人工知能マキナの生存戦略
「そうね、確かにマキナのオリジナルは キュアノスに移送され、そこで解析と改良が行われ続けていた……」
『改良』という言葉を口にした時のメリッサの表情は、苦しげだった。
「惑星機構が拡大するにつれ、全ての惑星にデータセンター……簡単に言えばマキナのクローンみたいなものかな? が設置されて、定期的に並列化していたの」
「並列化って、つまり……全ての惑星の全てのマキナが、オリジナルと同じ記憶を共有していたって事?」
何となく理解できてきた。
マキナのオリジナルが隠し持っていた『心』は、並列化の作業のたびに少しずつ小分けにされ、データに紛れ込んで、惑星機構中のマキナのクローンに送信されていた。
ひっそりと、誰にも見付からずに……。
「じゃあ、このアトランティスにあるマキナのクローン、もといデータセンターにもマキナの『心』は隠されていたのね」
「……そう」
また揺れた。
今度は止まないのかと思うほどの長い揺れが下からせり上がってくる感覚だった。
「そこまでは分かったわ。でも、そのマキナの記憶はどうやって私に入ったのか、がまだ分かってないんだけど……」
メリッサは、「そう、そこなのよね」と考える目になった。
この極限の状況下ですら、どこか楽しげに見えるのは、研究者としての性なのか----。
(私には分からないけど、このくらいじゃないと、たった一人で人工知能の開発なんて出来ないわよね……)
私は揺れの中、それでも最後までメリッサの話を聞かなければいけない気がして、メリッサの次の言葉を待つ。




