邂逅
メリッサ達姉妹が、別れ際にどんな話をしたのか分からない。
ただ、彼女達が存分に名残を惜しむ事が出来たと信じる事にして、私は案内人とメリッサと共に、フォルトナの待つ広場の入口まで戻った。
フォルトナは私たちを見ると、すぐに駆け寄って来た。
「巫女は見つかったのですね、良かったですわ」
と微笑み、「初めまして……随分と愛らしい巫女さんですわね」と言ってメリッサの前に膝を屈める。
「初めまして、私、メリッサって言うの」
「私はフォルトナ……この人の補佐官よ」
ほさかん? と首を傾げたメリッサをフォルトナは複雑な表情で見る。
「貴女が、あの薔薇を咲かせたのね」
「……咲かせる事自体は簡単だったの」
メリッサが事もなげに言う。
「ただ、ちょっと難しかったのは、呪いが掛かっていたから」
「……呪い?」
フォルトナが訝しげな顔をした。
「姫様の薔薇に、呪いが掛けられてたというのですか? 呪いなんてそんな野蛮なモノが……?」
「ほさかんのお姉さんは、強すぎる思いは呪いになる、って知らない?」
少女は自分の胸を指差した。
「……だから惑星機構は『心』を禁止してる、って」
メリッサとフォルトナの視線が、かち合った。
----先に目をそらしたのは、以外にもフォルトナの方だった。
「……そのお話は、今はよしませんか?」
にこりと笑った彼女の目には、一気に疲労が滲んでいた。
さすがの彼女も、気が張り詰めていたのだろう。
「そうだよね、巫女が見つかって嬉しいのは、フォルトナだって同じだもんね」
「それは勿論心配していましたわ……期限内に巫女が見つからなければ、管理官を辞退しないとなりませんもの」
確かにそうだ。
フォルトナはフォルトナで、補佐官として様々な手続きや準備に追われている身なのだ。
私の知らない所でかなり気を揉ませてしまったのだ、と申し訳ない気持ちになる。
「……少し遅くなってしまいましたね。では、転送ポイントまで急ぎましょう」
そう言うと、フォルトナは先頭に立って元来た小道を足早に歩き始めた。
その後ろを付いて歩くメリッサは、何か考え込むような様子で星空を見上げていた----。




