魂の片割れを、選ぶ。
ここからは一人で、と言われても何をどうすればいいのか皆目分からない。
案内人は黙ったまま、何かを確かめるかのように列柱廊に並んでいる少女達を、一人ずつランタンで照らしているだけだ。
「ですから、ここで彼女達の中から姫様の巫女を選ぶのですわ」
「やり方は?」
「それは、私も分かりませんが……」
声を潜めてそんなやり取りをしているうちに、円柱の間から黒いローブの少女達が、申し合わせたように、すっ、と全員前へ出て来た。
「……この子達は、全員が星の娘です」
案内人がようやくこちらに向き直った。
「星の……娘……?」
どういう意味なのか聞きたかったが、なんとなく憚られて、私は口を噤む。
「貴女と共に生まれ出た、その青い薔薇の蕾を咲かせた娘が、貴女の魂の片割れ……つまり、巫女であるという事です」
「魂の……片割れ……」
そんなような言葉は、昔の書物にたまに出て来た気がする。
でも、具体的にどんなものなのか、さっぱり見当が付かない。
案内人はそう言い、フォルトナに、そのまま待っているようにと手で示した。
フォルトナは黙って頷く。
「……まずは、レッテから始めましょう」
薔薇の鉢を抱えて、私はレッテと呼ばれた少女の前まで行く。
年の頃は、私より一つか二つ下だろうか。
ローブで表情は見えないが、緊張がこちらまで伝わって来る。
私は鉢を差し出した。
少女は、少し震える指先で蕾を撫でる。
一回。
二回。
三回。
蕾には何の変化も起きない。
案内人を見ると、彼女は無言で首を振った。
少女は手を引っ込めて、元の位置に戻る。
「ニュクス!」
その隣の少女も私と同じような年格好だ。
やはり緊張しながら蕾を撫で、そして同じように何も起きなかった。
「パエンナ!」
「レイア!」
「メレテ!」
「ウラニア!」
どの少女が撫でても、蕾に変化はない。
そして、手を引いた少女達の漏らした息は、何処か安堵に近いものすらあった。
案内人の様子に微かな焦りが滲み始める。
残る少女は、あと二人しかいない----。




