第十二話 あいつとやりたい
注意
この文章は作者が書いた文章をAIに添削してもらった上で投稿しています。
間違っても作者一人で作ったものではありませんので勘違いなきようお願いいたします。
『よぉし、気合い入れろ、リガ!』
『お、おう』
僕はハチローに気圧されるように返事をした。
その直後――。
高さ三メートルはあろうかという巨大な門が、ゆっくりと開いていく。
『お待ちしておりました』
現れたのは女性型のアンドロイドだった。
『ご予約のハチロー様ですね』
『おう。案内してくれ』
ハチローは慣れた様子で答える。
『メニューはいつも通りで頼むぜ』
『かしこまりました』
アンドロイドは一礼した。
『どうぞ、こちらへ』
僕らはその後ろを追う。
長い通路を抜けた先――。
僕は思わず足を止めた。
『……おお』
そこには巨大な訓練フロアが広がっていた。
いくつものリング。
吊るされた無数のサンドバッグ。
金属を叩くような打撃音。
怒号。
歓声。
汗の匂い。
熱気。
まるで戦場だった。
リングでは男たちが激しく拳を交え、壁際では選手たちが黙々とシャドーを繰り返している。
誰もが闘争心を剥き出しにしていた。
『すげえ……』
思わず声が漏れる。
ルールティ・ケットのジムとは空気が違う。
ここにいる全員が強そうだった。
『はっ』
ハチローは口元を歪める。
『相変わらず獣小屋みてえな場所だな』
そう言いながら、懐かしそうに施設全体を見渡した。
『獣小屋ねえ』
その言葉を聞いた瞬間だった。
胸の奥から熱い何かが込み上げてくる。
血が騒ぐ。
本能が歓喜している。
僕は自然とリングの方へ足を向けていた。
すると、一人の男が慌てた様子で駆け寄ってくる。
『おーい!! 君が新顔の子かーい!?』
手を振りながら走ってくる。
丸眼鏡。
少し小太りな体。
どこか頼りなさそうな顔つき。
だが、その表情は妙に明るかった。
『おー、ラワーゼン!』
ハチローが嬉しそうに手を振る。
どうやら知り合いらしい。
『ハチローさん!』
ラワーゼンは勢いよく頭を下げた。
『聞きましたよ! 娘さんの件!』
『彼女、大丈夫なんですか!?』
一瞬だけ。
ハチローの表情が曇る。
だが次の瞬間には、いつもの豪快な笑顔へ戻っていた。
『おうよ!!』
『順調に回復してるぜ!!』
そう言って笑う。
少しだけ無理をしているようにも見えた。
だが今は何も言わなかった。
それよりも――。
僕の意識は別の場所へ向いていた。
リング中央。
そこにいた一人の男。
巨大だった。
熊を思わせる体格。
全身に刻まれた無数の傷跡。
後ろで束ねられた白髪。
荒々しい髪質。
そして――。
立っているだけなのに異様だった。
周囲にも強そうな男は大勢いる。
だが。
あの男だけ空気が違う。
まるで猛獣が一匹だけ紛れ込んでいるみたいだった。
理由なんてわからない。
ただ一つだけ確かなことがある。
強い。
この男は強い。
本能がそう告げていた。
『あいつとやりたい』
気づけば歩き出していた。
吸い寄せられるように。
リング中央へ。
『おい!! リガ!!』
ハチローが慌てて呼び止める。
『今スパー中だぞ!!』
だが。
その横でラワーゼンが目を輝かせていた。
『待ってください』
『これは何か起こる予感がします……!』
僕は白髪の男を指差した。
『あんただろ?』
『このジムで一番強いの』
周囲の空気が変わる。
男はゆっくりとこちらを見る。
『なんのことだ?』
低い声だった。
だが僕は確信していた。
『あんただけ違う』
『この中でぶっちぎりに気配が強い』
『今まで戦ってきた誰とも違う』
『異質な匂いがする』
男は少しだけ目を細めた。
『ほう』
そう言うと、向かい合っていたスパーリングパートナーへ声をかける。
『少し待ってろ』
『あいよ』
男はロープを跨ぎ、リングから降りた。
ズシッ。
ズシッ。
一歩ごとに床が鳴る。
近づくほどにわかる。
大きい。
そして圧倒的だった。
『常識がわからねえらしいな』
男が言う。
『名は?』
『リガ』
『そうか』
男は少し笑った。
『お前が例のライト級チャンピオンか』
その瞬間。
周囲がざわつく。
『あいつがリガか』
『本当に来やがった』
『聞いてたより若いな』
『でも空気読めてねえぞ』
『ラウズさん相手はまずいだろ』
次々と声が飛ぶ。
すると一人の男が前へ出てきた。
『ラウズさん』
『そんな素人、相手にする必要ないですよ』
『勘弁してくださいよ』
『また病院送りにする気ですか?』
だがラウズは手で制した。
『いいじゃねえか』
そう言って口元を吊り上げる。
『こういう馬鹿は嫌いじゃねえ』
周囲がざわついた。
『大抵はビビって近寄りもしねえからな』
ラウズは僕を見下ろす。
『小僧』
『一度しか言わねえ』
『よく聞け』
『もう二度と同じ真似はするな』
『?』
僕は首を傾げた。
『しちゃダメなのか?』
沈黙。
そして。
ラウズは盛大にため息を吐いた。
『はぁ……』
『噂以上に壊れてやがる』
周囲から苦笑が漏れる。
だがラウズは笑った。
『まあいい』
『気に入った』
そう言うと、自分のグローブを乱暴に外した。
ボトッ。
床へ落ちる。
それを拾い上げ――。
僕の胸へ放り投げた。
『エレクスパーだ』
グローブを受け取る。
その瞬間。
周囲がどよめいた。
『マジかよ!?』
『ラウズさんが受けたぞ!』
『初対面だぞ!?』
『ありえねえ……!』
ラウズは肩を鳴らす。
そして獣のような笑みを浮かべた。
『その度胸は買った』
『一回だけだ』
『潰されても文句言うなよ』
胸が高鳴る。
血が騒ぐ。
僕は思わず笑っていた。
そして――。
僕とラウズ。
運命の一騎打ちが幕を開けた。




