フォルトナ
フォルトナは私よりも少し年上だ。
きょうだいの中で彼女一人が『心』を持って生まれた。
首都に暮らす彼女の両親は、第二等級市民だったため、ほとんどの公的機関にアクセスできる資格を持っていた。
そのためフォルトナは診断が下された直後から『治療』を受けさせられる事となった。
ちなみに公的資格をほぼ持たない低等級の市民の子供は、『治療』を受ける機会が最初からない。
『治療』には多額の税金と専門の人員が必要なため、遺伝的に優秀ではないとみなされている低等級の市民は最初から『治療』の対象外なのだ。
『心』を持っていると診断が下された子供達は、簡易な審査を受けた後、合法的に市民番号を抹消され、専用の施設に収容される。
施設では養育と『トレーニング』を施され、一定の年齢に達すると、適性ごとの任務を振り当てられる。
私がどうして父の視察に連れて行かれたのかは、よく覚えていない。
私の家はいわゆる十二王家の一つで、首都のどの施設にも無制限でアクセスできた。
私が『心』を持ったまま、監視付きとはいえ施設に収容されず、図書館に籠もって気ままに暮らせたのはそのおかげだ。
おそらくは、父には、施設の内部を見せれば、入りたくない一心で『治療』を真面目に受けるようになるだろうという意図でもあったのだろう。
結論として、好奇心旺盛だった私には逆効果だった訳だが----。
フォルトナの話に戻る。
彼女は結局、三歳の時点でも『心』の存在が確認されたため、施設送りとなった。
二等級市民の子供として手厚い『治療』を受けていながら『治療』が効かない特殊な症例として施設の別棟で研究対象にされていた。
そこで、幼い私とフォルトナは初めて出会ったのだ----。




