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科学と魔術と
「確かにこの温室には電気はないわ……でも、驚くなかれ!」
少女はまるで自分が開発したかのように胸を張る。
「このタワーは、なんと、空中の高周波電気信号を電気に変換して駆動するの!」
「……そうなんだ?」
何やら凄い科学技術なのだろうと想像は付くものの、言ってる言葉の半分も意味が分からない。
電線がなくても電気は使えるのだろうか。
だとすれば、それこそが魔術なのではないか----?
よく分かっていない雰囲気を惜しげもなく漏らし続けている私に業を煮やしたのか、少女はタワーに嵌めこまれた小さな窓のようなものを指で叩き始めた。
「……これで、えいっ、動け……っ!」
魔女を自称する少女の白い指が装置の上を踊る。
確信に満ちたその動きを、私は息を詰めて見守る。
そして----。
不意にタワーは駆動を始めた。
魔女の棲む地下深くで、ほの青く光りながら----。




