書きに少しだけ追記修正をかけたものでした)
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<あとがき>の後書きってアリですか?
本編は無事完結まで、時を超えて公開できました! 感謝感謝です。
本編は確かに完結なのですが、実は、この物語には【外伝】なるものが数話ほどありまする。
本編と密接につながる物語となってますので、【ライル戦記】の一部として、連載は、もう少しだけ続きます。
次回は、外伝その①【二番目の?】を順次公開してゆきます。
作者としては、一番気になっているティナさんのその後を描いて参ります。お楽しみに!




