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普通に普通過ぎて

 クラスの皆が、朝いろいろな会話をしている。


「りーあさん、おはよう」

「うん。おはよう」

「夏休みどうだった」

「プールいったよ」

「花火よかったね」

「わたし、いけなかった」

「残念」

「旅行いった」

「部活ばかり」



 わたしには、クラスの声は、半分も聞けずに、ただとおやくんが、クラスにいることに、驚きと戸惑いがある。

 ななちが、教室に入ってくると、

 わたしを見つけて、声をかけようとする。


「あ、おは、よ、りりあさん」


 しかし、途中で立ちとまると、顔色を変えて、あきらかに驚いている。


「とおや」

「あ、おはよ、ななち。」

「え、あ、それより、いままで心配」


「あ、おはよう」


 とおやくんは、また違うひとと話している。



「ね、ねぇ、りりあさん」

「うん」

「とおやだよね!」

「うん」


 そのあと、とおやくんは席につき、普通に先生とも会話し、授業もうける。


 普通だ。


 普通。


 前までの日常。



 そう日常だ。

 いや、そうじゃない。

 普通過ぎるでしょ!


 夏休み前まで、いなかったひとよ。



「ねぇななち」

「どうなの、これ?」

「うん」



 昼食時間になって、とおやくんは少し姿がみえなくなり、短縮の今日は、部活は、教室会議だ。


 このまま、参加するのだろうか。



 ホームルームがおわると、帰るひとのなか、やはりとおやくんは残るようだ。

 くみさんに、なんて説明しようか迷っているうちに、教室にくるくみさん。


「あ、りーあ、今日はバタバタしててさ」

「えっ、とおやくんじゃん。生きて」

「あ、くみさん。夏休みどうだった?」

「え、いや、うん。まって、ねぇ、とおやくん、あなた、本当に」


 話しおわる前に、二年生の部活のメンバーが集合してくるが、だれもとおやくんがいることに、不思議がらないようだ。


「あ、くみさん、じゃあとで」

「うん」



 くみさんは、テニス部は引退してるため、図書室に向かう。

 ななちも一緒のようだ。


 教室で、少しだけ台本読みの進捗や夏休みのあとの計画だけを話しあい、すぐに解散する。


 みゆさんと、とおやくんは照明について話しをしている。


 教室での話しが、ひと区切りすると、部活のメンバーも解散となり、各自持ってきたバックを点検してから、帰りだす。



「あの、とおやくん!」

「あ、あとでね」


 ろくに、話しができないまま、わたしは図書室に向かい、くみさんとななちと合流した。


 二人とも、なにも言わないが、明らかに戸惑っている。



 三人で、青バラ園まで歩いて帰るときも、あまり話しが進まなく、公園によることにする。

 すると、公園のブランコに座っているひとがいる。


「あ」

「とおやくん!」

「ななちに、くみさん」


 わたしは、走っていき、目の前でとまると、思いつきで、話しをしようとする。


「あの……」


 すると、追いかけてきたくみさんが、

 すぐ目の前にきて、魔法を使おうとする。


「ま、待って、くみさん!」

「なんで、なんでよ。とおやくん、あなた本当にとおやくんなの!?」


 とおやくんは、バックから妖精ノートを取り出して、くみさんに差し出す。


 そして、話しだした。


「あの日、転生して妖精になったんだ」

「えっ」

「りりあさん、きみは、転生魔法使いなんだね?」



 くみさんは、妖精ノートを受け取ると、魔法をおさめて、そこで読みはじめた。


「うん。とおやくんに、かけた魔法がそれだよ」

「やっぱりそうなんだ。ルーレ師匠に会ったよ」

「そっかぁ」


 ななちは、話しがわからないためか、静かに聴いている。

 わたしは、途中から、少し涙目になり、

 とうとう(こら)えることなく、

 とおやくんに、しがみつく。


「えっ、りりあさん?」

「ごめん。ちょっと、気がぬけて」

「りーあ、ずっと心配してたんだよ!」

「そう、とおやのことずっと気にかけてた」

「くみさん、は魔法が使えるんだね」

「そう。わたしも妖精になった」

「そう、か」

「とおやも、妖精? になったなら魔法が」

「そう。でも、妖精時間は短かったね」

「転生したんだ!」

「そう。妖精から、再び転生して戻ってこられた。でも、転生ショック……かな、で、しばらく誰だかもよくわからないままだったよ」



 くみさん、ななちが、まだ少し納得していないみたいだ。


 でも、わたしには、理解(わか)る。


「戻って、きてよかった。怖かったぁ」

「あの、りりあさん。そんなに泣かれると、返ってなんか恥ずかしい」

「なんか、とおやキャラ変わってない?」

「ななちこそ、くみさんの彼女になったの?」

「うわ、もう知ってるの!」

「クラスの皆が、ななちが彼氏ってウケる、とか話してた」



 わたしは、公園のブランコの前、とおやくんにしがみついたまま、この懐かしい、このひとの声を聴いて、なんだかとても、長い時間が経ってしまっていた、そんな気がした。


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