第十三王家
惑星機構には、存在しないはずの階級がある。
マキナの下、十二王家を頂点とした市民階級は第5等級まで厳格に設定され、等級に応じた保護管理を徹底されている。
だが、それとは別に、階級に含まれず、マキナとの接続を絶って生きている人々が、僅かながらも存在しているのだ。
その人々とは、首都から遠く離れた、旅の者以外は誰も近寄らない広大な森に暮らす、十三王家時代の筆頭王家であったという、第一王家の末裔だ。
彼らは全員『心』を持っている。
森で暮らしているのは、王家の末裔ばかりではない。
『治療』を受けられない両親が、はるばる連れてきたり、放逐されてここまで辿り着いた『心』を持つ子達も、養子として第一王家に受け入れられている。
彼らは初めから市民番号を持たず、マキナに接続しない、システム外の存在だ。
完全な自給自足で、科学文明とは隔絶した生活を送ってはいるが、家畜を飼い、薬草を育て、森で狩りをしながら膨大な数の古代の論文を読み、研究し、独自の神話体系を守っている。
深い森の中心には、オリハルコン製の円球状の大きな建造物があり、それを囲むように、家々が点在している。
その白い林檎形の建造物は図書館で、銀河系の星々から集めた書物が巻物も含めて数十万冊収容されていると言われている。
マキナシステムの理論を初めて作り上げたのは様々な星の言語に通じ、『心』の他にも不思議な『力』を持つ第一王家の一人の人間だったとも言われているが、定かではない。
しかし、十三王家の中でマキナの運用を巡り意見が対立したため、第一王家は筆頭王家を第二王家に譲り渡した。
その後一族ごと首都を離れ、祖先の地に戻ったという。
そんな経緯を持つ第一王家だが、十二王家とは正反対の地位にありながら現在も表裏一体のような関係である。
惑星監督官に仕える巫女は、第一王家からしか選ばれない。
住む場所と信条は違えど、十二王家の惑星監督官は、筆頭王家の血統からのみ巫女を迎えられないのだ----。




