広場
門扉を抜け、そのまま居城の中へと通されるのかと思いきや、一人の女性が、闇の中から抜け出るようにして現れた。
私達と同じ漆黒のローブを着た彼女は、手にしたランタンを無言で掲げ、こちらへ来るようにと合図する。
歳の程は分からない。
だが、黙っていても仕草からは知性と気品が感じ取れる。
フォルトナは頷き、照明器具の電源を切ると、ポケットに仕舞い込んだ。
そして、黙って彼女について行くように私に促した。
(ここにはここの、しきたりがあるんだ……十二王家もマキナも惑星監督官も関係ない……第一王家のしきたりが……)
居城の周りは、庭園になっていた。
目が慣れてくると、照明もないのに星明かりだけで庭園の全貌が見えて来た。
丁寧に手入れされた緑の灌木の間に、膨大な種類の花と薬草が植えられている。
さらに小道を進むと、突然楕円形の広場が目の前に広がった。
大理石で作られた列柱廊と、数え切れないほどの女性達の像に囲まれた広場----その中央の台座の上には、書物を抱いた一人の女性の像が立っている。
誰なのかは遠目で分からない。
そして----案内人の女性と同じ黒いローブ姿の女性達が、列柱廊に沿うようにして、等間隔に並んでいた。
案内人の女性が立ち止まり、空を見上げた。
調光された人工の空ではない、本物の空----。
首都で見ていたのは、何だったのかと思うほどの、目が眩みそうになる程の星の数だった。
「……星辰の位置が揃いました」
声にならない溜め息のような、微かなざわめきが広場を満たす。
「これより、星の娘を選びます」
案内人が私の方を向く。
「ここからは、お一人でお願いいたします」




