転機
惑星監督官は、惑星機構においては最上級の名誉職である。
歴代の監督官の胸像は本部の議場へ至る廊下に全て並べられ、教科書には特に功績のあった数名の監督官についての記載がある。
当該監督官の家族には生涯手厚い年金が支給され、死後はオリハルコン製の墓碑に、惑星監督官としていかに未成熟な民を導き、文明的な惑星に成長させたのが詳細に刻まれている。
----にも関わらず、退官後の惑星監督官は、首都には戻る事はない。
統治を完了させて戻って来た監督官は、首都を離れ、家族ともほとんど会う事なく、残りの生涯を惑星機構から距離を置いて過ごす。
山奥の館で余生を過ごす者。
管理官としてではなく、一般の市民として他の惑星で開墾作業をする者。
知識を活かして別分野での研究者となる者----。
惑星監督官の任務については、内容は極秘扱いである。
私の家系からも過去に数名の監督官が選出されたが、映像記録や手記の類いは残されておらず、一族の話題に上る事はほとんどない。
その理由については、父も教えてはくれなかった。
確かに精神的に過酷な任務であるというのは伝え聞いていたが、『心』をもつ補佐官ばかりか、一般的には『心』をもたない監督官にまでも強いストレスを残す任務とは、一体どんな内容なのだろうか。
ちょうどその頃である。
岩石型の惑星が太陽系で発見されたとの一報が入ったのは----。




