↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
396/454

 惑星機構の地図から抹消されている第一王家の居住地のほとんどは、森だ。


 王家の居城は図書館から更に森の奥にあり、そこへ至るまでは一本の曲がりくねった細い道しかない。


 十二王家ドゥオデキムの人間は、必ず右手に薔薇の種を握って産まれてくる。

 その種は一粒だけ。


 鉢で大切に育てられた種は、発芽はしても、枯れてしまう事が多い。

 蕾が付くまで育つものもあるが、その薔薇の蕾はそこから花開く事はない。

 不思議な事に蕾は萎れる事のないまま、何年も白く固く閉じたままだ。


 だが、惑星監督官になる事が決まったその晩、月の光の下で、私の蕾だけは、みるみる深い青へと変わって行った。


 まるで、昔見た記録媒体に映し出された広大な海のような

深い深い青に----。


 そうして、今、窓辺の机に置き、毎晩眺めていたその薔薇の鉢を、私は両手に抱え、フォルトナと二人きりで森の小道を歩いている。

 漆黒のローブにフードを被り、護衛も付けずに……。


 人の手で整備されている道とはいえ、森の中は息が詰まりそうな程に暗い。

 フォルトナが足元を照らしてくれなければ、一歩も歩けないだろう。


「本当にこんな事に私の巫女がいるの?」


 惑星監督官に選ばれるまで、私は惑星監督官には巫女が必要であるなどと知らなかった。

 合格が通知されてから、初めてフォルトナの口から知らされたのだ。


 マキナは、どんな質問であっても惑星監督官についての説明を一切してくれない。


 全てをフォルトナが一任されている形になっている。

 かといってフォルトナが全てを説明してくれるのかと思いきや、肝心な事については直前まで教えてくれないのだ。


「だいたいどうやって見つけるの?」

「……だから来たのですよ」


 少しばかり他人行儀になった私の補佐官は、子供を諭すように答える。


「その鉢、少し重いでしょうが、頑張って持っていて下さいね。御自分で持っていないと意味がないのですから」

「はいはい、頑張ります」


やがて、夜目にもほんのりと白く輝く建物が木々の間から見えて来て、私の背筋は自然と伸びた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。