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サクリファイス

 そして就任式の日の朝を迎えて----。


 白い巫女装束の私は、螺旋階段を駆け下る。


 あれはやっぱり夢じゃなかった。

 夢だったら、どんなに良かっただろう。


 そう思ってる今この時がもし夢だったら、すぐに目を開けて起きるのに。


 朝の陽射しを浴びて、ベッドからいつものように飛び降りるのに----。


 そして、とっくに身支度を済ませているマリアに飛び付いて言うんだ----「おはよう」って。


 だからお願い。


 これが夢でありますように。

 ただの怖い夢でありますように。


 くるくる。

 くるくる。


 私はひたすら地の底を目指す。

 マリアのために。


 マリアが無事にキュアノスへ戻れるように、と祈りながら。


 くるくる。

  くるくる。


  私は決めたのだ。


 マリアのためなら、どんな怖い夢であっても、そこから覚めなくて構わない。


 マリアのためなら、巫女としてこの身を捧げて構わない。


 くるくる。

 くるくる。


 涙の粒が、落ちて行く。

 暗い底へと消えて行く。


 くるくる。

 くるくる。


 私は、大丈夫。


 貴女の薔薇が私の胸にある限り、私は一人じゃないって、信じてる。


 だから、マリアお願い。

 今だけは、もう止めないで。


 私の手を取ろうとしないで----。

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