表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/398

満足


「ん……ッ、ぷはぁ……!」


 どのくらい唇を塞がれていたのかは分からないが、とにかく長い時間としか言えなかった。

 私は息ができないまま、少女の体重を両腕で支え、目を白黒させる事しか許されなかったのだから、頭など働くはずがない。


(……は、早く終わって……もう無理、さすがに無理……!)


 思いが伝わった訳ではないのだろうが、


「ふぅ……ッ、ごちそうさま……ぁ……」


 満足したのか、ようやくメリッサが唇を離してくれた。

 心なしか、大きな漆黒の瞳が濡れたように光っていた。


「アンソニーの言う通りね、これで本当にお腹いっぱいになっちゃった……」


 どんな風に少女に教えたのかは分からないが、少なくとも庭師の棟梁である司祭枢機卿は、私達二人でしかする事のないこの食事の方法を知っている。


「あれ、元気ないけど大丈夫……?」

「元気は……今吸われたから……」


 毒草で補給したとはいえ、これだけ生気を吸われたら、ぐったりしない方がおかしいだろう。


(……まあ、どんな教え方をしたのかは聞かないほうが良さそうね……)


「ねぇアイリス……このごはんの食べ方、私好きよ」

「……そう?」


 小さな舌先でぺろりと唇を拭う少女は、あくまで無邪気だ。


「とっても、美味しかった……」


 少女は、ふふっと微笑んだ。


 私の方はといえば、心臓の鼓動がまだ早いままだったが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ