ドゥオデキム
私は、十二王家と称される、代々惑星監督官を輩出する家に、一人娘として生まれた。
王家とはいっても、惑星機構を統治しているのはあくまでも人工知能マキナであり、王家が統治するのは、銀河系の辺境にある未開の惑星、もしくは文明崩壊後の荒廃した惑星のみである。
十二王家に生まれると、自動的に将来の惑星監督官の候補になる。
惑星監督官は、惑星機構の中でも最重要職だ。
遺伝子的な欠陥もなく、高知能で、幼い頃から優れた人格を持った健康な者が選ばれる。
基本的には成人が選ばれるのが通例だ。
監督官は惑星機構域内の惑星へ赴任し、マキナの提案に従いながら、その惑星の住民を文明的な生活に導き、惑星機構の理想に沿った、平和で平等な世界を完成させなければならない。
それが十二王家に生まれた者の使命であり、責務であるとされている。
逆に、惑星監督官に任命されなかった場合は、家系全体の評価が落とされ、惑星機構内での地位が下がる。
十二王家にとって、それは惑星機構から反逆者と見なされたのと等しい。
十二王家の成り立ちは、惑星機構の礎となった図書館と深い関わりがあると伝えられているが、今では半ば伝説であり、ドゥオデキムという言葉すら知らない下等級市民も多い。
惑星監督官に任命されるのは十二王家出身者のみだが、その監督官が赴任する時には、必ず専属の補佐官が付き添う事が定められている。
補佐官は、適性さえあれば、どの等級の市民でもなる事ができる。
そして奇妙な事に、補佐官の適性を持つのは、古来より何故か『心』を持った者のみなのだ。
補佐官は、一旦補佐官試験に合格すれば、生涯のうち数人の監督官に仕えるのが通例だ。
任務の内容は監督官同様、もしくはそれ以上に極秘事項が多く精神的負担が大きいため、任務を終了して首都に帰還する度、惑星に滞在していた期間全ての記憶を抹消する処置を毎回受ける必要がある。
その処置に耐えられなくなった者は、職を辞して『心』を持ったまま隠遁生活を送るという。
その処置の事は『調律』と呼ばれている----。




