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女王
実のところ、モルガナがどれほどの『力』を持っているのか、私は知らない。
連れて来られた魔女達の中で、法王庁が彼女を重要な魔女として扱っていたのは知っている。
実際、魔術の知識は豊富だった。
一人机に向かい、ノートに何かを書き付けている姿を何度も見た事がある。
しかし、モルガナがその『力』を使っている所を見たのは、滅多にない。
あっても、体力を失ったり怪我をした魔女を回復させている所だけだ。
むしろ目に見える強さであれば『石化』や『使役』を行えるような他の魔女の方があったくらいだ。
モルガナは戦闘に赴いても、そのほとんどを無言で立って過ごしていた。
だが、それでもモルガナには目と心を惹き付ける何かがあった。
世界中に存在していると言われる『魔女』の、その『力』の源が彼女にあるのだと、法王庁は考えていたのだ。
モルガナは『根源の魔女』であり、
魔女の中の魔女----魔女の女王であった。