とある魔女の告解 file2
私は、『心』を持った者同士として、貴女と手を取り合って生きていきたかったのです。
そして、二人で、マキナに支配された惑星機構を変えたかったのです……。
子供じみた妄想ですが、あの頃の私は、本当にそれが出来ると思い込んでいたのですわ。
貴女が巫女を選べないままでいれば……惑星監督官になれずに、監督官育成施設に……いえ、ずっとキュアノスにさえいてくれれば、私はどんな形であれ貴女の側にいる事が叶う……。
私のその身勝手な思いが、知らず知らずのうちに呪いとなって、貴女の薔薇が咲かないようにしていました。
……その呪いを一瞬にして解いたのが、メリッサです。
メリッサは、貴女を一目見ただけで、貴女と『心』が繋がり合っているはずの私の存在を見抜き、その私の『心』を『呪い』であると看破したのです。
私は、メリッサは宇宙で最も古く、長命な種族の末裔だと考えています。
太古に失われたはずの知識や技術の継承者であり、宇宙の観測者であり、そして星の歌を聞ける『知恵ある者』の一人である事は確実です。
十三王家時代以前からキュアノスに定住していた王家の始祖の直系ではないかと思い、独自に調査もしましたが、マキナからは調査続行不能という回答しか戻ってきませんでした。
でも、今更そんな事はもう何の意味のない話ですわね。
メリッサの聡明さについては、貴女が一番よく分かっているでしょうから……。
そう、彼女の言った通り……私は自分に『心』が存在しなければ良かったと、今でも思っています……。
『心』は宝石にもなりますが、毒にもなります。
私の『心』は毒になり、貴女の薔薇が蕾のままであるようにと、呪いを掛けてしまいました。
これが私の一つめの罪です。
私の『心』は、自分で信じていたよりも、ずっと弱くて醜いものでした。
自分だけは賢い。
自分だけは貴女を理解している。
自分だけは、貴女を幸せに出来る……。
そんな妄想が、いつしか私を人間ではない、おぞましい存在へと変えていたのです。
でも……。
私の犯してしまった本当の罪は、もっと恐ろしいものです。
懲罰委員会が認定した私の罪状は、補佐官としての職務違反及び、惑星機構への第一級反逆罪です。
これは、惑星機構において死罪よりも重い、永久刑が科せられる唯一の罪状です。
マリア……よく聞いて下さいね。
就任式の日に、貴女とメリッサを死なせてしまい、アトランティスを海に沈めたのは、この私なのです。
小さな城の領主の娘として、弟と幸せに暮らしていた貴女と、貴女の愛する弟マヌエルの人生を狂わせる事になった原因は、私です。
貴女が必ず殺すと決めて追い続けた復讐の相手は、私です。
私こそが、『はじまりの魔女』なのです……。




